小排気量ディーゼルエンジンの開発には、様々な壁が待ち受ける
マツダが排気量1.5Lのディーゼルエンジンを送り出して注目を集めた。だが近年の4気筒ディーゼルエンジンでは、2L前後の排気量が主流となっている。1.5L以下のディーゼルエンジンがほとんど存在しない理由は、排気量をある程度大きくしてパワーを出さないと、エンジンが重くなるぶん効率が悪いからである。
ディーゼルは圧縮着火なので、圧縮比が高い。そのぶん、シリンダーブロックの強度が必要だ。そうしないと好燃費は期待できないし、カーボンがたまりやすいなどのトラブルが発生する可能性も高くなる。だから多くの乗用車用ディーゼルエンジンは、1気筒あたりの排気量を500cc前後に設定しているのだ。
が、1.5L以下のディーゼルエンジンがないわけではない。過去にさかのぼれば、1983年に発売した2代目シャレードに搭載されたCL型は1Lの3気筒ディーゼルだ。1気筒が331ccで993ccとなる。また、フォルクスワーゲンもアップ!に1L 3気筒ディーゼルエンジンを設定している。
2気筒ならスズキが東南アジア向けに販売している793ccの2気筒ディーゼルがある。自動車用以外でも、ヤンマーが汎用のディーゼルエンジンを開発し、784ccの3気筒は気筒あたり261ccだ。これが今のところ限界点と言えるだろう。もし軽自動車の枠に収めるなら振動は大きくても2気筒ディーゼルになる。
同じ排気量ならガソリンエンジンより重量は重くなるし、排出ガス対策も大変だ。そのため小排気量ディーゼルの未来は難しい。だが、ターボの助けを借りれば重さのハンディはカバーできる。排出ガス対策も、技術者の頑張りで乗り越えられるだろう。
2気筒は振動が大きいが、フィアット500のように振動が味になっているクルマもある。軽自動車は大変でも800ccから1000ccの3気筒ディーゼルエンジンなら実用化のハードルは低くなるだろう。今後の発展と進化に期待したい。