文:木村好宏/写真:Kimura Office
BMW X3フルモデルチェンジで狙うのは新たな上質感と受け入れやすさ
2014年にLCI(ライフサイクルインパルス=フェイスリフト)を受けた現行X3の発表から3年。今秋に開催されるIAA(フランクフルト国際モーターショー)で、新しいプラットフォーム(CLAR)を導入して開発されたニューX3(G01)が発表される。材料やサイズ面でよりフレキシブルとなったこのプラットフォームは、すでに7シリーズや5シリーズにも採用されているが、スチールに加えてカーボンやアルミ、さらにはマグネシウムなどの軽量材を大幅に利用できる。
その結果、ニューX3は現行X3(F25)より全長で68mmサイズアップしながら、重量は最大で55kg軽くなっている。加えてアルミ素材の採用による、ばね下重量の低減や洗練されたサスペンション設計などで最適化されたシャシは、レベルアップしたスポーティな走りを約束する。
エクステリアデザインは、デザイナーのカルバン・ルーク氏の説明が必要なほど、変化は少ない。彼の説明によればキドニーグリルは大きくなっただけでなく、グリル内の縦格子が前に迫り出して3次元、すなわち立体感が強調されている。加えて2世代目のフェイスリフトでキドニーグリルまで繋がったヘッドライトの目頭が、再び離れている。
また今回取材したスポーツバージョンのM40iは、フロント左右には大型化されたエアインテーク、その外側にはエアカーテン機能を果たすスリットがある。リア部分は、伝統のL字型から脱却して横長になったコンビネーションライトがワイドで安定した印象を与えている。なお空力特性のCd値は、最良モデルが0.29を記録している。
Xシリーズの進む方向性を指し示す新型X3の内外装デザイン。将来的にはEVも想定
インテリアは、エクステリア以上に大きな変化を見せて、そのクオリティが一気に上昇している。ドライバーの正面にはマルチファンクションディスプレイが組み込まれ、ナビゲーションディスプレイはフラットスクリーンの独立タイプとなり、視認性と質感が向上している。ダッシュボードデザインは水平ラインが強調されてドアライナーに繋がり、キャビンに広がりを持たせている。
加えてジェスチャーコントロールやインテリジェント音声アシストなど、オプションで最新のコントロールシステムも用意される。またXライン、ラグジュアリーライン、Mスポーツの3タイプ仕様が設定され、BMWインディビジュアルで内外装のカスタムオーダーも可能。
ドイツ本国で市場導入時に用意されるエンジンはガソリンが3種類、ディーゼルは2種類
出力は100kW(150ps)から265kW(360ps)で、全車に8速スポーツトロニックATを標準装備する(設定があるモデルのみ、下のリストでMTと表記)。
■ディーゼルエンジンモデル
sDrive18d[150ps/MT]
sDrive20d[190ps/MT]
xDrive20d[190ps/MT]
xDrive25d[224ps/MT]
xDrive30d[258ps]
M40d[320ps]
■ガソリンエンジンモデル
sDrive20i[190ps/MT]
xDrive20i[190ps]
xDrive30i[252ps]
M40i[360ps]
■プラグインハイブリッドモデル
xDrive30e[252ps]
xDrive40e[326ps]
この他、BMW会長のハラルド・クルーガー氏はフル電動式、すなわちX3 B-EVバージョンの登場を示唆する発言をしている。
もちろん最新世代のアダプティブクルーズコントロールや、セーフティパッケージのドライビングアシスタントプラス(ステアリング&レーンリードアシスト含む)、側面衝突防止機能を備えた車線変更(2017年12月導入見込み)&レーンキープアシストといったレベル3に近いパーシャル自動運転を可能にする“BMWパーソナル コ・パイロット”もオプションで搭載が可能だ。
最新のコネクティビティ機能もすべて採用、人とクルマ、周辺環境とのシームレスな繋がりを提供する。
このニューX3は、2017年9月のフランクフルト国際モーターショーで世界初公開され、ほぼ同時にドイツを皮切りに、まず欧州で販売が開始される。日本導入スケジュール(※)はまだ発表されていないが、おそらく東京モーターショーで発表後、早ければ2017年内に発売されるかもしれない。
※この記事は月刊モーターマガジン 8月号(7月1日発売)に掲載した内容をそのまま使用しています。なお、新型BMW X3は2017年10月19日に日本でも発表されています。