BMW Mシリーズに起こり始めたさまざまな変革の波を、Motor Magazine誌が徹底検証。まずはM史上初の「V型12気筒」搭載モデルとなった『M760iL xDrive』の公道インプレッション(前編)をお届けしよう。(文:こもだきよし/写真:小平 寛)
画像: エクステリアには、専用のMエアロダイナミクスパッケージを標準装備している。

エクステリアには、専用のMエアロダイナミクスパッケージを標準装備している。

“M”のカリスマ性を抜きにして、BMWを語ることはもはや無理だ。

その物語は、1978年に登場したM1から始まる。サーキットをダイナミックに駆け抜けるパフォーマンスを持ちながら、同時に一般道でも気持ちがいい。豊かなフレキシビリティと快適性を兼ね備えた「BMWらしい」クルマづくりの原点だ。そのラインナップはいまや、セダン、クーペ、カブリオレ、SUVのカテゴリーまで広がった。

さらに、M3に代表されるいわゆる「Mシリーズ」とは別に、「Mパフォーマンスオートモビルズ」と名付けられた別ブランドでの展開も進んでいる。より万能性を重視したキャラクターが特徴で、本格的なサーキット走行をこなすことができる一方、快適性にも配慮が行き届いている。

画像: 今までにない、Mの新しい境地を切り開くのが「M760Li」

今までにない、Mの新しい境地を切り開くのが「M760Li」

そんな「Mパフォーマンス」が、いよいよ7シリーズに設定された。本格的に「M」らしいチューニングが施された、初めての「7」だ。しかもこれまではV10までしか設定のなかった「M」モデルに、なんと、6.6LのV型12気筒ツインターボエンジンを搭載してきたから驚く。

ついにV12の「M」。しかも4WD、の価値あるケタ違い。

画像: 8速ATとの組み合わせで、JC08モード燃費はリッター7.6km/Lだ。

8速ATとの組み合わせで、JC08モード燃費はリッター7.6km/Lだ。

実は、正式に市販されるMブランドとしてのV12気筒モデル搭載も、また史上初のことだ。かつて850iにはV12エンジンが搭載されていたが、噂のあったM8は姿を現さず、エンジンのチューニングは変わらない850CSiまでしか設定されなかった。その意味でこのM760Liは、記念すべきモデルと言えるのである。

その圧倒的なスペックとは裏腹に、市街地走行ではあまりにもジェントル、挙動も乗り心地も快適そのものだ。ドライバーが必要としなければ、アクセルペダルの動きに対して過敏に反応することがない。

最高出力610psというスペックに緊張してしまうかもしれないけれど、M760Liはペダル操作に対するゲインが高くないので、市街地や車庫入れなどでも扱いやすい。低速域から再加速する際にも、8速ATは最適なギアを選び、素早くスムーズに加速していく。変速の制御が、しっかり最適化されている。

ドライバーを包み込む絶対オン!感。800Nmは掛け値なし。

画像: ドライバーを包み込む絶対オン!感。800Nmは掛け値なし。

一方でいざアクセルペダルを深く踏み込んでいくと、文字どおり溢れ出すトルクによって、強烈な加速感が体験できる。xDriveというバッジがついていることからもわかるように4WD車だ。いくらCFRPとアルミで軽量化しているとはいえ、2180kgという重量級ボディであり余るパワーとトルクをいなすためには、4輪駆動化が必要だった。

通常のBMWの4WDは前後40対60のトルク配分から必要に応じてロックアップしていく。しかしM760Liではイニシャルのトルク配分が後輪寄りになっていることが特徴だ。後輪がホイールスピンしそうになると前輪にもトルクを伝えて、4輪でトラクションを発揮させる。もちろんアンダーステアが出そうなときには、前輪へのトルク配分を抑えることができる。

またオーバーステアの場合にはロックアップして前輪の駆動力を増し安定させる。ドライバーの意思に逆らわない、安定した走りだ。ちなみに800Nmという最大トルクは確かに圧巻。もっとも、6.6L V型12気筒ツインターボでなくても、M5以上のMモデルたちが搭載している4.4L V8ツインターボでも、発揮できそうな数字ではある。

しかしBMW M社でこのエンジンを開発したエンジニアは、交差点を曲がってからの加速やワインディングロードでのカーブの立ち上がりなどの加速時に、大排気量エンジンは有利だと力説していた。小排気量でもターボによって最終的に最大トルクは出せるが、アクセルペダルを踏み始めたところから溢れ出す豊かなトルク感は、やはり大排気量エンジンにしかない魅力なのだという。(後編に続く)

画像: メタル系のパーツは「セリウムグレー」と呼ばれるシックなカラーで統一。タイヤは前245/40R20・後275/35R20。

メタル系のパーツは「セリウムグレー」と呼ばれるシックなカラーで統一。タイヤは前245/40R20・後275/35R20。

BMW M760Li xDrive 主要諸元

●サイズ=5250×1900×1485mm ●ホイールベース=3210mm ●車両重量=2320mm
●エンジン=V6DOHCツインターボ 6592cc ●最高出力=610ps/5500-6500rpm
●最大トルク=800Nm/1550-5000rpm ●車両価格=2,466万円

新型M760Li xDrive の主な標準装備品(セーフティ&ダイナミック機能編)

■ アクティブ・プロテクション
■ PDC/パーク・ディスタンス・コントロール(フロント&リヤ、ビジュアル表示機能付)
■ パーキング・アシスト
■ ドライビング・アシスト・プラス
・ ACC/アクティブ・クルーズ・コントロール(ストップ&ゴー機能付)
・ ステアリング&レーン・コントロール・アシスト
・ レーン・ディパーチャー・ウォーニング(車線逸脱警告システム)
・ レーン・チェンジ・ウォーニング
・ アクティブ・サイド・コリジョン・プロテクション
・前車接近警告機能
・ 衝突回避・被害軽減ブレーキ
・ 後車衝突警告機能
・ クロス・トラフィック・ウォーニング(フロント&リヤ)
■ BMW ナイト・ビジョン(歩行者、動物検知機能付)
■ トップ・ビュー+ 3D ビュー
■ サイド・ビュー・カメラ、リヤ・ビュー・カメラ(予測進路表示機能付)
■ セルフ・レベリング機能付2 アクスル・エア・サスペンション
■ ダイナミック・ダンピング・コントロール
■ エグゼクティブ・ドライブ・プロ
■ ドライビングパフォーマンスコントロール(Adaptive モード付)
■ インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング(前後輪統合制御ステアリング・システム)
■ BMWレーザー・ライト(レーザー・モジュール付LEDハイ/ロービーム、LED インジケータ、LED アクセント・ライン、LED コーナリング・ライト。光軸自動調整機構付)
■ 20 インチ アロイ・ホイール(フロント)8.5Jx20 ホイール+245/40R20 タイヤ、(リヤ)10Jx20 ホイール+275/35R20 タイヤ

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