日本市場でもかなりの人気モデルとなりそう
モデル名称変更により、メルセデス・ベンツのSUVモデルには、最初にGLの2文字が付き、3文字目のアルファベットでベースとなるメカニズムや該当するクラスが示されるようになった。たとえばGLSであれば、Sクラス級の大型SUVとなり、GLAはAクラスと同じ横置きエンジンのMFAプラットホームを使ったコンパクトSUVといった具合だ。
そうやって改めてメルセデス・ベンツのラインナップを確認していくと、この数年でSUVモデルが非常に充実したことがわかる。GLAとGLSは単一ボディ展開だが、Dセグメント相当のGLCと、Eセグメント相当のGLEにはタフで実用的なオリジナルのSUVスタイルに加えて、流麗なルーフラインを特長とする4ドアクーペボディも用意されている。
さらに、SUVというより本格オフローダーと表現したくなるGクラスも相変わらず根強い人気を得ているし、それらすべてにAMGモデルも用意されるので、そのラインナップ数は膨大と言って差し支えない。そして、その中から「これは日本市場でもかなりの人気モデルとなりそう」と予感されるのが、2月22日に登場したGLCクーペだ。
昨年上陸したGLEクーペに続く、クーペルックSUVの第二弾だが、メルセデスベンツがSUVのスポーツカーと称するこのシリーズは、欧州でも人気を呼んでいるという。ただ、GLEクーペはボディサイズがそれなりに大きく全幅は2015mmにも及ぶ。その点、全長が4735mm、全幅1930mm、全高160 5mmとしたGLCクーペは手頃で、日本の道路環境ではより扱いやすい。
GLCクーペが採用するメカニズムは、先に登場しているCクラスベースのGLCを踏襲している。したがって用意されるパワーユニットは、出力の異なる2種類の2Lガソリンターボに加えて、2.2Lディーゼルターボ、2Lターボ+モーターのプラグインハイブリッドの計4種類。ベースモデルとなる184psのGLC200クーペ/200クーペスポーツはFRだが、それ以外は4WDの4MATICとなる。今回試乗したのはGLC220d 4MATICクーペスポーツの本革仕様だ。
手頃なボディサイズの中に居心地のいいスペースを実現
前から眺めている限り、フロントグリルのフィニッシュが異なるくらいでGL Eとよく似たスタイリングに感じるが、ボディサイドに目を移すと、印象はガラリと変わる。全高はGLEより40mm低く、リアオーバーハングを中心に全長も75mm引き伸ばされていて、ルーフラインはフロントシートあたりを頂点に後方に向けて穏やかに引き下ろされ、ノッチバッククーペ風のまとまりを見せるテールエンドへと流れていく。
GLEクーペもほぼ同じ手法だが、サイズが大きいこともあってテールエンドのボリューム感が大きく感じられたが、このGLCクーペはサイズが手頃なため流麗なイメージが強くなる。
これだけ全高を低めると居住性が気になるところだが、フロントシートはヘッドルームにも十分な余裕があり、GLCとほとんど変わらない、見晴らしの良いコクピット環境が整っている。
一方リアシートはシートバックがやや立ち気味。もう少し上体が寝かせられるとリラックス感が増すだろう。ただし頭上空間はGLEに比べれば少ないものの、ルーフライニングの形状などにより十分な余裕を確保している。もちろんレッグスペースや幅方向の余裕などもゆったりとしているし、包まれ感のあるパーソナルな空間演出を好む人も多いので、このパッケージは間違いではないだろう。
ラゲッジルーム容量はルーフラインを寝かせて室内高が低くなった分を長さが補った感じで、定員乗車状態で500Lを確保している。GLEは550Lだから差は意外と少ない。ただ、3分割式シートバックすべてを倒した時に得られる最大容積は200L少ない1400Lとなっている。とは言え、これだけ積めればこのクラスとしては十分と言える。(後編に続く 文:石川芳雄/写真:永元秀和)
主要諸元 <GLC220d 4MATIC クーぺスポーツ[本革仕様]> 全長×全幅×全高=4735×1930×1605mm ホイールベース=2875mm 車両重量=1960kg エンジン=直4DOHCディーゼルターボ 2142cc 最高出力=125kW(170ps)/3000-4200rpm 最大トルク=400Nm(40.8kgm)/1400-2800rpm トランスミッション=9速AT 駆動方式=4WD JC08モード燃費=16.2km/L タイヤサイズ=前235/55R19:後255/50R19 車両価格=7,750,000円