クルマを売却や廃車で手放した際には、先払いしている税金や保険料が還付されます。きちんと還付金について説明してくれる業者も多いですが、中には買取価格に含まれているという理由で説明がないケースも。還付金は多いと5万円以上になる場合もありますので、損をしないためにもクルマの所有者に受け取る権利がある還付金について理解した上で、業者への売却を検討することが大切です。
クルマを売却や廃車で手放した場合、1年分を先払いしている自動車税や次回車検までの期間分を先払いしている重量税・自賠責保険料の未経過分が還付されます。これらの還付金は基本的にクルマの元の所有者に戻るお金ですが、ディーラーや買取業者でクルマを売却した場合には、この還付金額も買取価格に含まれているという理由で買取金額と別に受け取ることができないケースが多いです。
時期や支払った金額によって戻ってくる金額は異なりますが、還付金だけでも数万円になるケースも。損をしないためにも還付されるお金の種類やおおまかな金額を把握し、買取業者に還付金が買取価格に含まれているのか、どう取り扱われるのかをあらかじめ確認しておくことが大切です。
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クルマの売却や廃車をした場合に戻ってくるお金は5種類!
クルマを売却・廃車で手放し名義変更や抹消登録の手続きを行うと、「自動車税未経過分」「重量税未経過分」「自賠責保険未経過分」が元の所有者に還付されます。
また、国や自治体から還付される税金等とは異なりますが、「リサイクル預託金」や「任意保険の未経過分」も元のユーザーが受け取ることができるお金です。
ここからは、クルマの売却や廃車で受け取れるこれらの5種類のお金について詳しくご紹介します。手続き忘れ等で損をしないためにも是非参考にしてください。
①自動車税未経過分
自動車税は4月1日時点に使用者として登録されている人が、4月~翌年3月分を5月末頃までに納めなくてはならない税金です。税金を先払いした期間内に売却や廃車でクルマを手放すと未経過分が還付されます。
還付金は月割りで計算され、残存期間が1カ月未満の場合には還付がなく、また年払い制になっている軽自動車にも適用されません。また還付金は月ごとに計算されるため、月初めに手続きをしても月末に手続きをしても還付額は同じです。例えば4月1日~4月末までに名義変更や廃車の手続きを行った場合には、5月~翌年3月までの11か月分が還付されます。
自動車税は、2019年10月1日以降に新車登録をしたクルマ(軽自動車を除く)の税額が引き下げられていたり、10年を超えるディーゼル車は15%増税されたりと所有しているクルマの種類や新車登録年によって税額が異なり、支払い済みの金額によって還付額も変わります。詳しい還付額を知りたい方はこちらも参考にしてください。
(関連記事)【クルマ売却時自動車税額と還付金額】自動車税は月割りで戻ってくる!
②重量税未経過分
重量税とは、新規登録時と車検時に次回車検までの分をまとめて支払う税金です。新車登録の場合は3年分、継続車検時には2年分を支払い、自動車税と同じく未経過分が月割りで還付されます。
重量税の金額は、軽自動車の場合定額、自家用乗用車の場合はクルマの重量によって税額が変動します。また重量税は古いクルマほど環境に負担が大きいとして、新車登録から13年、18年を超えた時点で増額する税金です。
例えば新規登録から12年以内の1.5t以下のクルマを継続車検に出した場合、4100円×3=1万2300円が年間税額となり、その2年分2万4600円が車検時に支払う税金となります。
こちらも自動車税の計算方法と同じく残存期間分を月割りで計算するため、月の途中で手続きを行っても還付額は同じで、残存期間が1カ月未満の場合は還付がありません。
普通車 | 軽自動車 | |
---|---|---|
新規登録から12年以内 | 0.5トンごとに年間4100円 | 年間3300円 |
新規登録から13年~17年以内 | 0.5トンごとに年間5700円 | 年間4100円 |
新規登録から18年以上 | 0.5トンごとに年間6300円 | 年間4400円 |
③自賠責保険未経過分
自賠責保険は公道を走行するすべてのクルマに加入が義務付けられている強制保険で、新車登録時と継続車検時に次回車検までの期間分加入します。万が一整備不良等で車検満期に間に合わなかった場合に自賠責が切れてしまうことを防ぐため、車検期間プラス1カ月の25カ月や37カ月で加入するのが一般的です。
自賠責保険の金額は、毎年1月に料金の見直しが行われており年によって価格が変動します。還付金額は残存期間から月割りで算出され、残存期間が1カ月未満の場合には還付はありません。
こちらも月単位で計算を行うため、月初めに手続きを行っても月末に手続きを行っても還付額は同じです。
