ゴルフシリーズのマイナーチェンジに合わせて、トップモデルにも改良が加えられた。その新しいゴルフRは、従来以上にクルマとの対話が濃密になっていた。(前編)
文:大谷達也/写真:フォルクスワーゲン グループ ジャパン

パワーアップの進化だけではない、意のままに操る感覚が強調された

「フォルクスワーゲンは“国民のクルマ”ですから、オーバーステアになるモデルは作りません」2年ほど前、ゴルフVIIに“R”が追加された際に行われた国際試乗会で、同社のエンジニアからそんな話を聞いた。あのときは、たしかにサーキット走行でテールがアウトに流れることはなかった。その事実を踏まえてエンジニアと議論したのだが、この回答を聞いて「なるほどね」と思ういっぽうで、自分が本当に知りたい答えが手に入らないもどかしさも同時に感じていた。

画像: パワーアップの進化だけではない、意のままに操る感覚が強調された

オーバーステアにならないことは構わない。でも、本当に気になったのは、スロットルやブレーキの操作で姿勢変化を作り出そうとしても、足まわりが強く踏ん張ってそれを拒むかのような反応を示す点にあった。もっとも、ゴルフRはハーシュネスの処理が巧みなためにゴツゴツした印象は薄く、加えてフラット感が強いので高速巡航では快適な乗り心地が味わえる。それでもことコーナリングに関しては、ドライバーにできることが限られていて手詰まり感がつきまとう。これはGTIも同じ傾向だが、私の言葉足らずもあってそこまで議論が深まらなかった。

今回発表されたのはゴルフRのマイナーチェンジ版。主な変更点は、最高出力/最大トルクがゴルフ史上最強の310ps/400Nm(DSG仕様。6速MTは310ps/380Nm)に引き上げられ、LEDヘッドライトや新デザインのバンパーを採用して前後のスタイリングが見直されたことなどで、公式には足まわりは変更されていないという。ところが、マヨルカ島の小さなサーキットで試乗すると、目の覚めるような変貌を遂げていたのだ。

なにしろ最高速度が267km/h、0→100km/h加速を4.6秒でこなすハイパフォーマンスモデルである(ハッチバックのDSGモデルにオプションのパフォーマンスパッケージを装着してスピードリミッターを外した場合。標準モデルは250km/hでリミッター作動)。基本的にはボディをしっかり支えるスプリングとダンパーが与えられているのだが、ストロークの初期はこれまでなかったほどしなやかな設定に改められていて、減速すれば前荷重に、加速すれば後荷重にと、ドライバーが自然な姿勢変化を引き出せるようになったのである。
次回へ続く

画像: フォルクスワーゲン ゴルフR 諸元表(EU準拠)

フォルクスワーゲン ゴルフR 諸元表(EU準拠)

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