セダンの寒冷地仕様にリアワイパーを採用することも
リアワイパーが多くの人たちに知れ渡ったのは1970年代半ばくらいからだ。引き金となったのは、独立したトランクを持たない2BOXデザインのクルマの登場だった。リアバンパーと近いところに大きなハッチゲートとリアガラスを持つため、雨の日にリアタイヤが巻き上げた水しぶきによって後方視界が遮られてしまうことが多いからだ。
水滴や泥、チリなどがリアガラスに付着して取れにくくなることから、リアゲートにワイパーを追加した。後輪のすぐ後ろにリアガラスのあるミニバンやSUVでもリアワイパーは威力を発揮する。
また、当時はリアカメラやコーナーセンサーもほとんどなかった。だから雨の日にバックするときもリアワイパーは頼りになる装備のひとつだった。とくに後方視界を気にする人に必需品となった。
一方、トランクのあるセダンやノッチバック2ドアクーペは、リアのオーバーハングが長い。そのため、水や泥を巻き上げてもリアガラスが汚れにくく、走行中にはルーフ後方を流れる風が水滴を飛ばしてくれる。装着スペースの制約やコストなどの理由から採用車が少ないのだ。
が、安全性の向上やこだわり派には必要だと考え、セダンやクーペにリアワイパーを採用するクルマもある。スカイラインはケンとメリーの時代から上級グレードに設定されていたものの、最近のモデルには採用されていない。トヨタは降雪地帯のユーザーに配慮して、マークXなどの寒冷地仕様車にリアワイパーを設定することがあった。
数ある国産自動車メーカーの中でも設定車がもっとも多いのが、アクティブ派ユーザーの多いスバルだ。ハッチバックだけでなく、セダンのインプレッサG4やレガシィB4、WRXなどにもリアワイパーを標準装備している。