登場は2013年。4年が経ち、熟成が進んだアウトランダーPHEVは、時代が追いついてきたこともあり、今や「クルマ電動化時代」のセンターにいるSUVモデルともいえる存在になっている。2月の一部改良の際に登場した新たなトップグレード「Sエディション」に改めて乗る。モータージャーナリスト瀬在仁志氏のレポートだ。

日常使いなら充電で100%EVとしても走れる

2013年にデビューしたアウトランダーPHEVは、今、世界中で話題になっているEV化の流れをいち早くキャッチして、使い勝手の良さを失うことなく、モーターとエンジンの良いトコ取りをした三菱の意欲作だ。

ハイブリッド車(HV)には、日産ノートのようにエンジンを充電用だけに使ったり、トヨタ・プリウスのように必要に応じてエンジンとモーターを使い分けるシステムがあるけれど、アウトランダーPHEVは簡単に言えば、その2つの要素を取り入れた一歩進んだシステムとなる。

通常の走行なら100㎞/hくらいまではモーターで走ることが出来、状況に応じてエンジンが足りないパワーをサポートしてくれたり、バッテリーにゆとりがなくなりそうになったら、発電/充電のためにエンジンを始動させる。つまり電気のチカラだけで走ることができるうえに、今ある2つのHVシステムの機能を上手に組み合わせているところが大きなポイントだ。

エネルギーフロー

プラグインハイブリッドだから、充電して電池を満タンにしてEVモードを選べば60km近く走ることができ、普段の買い物や通勤程度なら電気自動車(EV)として使える。この場合、ガソリンは一切必要ない。

画像: うみほたるPAで急速充電。約25分で80%まで充電可能となる。充電電力使用時は60.8km(Gナビパッケージ/Gセーフティパッケージ/M)、60.2km(Sエディション/Gプレミアムパッケージ)走行可能だ。

うみほたるPAで急速充電。約25分で80%まで充電可能となる。充電電力使用時は60.8km(Gナビパッケージ/Gセーフティパッケージ/M)、60.2km(Sエディション/Gプレミアムパッケージ)走行可能だ。

遠くにドライブに出る時にはHVとして高速や加速時にエンジンの助けを得て、力強い走りを効率よく楽しむことができる。他の新しいHVモデルにちょっとばかり押され気味の様子だけど、実はいま考えられるベストな組み合わせを実現したことで、モーターのスムーズな走りを広範囲で楽しめるのだ。

実際にドライブに出てみると、モーターだけで3Lガソリンエンジン並の出力/トルクを持っていることから、通常モードでもEVとして滑らかで力強い走りができ、室内はとても静か。こんな身近にEVの走りを楽しめるのか…と改めて実感する。

デビュー当時は、サポートに入った際のガソリンエンジンの音が大きくて、ちょっと残念な一面もあったけど、今回乗った最新モデルでは始動時のエンジン回転数が低く感じられ、同じユニットながら洗練された印象。急加速時やエンジン走行時でも興ざめするようなことはなかった。

シャシ性能が進化し素直な走りができるSエディション

画像: アウトランダーPHEVのインパネ。スマートフォン連携ディスプレイオーディオ(SDA)はSエディションに標準装備。パドルセレクターは回生の大きさを変更するもの。回生ブレーキは駆動用バッテリーが満充電に近いほど効きが弱くなり、満充電時には効かなくなる。この場合でもフットブレーキは効くので、ブレーキペダルを踏んで減速すればよい。

アウトランダーPHEVのインパネ。スマートフォン連携ディスプレイオーディオ(SDA)はSエディションに標準装備。パドルセレクターは回生の大きさを変更するもの。回生ブレーキは駆動用バッテリーが満充電に近いほど効きが弱くなり、満充電時には効かなくなる。この場合でもフットブレーキは効くので、ブレーキペダルを踏んで減速すればよい。

画像: セレクターレバー手前にある「EVプライオリティモード」のスイッチ。スイッチを押すだけで、エンジンを始動させずに静かで穏やかなエコ走行が持続できる。その上は「4WDロックモード」スイッチ。押すとドライブモードが変更になり、滑りやすい路面において優れた走破性を発揮する。

セレクターレバー手前にある「EVプライオリティモード」のスイッチ。スイッチを押すだけで、エンジンを始動させずに静かで穏やかなエコ走行が持続できる。その上は「4WDロックモード」スイッチ。押すとドライブモードが変更になり、滑りやすい路面において優れた走破性を発揮する。

試乗したのは、この2月の一部改良時に登場した新グレード「Sエディション」。ボディ補強を加えたことやビルシュタイン製のダンパーを採用するなど、シャシ性能の進化も大きい。

グッと引き締められた足元は、無駄な動きが少なく操作に対して反応がスムーズで正確。大きなボディを感じさせない素直な走りを見せてくれる。


前後に独立したモーターをレイアウトしていることで、滑らかなパワーを4輪個々に伝達しているため、足元に伝わるインパクトも小さく、路面を上手に蹴り上げる。歴代のランサーエボリューションやパジェロなどで培ったきた4WD技術、ツインモーター4WDをベースにアクティブヨーコントロール(AYC)/ASC/ABSを統合制御したS-AWCシステムの賜物だ。

今回の試乗は、雨。とくに滑りやすい今回のような状況でも、ドライと変わらぬスムーズなコーナリングはもとより、旋回方法にスッとクルマを引き寄せていくような安定感はエボ譲り。三菱の持ち味である電子制御技術の高さを久しぶりに満喫することができた。

画像: 試乗した日は、あいにくの雨。それでもS-AWC(Super All Wheel Control)により安心の走行ができる。

試乗した日は、あいにくの雨。それでもS-AWC(Super All Wheel Control)により安心の走行ができる。

画像: 背の高いSUVながら、重心高が低めで安定した走り。とくにEV走行時は静粛性が高く、コンフォート性能はプレミアムSUVと呼ぶにふさわしい。

背の高いSUVながら、重心高が低めで安定した走り。とくにEV走行時は静粛性が高く、コンフォート性能はプレミアムSUVと呼ぶにふさわしい。

その上、高速走行では、モーター主導による静かな室内空間が生み出されていて、見かけによらずサルーン的な使い勝手の良さもある。これ一台でたくさんの機能と魅力を持ち合わせている点に、今の三菱が置かれている厳しさを感じる一方、持てる技術のすべてを集約させた一台ともいえる。SUVとEV人気は、これからさらに盛り上がることは必至。アウトランダーPHEVはデビューが早すぎただけで、2017年、時代の「ド真ん中」にいるモデルとして再注目してみたいところだ。

画像: ■文:瀬在仁志/写真:玉井 充

■文:瀬在仁志/写真:玉井 充

今回の試乗車
三菱 アウトランダーPHEV Sエディション

●全長×全幅×全高=4695×1800×1710mm ●ホイールベース=2670mm ●トレッド前/後=1540/1540mm ●室内長×幅×高=1900×1495×1235mm ●駆動方式=4WD モーター最高出力 前/後=82ps/82ps ●モーター最大トルク 前/後=137Nm/195Nm ●エンジン=直4DOHC・1998cc ●エンジン最高出力=118ps ●エンジン最大トルク=186Nm ●駆動用バッテリー=リチウムイオン電池 ●燃料・タンク容量=レギュラー・45L  ●タイヤサイズ=225/55R18 ●車両本体価格=478万9260円

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