先手を打ったパリ、さて東京は?
世界のモーターショーは厳しい競争の中にある。2017年の東京モーターショーにイタリア/フランス勢などが参加しなかったことを見るまでもなく、メーカーによる選別が行われている。マーケットの動向に合わせて、メーカーは参加するモーターショーを選ばざるを得ないというのが現状なのだ。
そうした中、2年に1回、偶数年に開催される(奇数年は同時期にフランクフルトモーショー)パリモーターショーは、120周年を迎える今年、先手を打って大改革を行うことを明らかにした。
その内容は多岐に渡るが、まずは従来、奇数年に行われていたモーターサイクルショーを同時開催する。さらにモーターショーの他に、モビリティに特化した「モンディアル・ドゥ・ラ・モビリテ」と、新しいテクノロジーに特化した「モンディアル・テック」というふたつのイベントも同時に行うことになった。
しかも、モンディアル・テックは、いまやデトロイトモーターショーの内容と規模を凌ぐものになったアメリカの「CES(家電見本市)」とコラボレーションした。そして、CESのゲイリー・シャピロCEOがパリモーターショーのオープニングで基調講演を行う。
モンディアル・テックは自動車業界関係者と新テクノロジー関連企業関係者のみが入場可能なB to Bのイベントで、8つのイノベーション分野における「スタートアップ・アワード」という賞典も設けられる。そこにはモーターショーを単に一般ユーザー向けのイベントにするのではなく、メーカーにも役立つものにして、いっそう充実した意義あるものにしようという意図がある。
さらに自動車業界の女性リーダーを招いた「レディースナイト」、LIMITEDという特設コーナーにおけるスーパーカーの展示、週末は22時まで開場、夕方から入場可能な割安なチケットの発行など、挙げたらきりがないほどの様々な新企画、新サービスが予定されている。また、120周年記念のパレードをパリ市内で行うことも計画されているそうだ。
パリモーターショー2018の一般公開は10月4日(木)〜14日(日)で、開催期間は従来より減ることになるが、これも短期間で内容を充実させるという意図に基づくもののようだ。「モンディアル・ドゥ・ラ・モビリテ」はモーターショーと同日開催、「モンディアル・テック」は10月2日(火)〜6日(土)の開催となる。
さて、来年開催される「2019東京モーターショー」はどうなるのだろうか。「2020東京オリンピック」の準備のため2017年と同じように会場を使えないなど課題は多い。今回、発表されたパリモーターショー2018のような大改革を期待したいものだ。