静粛性はどう? 特殊舗装路で乗った
スキッドパッドで乗ったのと同じタイヤサイズのクラウンで、特殊舗装路面での比較を行いました。これは、60km/hでスタッフが運転し、ボクはリアシートで車内の音を比較してます。
スマホで動画を撮ったので、聞き比べてもらうのが一番早いですね。 動画をどうぞ。
新 アドバンdB V552
従来 アドバンdB
車内に入ってくるノイズ音量が若干小さくなっているのがわかりますか?
もちろん音量自体も相当抑え込まれていそうですが、なんというか、不快な音が上手く消されているんですよね。よく言われる「シャー音(高い音:パターンノイズ)」「ゴー音(低い音:ロードノイズ)」の低減だけじゃなく、その真ん中の音がチューニングされている、という印象です。とにかく、前席と後席に乗った人同士の会話も、トーンを上げずにすむ・・・そんなレベルでした。
高速性能はどう? 高速周回路で乗った
では、高速での性能はどうなのか。バンクがついたオーバルの高速周回路で試しました。これは新dB V552のみの試走で、新旧比較はしていません。
速度を上げてもシャー音は抑えられ、どこまでも静かなタイヤです。ここまで来ると風切り音のほうが目立ってくるレベルです。
高速でのレーンチェンジは、穏やかでした。ただ個人的には従来のアドバンdBの印象とはちょっと異なる印象がありまして。
それはどういうことなのかというと、従来アドバンdBって、コンフォートで静かなタイヤなんだけど、ボクの中でなんとなくスポーティなタイヤ、というイメージがあるんですね。「アドバン」という名に恥じない走行性を身につけよう、と、走りの性能も頑張った感じ。
それに対して新アドバンdB V552は、徹底的にコンフォートにこだわった、というイメージでしょうか。なんとなく、アスペックやDNAのころの「dB」に戻ったというか。
ざっくりと言ってしまえば、従来アドバンdBはちょっと欧州チックなタイヤ、新アドバンdBは、「ザ・ジャパニーズ・プレミアムコンフォート」って感じです。
普段の道はどう? 一般道を走行してみた
今回は横浜ゴム・テストコース「D-PARC」だけではなく、一般道走行というスケジュールも組まれていた。ふだんのタイヤ試走会ではなかなかない機会、こりゃ横浜ゴムの自信の表れでしょう。こちらも新旧比較ではなく、アドバンdB V552だけの試走となります。
まずはトヨタ・ヴェルファイア。このクルマにアドバンdB V552は、ハッキリ言って「合います」。ミニバンの場合車内空間が広いため、音が気になることがセダンタイプに比べて多くなりがちですが、タイヤを換えた効果がわかりやすく、これはオススメですね。
なんとなく走りがゆるい感じもあるんですが、穏やかな感じがマッチしていました。
次に乗ったトヨタ・カムリ+215/55R17サイズ。やっぱり良いですね。このハイブリッド車とアドバンdB V552はマッチングがいい気がします。ワインディングなどスポーティ走行をするよりも、日常的に街乗りをするほうが似合いそうです。
日産ノートe-Power のタイヤサイズは185/65R15なので、パターンデザインは通常のものとちょっと変わります。
ちょっと直進時、センター付近の無感領域(まっすぐ走っていて、ハンドルをチョコッと右左に振ったときにクルマが動かない部分)が大きい感じがしました。ただこれ、クルマにもよる(こうした試走会の場合、クルマはレンタカー)ので、タイヤのクセかどうかはちょっとわかりません。
ただこのアドバンdB V552、ほかのプレミアムスポーツタイヤや先代アドバンdBに比べると、センター付近の遊びが大きめなのは確かです。
それって、別にダルなタイヤだというわけじゃないんです。あまりそこら辺がシビアだと、ちょっとハンドルを切っただけでピキピキ動くような「疲れる」タイヤになってしまいます(最近はそんなタイヤは少ないけど)。これは「味付け」のレベルだと個人的には思います。
結論 アドバンdB V552は「原点回帰」だ
締めると、新しく登場したアドバンdB V552は「原点回帰」ってことなんじゃないでしょうか?
ここからは推測です。
アスペックやDNAの時代、「デシベル」の名のとおり静粛性を追求してきた「dB」ですが、「アドバンdB」に進化したとき、その「アドバン」という冠(ブランド名)が付いたために、商品の性格としてはちょっとスポーティ方向に向かって開発された。だけど今回は、歴史のある「dB」のとおり、静粛性を最重要課題として取り組んだプレミアムコンフォートタイヤになった・・・と。なんかそんな印象が強かったです。
■文:ネギシマコト/写真:横浜ゴム