AT限定免許で運転できる、クラッチペダルのない2ペダルのクルマでも、トランスミッションにはAT/CVT/DCT・・・などという種類がある。では、その違いは何なのか。クルマのメカニズムにも詳しいモータージャーナリスト、片岡英明氏に聞いた。

「変速機」と呼ばれるトランスミッション

トランスミッションは、一般には“変速機”と呼ばれている動力伝達装置のことだ。

エンジンやモーターが生みだした動力を、車輪へと伝達する役割を担っている。そのほとんどはギアの組み合わせによってトルクや回転速度の変換を行う。

異なるギアへの変速をクラッチ操作によって手動で行うのがマニュアルトランスミッション(MT)だ。

AT:電子制御のトルコン式ATが主流

だが、今は難しい変速操作を不要にしたオートマチックトランスミッション(AT)が主役となっている。

もっとも多いのは、クラッチの代わりに流体クラッチ(トルクコンバーター)を用いて自動的に変速を行うATだ。アイドリング回転でアクセルを踏まなくてもクルマが前進するクリープ現象もある。これは弱点だが、渋滞時の低速走行や車庫入れでは重宝することも。

速度の微調整が難しいし、パワーロスもあるから燃費も今一歩だ。この弱点をなくすためにマイコンによって緻密な制御を行う電子制御ATが登場した。現在は、これが主流だ。また、多段化にも力を入れ、今では10速ATも誕生した。気持ち良い変速を楽しめ、燃費に関してもMT車を凌ぐほど優秀である。

画像: 2017年秋に登場予定の新型レクサスLS500には、「Direct-Shift 10AT」と呼ばれる10速ATが搭載される。

2017年秋に登場予定の新型レクサスLS500には、「Direct-Shift 10AT」と呼ばれる10速ATが搭載される。

画像: 新型レクサスLS。

新型レクサスLS。

CVT:効率が良く軽やコンパクト中心に日本では主役

トルコン式ATに対し、ギアを使わず、金属製の特殊なベルトとプーリーの組み合わせによって無段階に変速を行うのがCVTだ。無段変速機と呼ばれ、日本では主役となっている。

ファミリーカーなどにもてはやされている理由は、トルコン式ATよりパワーロスが少ないからだ。無段変速だから、常に速度に応じた適切なギア比にすることができる。効率がよく、燃費がいいのが美点だ。

駆動力を途切れさせないので滑らかさも群を抜く。シームレスな加速が魅力だが、実際の速度とスピード感が一致しないため違和感を覚える人も多い。走りの楽しさにこだわる人は、ゴムを介したような鈍いラバーバンドフィールも嫌っている。

画像: CVTの概念図。ギア(歯車)はなく、ベルトとプーリーで、常に速度に応じた適切な加速感が得られるのが魅力だ。

CVTの概念図。ギア(歯車)はなく、ベルトとプーリーで、常に速度に応じた適切な加速感が得られるのが魅力だ。

DCT:キレの良い変速とスポーティな味わいが魅力

これと好対照なのが、MTを母体とするDCTだ。デュアルクラッチトランスミッションの頭文字を取ったもので、その名から分かるように2つのクラッチを内蔵した。ひとつは奇数のギア、もうひとつは偶数のギアを担当し、次のギアが常に待機しているから変速は素早くスポーティな味わいだ。

キレのよい変速が自慢だが、スムーズな変速には緻密な制御と高度な技術力が要求される。信頼性に難があり、トラブルも少なくなかった。日本ではゴーストップのシーンも多いから、採用するメーカーはまだ少数だ。

画像: DCTを搭載する身近なモデルは、ホンダ・フィットハイブリッド。i-DCD(Intelligent Dual Clutch Drive)にはモーター内蔵乾式DCT(デュアルクラッチトランスミッション)が用いられている。

DCTを搭載する身近なモデルは、ホンダ・フィットハイブリッド。i-DCD(Intelligent Dual Clutch Drive)にはモーター内蔵乾式DCT(デュアルクラッチトランスミッション)が用いられている。

画像: フィットハイブリッドに採用されたi-DCD(DCT)。

フィットハイブリッドに採用されたi-DCD(DCT)。

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