期間(2021年4月以降) | 自家用乗用車 | 軽自動車 |
---|---|---|
25カ月 | 2万0610円 | 2万0310円 |
37カ月 | 2万7770円 | 2万7330円 |
④リサイクル預託金
リサイクル預託金は、平成17年に始まった自動車リサイクル法に従い新車購入時にエアコンに使用されているフロンの廃棄やエアバッグのリサイクル等クルマの処分にかかる費用を、あらかじめ所有者が支払うものです。
一度支払ったリサイクル料金はクルマを手放したからといって還付されるわけではありませんが、売却したクルマが中古車として転売される場合には新しい所有者がリサイクル料の相当額を支払うこととなっていますので、元の持ち主が相当額を受け取れる仕組みとなります。
リサイクル券の金額はメーカーや車種、グレードによって様々で6000円~1万8000円程度。その金額はクルマを購入したときににもらえる「リサイクル券」で確認できます。
自動車税や自賠責保険と異なり国や地方自治体から還付されるものではないため、買取金額にリサイクル預託金相当額が含まれているとしてディーラーや業者にクルマを売却する場合には、特に説明を省かれてしまいやすい項目です。
損を防ぐためにも、適切な説明がない場合には契約時にリサイクル預託金の料金は買取価格に含まれているのか確認しておくことをオススメします。
⑤任意保険未経過分
任意保険を月契約しているケースでは、解約を申し出れば翌月から保険料の引き落としがされなくなりますが、長期契約することで保険料が安くなるため年間契約をしている方も多く、先払いした任意保険は手続きを行うことで未経過分を返金してもらうことが可能です。
ディーラーや買取業者が手続きを代行してくれる税金や自賠責保険の還付と異なり、任意保険の解約は自分で保険会社や契約した保険代理店へ連絡する必要があります。手続きを行わないと例えクルマを手放していたとしても料金が発生し続けてしまいますので、早めに対応するようにしましょう。
未経過分の返金に関する決まりは保険会社によって様々ですが、残存期間分をそのまま返金してくれるケースは少なく、ほとんどの場合「短期率」とよばれる係数を用いて算出した金額が解約割戻金として支払われます。また残存期間が1カ月未満の場合返金はありません。
任意保険料の計算は保険始期日を基準とし計算されることが多く、例えば5月20日始期の場合は毎月20日までに手続きを行わないと1カ月余分に保険料がかかってしまいますので、クルマを手放すことが決まったら早めに保険会社や代理店へ連絡をすることが大切です。
解約前に検討して欲しい任意保険の「車両入れ替え」や「中断証明発行」
任意保険を解約すると、それまで積み上げてきた等級がリセットされ再度任意保険に加入する場合には6等級からのスタートとなり、保険料が大きく増額することも。そのため今後もクルマに乗る可能性があるのなら、等級を維持する仕組みを利用することをオススメします。
等級を維持する仕組みには、大きく分けて「車両入れ替え」と「中断証明の発行」があります。車両入れ替えはクルマを乗りかえるときに使える方法で、これまで積み上げた等級を新しく加入する保険に適用することができます。
中断証明は、任意保険解後決められた期間内であれば解約時の等級から保険をスタートすることができる仕組みです。海外出張や転勤などを理由にクルマを手放しても、いつかまた乗るかもしれないという方は取得しておくことで、中断した時の等級を引き継ぎ、再加入時に保険料を安く抑えることが可能です。
こちらの記事では、任意保険の短期率や等級を維持する仕組みなどについて詳しくご説明しています。ぜひ参考にしてください。
(関連記事)クルマの売却を決めたら任意保険の手続きを!等級引き継ぎや払い戻し金の扱いについて
買取や廃車で戻ってくるお金まとめ
クルマの買取や廃車で戻ってくるお金は、自動車税未経過分・重量税未経過分・自賠責保険未経過分・リサイクル預託金・任意保険未経過分の5種類です。税金や自賠責保険の還付金に関しては、買取価格に相当額があらかじめ含まれているという理由で詳細を丁寧に説明してくれない業者が多いため、損をしないためには契約前にあらかじめ還付金がいくらあるのかとその取り扱いについて確認しておくことが大切です。
税金や自賠責保険は名義変更や廃車手続きをすることで還付されるので、ディーラーや買取業者に手続きを任せることができますが、任意保険の解約手続きは自分で保険会社や代理店に連絡を取る必要があります。払い過ぎを防ぐため、クルマを手放すことが決まったら早めに手続きを行いましょう。
また任意保険は解約することで、これまで積み上げてきた等級がリセットされます。再加入時に保険料が高額になってしまうこともありますので、解約ではなくクルマの乗換えなら「車両入れ替え」、直近でクルマを使用することはないが今後乗る可能性があるなら「中断証明の取得」という方法で、等級を維持することをオススメします。