新たな風が吹く
スーパーフォーミュラ選手権を運営するJRP(株式会社日本レースプロモーション)は、2019年よりTCR車両による新シリーズの立ち上げを発表した。コックス株式会社と株式会社童夢を加えた3社で「日本TCRマネジメント株式会社」を設立、シリーズ詳細については新会社より後日発表される。
レッドブルF1チームのヘルムート・マルコ氏が緊急来日。ジュニアドライバー育成の場としてスーパーフォーミュラに興味があるということだが。レッドブルファミリーのF1のシートが1つ空く事が確実なだけに、様々な憶測を呼んでいた。
エンジン対決第2章
今レースよりトヨタ、ホンダともにニューエンジンを投入。予選Q3へ進んだ8台のうち5台がホンダユーザーだが、ポールを獲得したのはトヨタユーザーの石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)。しかし2位~4位はホンダユーザーが占めるなど、後半戦も五分五分の戦いが期待できる。
ポールからスタートした石浦を、2、3番手からDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの2台が追いかける。レース周回数は52周、ソフトタイヤを選択した上位陣とミディアムでスタートした中団グループとで戦略が大きく分かれる。
タイヤストラテジー
1周目に石浦を攻略した松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がトップの座をキープする。2番手石浦の背後に9番スタートからハイペースで追い上げる平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が迫るが、平川は16周目にピットインし再びソフトタイヤを装着。ミディアムを最後に残した2ピット戦略を仕掛ける。
一方、ミディアムを選択したマシンは10周前後でピットイン。予選5番手からミディアムスタートのニック・キャシディ(KONDO RACING)は11周目にソフトへチェンジ。3周後にピットインした山本尚貴(TEAM MUGEN)のアウトラップを押さえ込む。ポイントリーダー上位2名のチャンピオンシップを見据えた戦いにも注目が集まる。
トップを行く松下は28周目にピットイン、ミディアムへ交換。逃げ切りを図りたいところだが、その前を走る関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)に抑えられ本来のペースで走行できず。ペースを上げられないまま後ろから来たキャシディにオーバーテイクを許してしまう。
磐石の”逃げ”
これでトップとなった石浦は、オーバーテイクシステムを駆使してソフトタイヤの限界まで逃げる。松下、キャシディに対して十分なマージンを稼ぎ出し、余裕のピットインかと思われた。
序盤にソフトーソフトと繋いだ平川がハイペースで石浦を追いかける。チームメイト関口の働きもあり松下、キャシディより前でピットアウト。気づけばトップの石浦に対し10秒以内の2番手、そしてさらに差を詰めるべく猛プッシュ。そして39周目に最後のピットイン、ミディアムへ交換。
欧州F2から一時帰国した福住仁嶺(TEAM MUGEN)は今回でSF参戦2戦目。開幕戦の活躍から今レースも期待されたが、序盤に他車との接触でダメージを負うなどマルコ氏視察のレースで良いところを見せられず17位に沈む。ファステストラップ記録が唯一の救いか。
それぞれの歓喜
ソフトタイヤを使い切り41周目にようやくピットインした石浦は十分なマージンによりトップでコース復帰。その後残り周回を淡々と走りきりチェッカーを受けポール・トゥ・ウィンの完勝劇。速さをアピールした平川が自己最高位タイの2位でフィニッシュ。そして3位に入ったキャシディはポイントランキングで首位に立った。
優勝した石浦宏明は合計24ポイントでランキング2位の山本尚貴と同ポイントとなった。27ポイントのキャシディは十分射程距離内、このレースに並々ならぬ覚悟で臨んだだけに喜びもひとしお。
2ピット作戦を見事成功させた平川を星野一義監督は「最高だ!」と称える。事実、今レースで一番輝く走りを魅せていたのは「平川亮」であると、観客の誰もが感じたことだろう。そしてそのレースを現場で見ていたマルコ氏。平川のドライバー人生で大きなターニングポイントとなる1戦かもしれない。
(PHOTO:井上雅行)