さすがポルシェだと言っていいだろう。3年前、朽ち果てようとしていた50年前のポルシェ911を購入、それを長い時間かけてレストアしてついに完成させた。なぜ、このクルマにこだわったのか。そこには大きな意味があったのだった。
3年前にTVクルーが発見
1964年、ポルシェは356の後継車として“901”というモデルを開発して一般に披露したが、生産開始からかずか数週間で商標権の問題で名称を変更しなければならない事態に陥った。そうした理由で“911”となったのだが、901として生産されたモデルをポルシェミュージアムは所持していなかった。
そして、このレアなモデルが2014年、ドイツのコレクターズアイテムなどを扱うテレビ番組の取材クルーによって発見された。車体番号を確認すると「300057」、すなわちそれは「901No.57」を意味するものだった。
ポルシェミュージアムは即座に購入を決定して、レストアを開始した。しかし、この錆び付いたクルマを元の状態に戻すのはたいへんな仕事で、異なるクルマから取った純正パーツを使用するなどしたため、3年の歳月を必要としたというわけだ。
ポルシェミュージアムはパーツ交換を最小限に留め、できるだけ元のものを利用するということを原則としている。歴史的に重要なモデルを蘇らせるためには、それなりに時間がかかるものなのである。
さて、この復元された「最も古い“911”」は、2017年12月14日から2018年4月8日までの間、「911(901No.57)レジェンドのテイクオフ」という特別展示で披露される。もしこの期間にドイツに出かけることがあるのなら、ポルシェミュージアムを訪ねることを検討する価値はあるのではないだろうか。