ARTAが両クラスでポール獲得
土曜日に行われた予選からオレンジ旋風が巻き起こる。まずGT300クラスではQ1を何とか11番手通過でQ2へ繋げた55号車ARTA BMW M6 GT3が、高木真一の渾身のアタックでQ2トップタイム、ポールを獲得。その様子をコックピットから横目で見ていたのかいなかったのか、野尻智紀が続くGT500クラスQ2セッション、ラストアタックで暫定トップの23号車GT-Rを上回る逆転ポール。8号車ARTA NSX-GTの2戦連続ポールポジションは、AUTOBACS RACING TEAM AGURIの両クラスポール獲得という華々しいものになった。
スタートから後続を引き離す2台
今回のレース距離は300km、曇り空ながら気温は29度まで上昇、この季節としてはそれほど厳しいコンディションではない。GT500クラスのスタートは波乱なく、一方GT300では65号車AMGと3号車GT-Rの接触があり3号車がリタイアとなる。両クラスともARTAのマシンは後続を引き離し序盤から独走態勢を築く。GT500クラスで6番手スタートの38号車ZENT CERUMO LC500が序盤から速いペースで2位走行の23号車MOTUL AUTECH GT-Rを追いあげる。GT300では4番手31号車TOYOTA PRIUS apr GTが22周目にピットインしタイヤ無交換でコースに復帰。55号車のピットタイミング次第ではレース後半トップに追いつく可能性も。
ライバル達のポジション争い
レース中盤から終盤にかけ全車のピット作業が完了。GT500クラスではピットイン前から23号車GT-Rと38号車レクサスの2位争いが展開されており、それは終盤さらにヒートアップ。ついにはトップ8号車NSXをも上回るラップで周回を重ねるが、8号車アンカー小林崇志は冷静にマシンを運ぶ。GT300クラスでは、タイヤ無交換作戦の31号車プリウスがピット作業を終えた55号車BMWに2秒差まで近づくが、やがてペースが落ち4号車グッドスマイル初音ミクAMGにかわされ3番手に。しかしその4号車をもってしても55号車に追いつく事はかなわない。
そして2台揃ってのポール・トゥ・ウィン
ポールポジションから1度トップの座を譲ることなく8号車ARTA NSX-GTが300km、66周のレースをフィニッシュ。GT300クラスでも同様に55号車ARTA BMW M6 GT3がトップチェッカーとなり、AUTOBACS RACING TEAM AGURIが見事に両クラスでポール・トゥ・ウィンを達成した。同チームにとってGT500、GT300クラス同時優勝は2013年第4戦菅生以来の2度目となる。
歓喜の表彰台、横にはしっかりチャンピオン候補
今回の富士戦はまさしく「ARTA DAY!」オレンジ色の旗が場内にはためく表彰式。しかしシリーズ年間の主役は表彰台の中央ではなく、その脇でこっそりほくそ笑んでいた。GT500クラスで2位となった23号車松田次男・ロニー・クインタレッリ組と、3位の38号車立川祐路・石浦宏明組は共にドライバーズランキングで41ポイントとなり、トップとは3ポイント差につける。GT300クラスでも2位入賞の4号車谷口信輝・片岡龍也組が、リタイアに終わった25号車を抜きランキングトップに立った。
(PHOTO:井上雅行)