ナンバーの左側に、ひらがなで“わ”と書かれていたら、その車両はレンタカーを含めた貸渡用車両であることを示している。これはよく知られた話だが、実は“わ”以外にもうひとつ、レンタカーにつけられている文字がある。

まずは、ナンバープレートの“ひらがな”部分を解説

ナンバープレートの左側には、基本的にひらがなが表記されるスペースがある。例外として駐留軍人の私用車などに「Y」や「E」などのアルファベットが使用されているものの、一般的な自家用車であれば下記の29字が登録車に採用されている。

自家用車のナンバープレートに使用されているひらがな、29字

さ・ ・す・せ・そ
た・ち・つ・て・と
な・に・ぬ・ね・の
は・ひ・ふ・ ・ほ
ま・み・む・め・も
や・ゆ・ 
ら・り・る・ ・ろ

屁を連想しやすい「へ」や縁起の悪そうな「し」、発音しにくい「ん」は欠番となっている。

また、“あ行”と“か行”はタクシーや運送業トラックなど事業用車両…いわゆる緑ナンバーに採用されている。だから、この10字が自家用車に使われることはない。さらに「お」は、「あ」と見間違われる可能性もあるので、「を」が代用されている。

ひらがなではあるが、「よ」も実は駐留軍人のための文字だ。日本で退役・除隊した場合、アルファベットから「よ」に切り替わるという。

前置きが長くなったがここからが本題、“わ”ナンバーだ

さて、「わ」ナンバー」という言葉を知っている人がほとんどだろう。言うまでもなく、ナンバープレートに“わ”と表示されていれば、その車両はレンタカーを含んだ「貸渡用車両」ということになる。さらに、最近台数を増やしてきたカーシェアリングの車両も“わ”だ。

しかし、あまり知られていないが「わ」以外に、もうひとつレンタカー/シェアリングカーを示す文字がある。それが「れ」だ。国土交通省では「貸渡用車両のナンバーは、“わ”もしくは“れ”とする」と規定している。

画像: レンタカーやシェアリングカーなど、貸渡用車両は“わ”、もしくは“れ”と規定されている。

レンタカーやシェアリングカーなど、貸渡用車両は“わ”、もしくは“れ”と規定されている。

「見たことない」と思った人も多いだろうが、それもそのはず存在する場所は今のところ沖縄と北海道などごく限られた地域だけだからだ。

その理由は、観光客の多さだ。しかも、両地域ともにクルマの自走で入ることのできない土地だからこそレンタカー利用者が多く、「わ」の発行も多かったようだ。そのため2010年代中頃になると沖縄で「わ」が枯渇、現在は「れ」ナンバーが発行されているという。

この状況は北海道でも同様…と思ってしまいがちだが実は状況は微妙に異なり、しかも複雑だ。というのも、1970年代に決められた「貸渡用車両は“わ”もしくは“れ”ナンバーとする」というルールに則り、どういうわけだか北海道の運輸支局だけ、“れ”を採用してしまったのだ。

ところが、全国的に「レンタカーは“わ”ナンバー」という認識が広まっていたことから、1990年代に北海道でも「わ」に統一することに。そして時は流れて2010年代に入ると、さらに状況が変わって札幌地域をはじめとして「わ」が枯渇しだしたのだ。

そうなると、待望の「れ」復活である。北海道だけで通用していた「レンタカーは“れ”ナンバー」という常識をふたたび使えるようになり、道民が歓喜したとか、しなかったとか。ともあれ、北海道や沖縄などで近年「れ」ナンバーのレンタカー目撃情報が相次いでいる。

では、もし「れ」も枯渇したら? うーん…その時はあれだ、先日記事にした分類番号へのアルファベット導入ではなかろうか(https://web.motormagazine.co.jp/_ct/17248487)。これで十数年は時間稼ぎできるだろう。

この「れ」ナンバー、考えてみれば北海道・沖縄だけの話ではなさそうだ。というのも、カーシェアリングの普及で首都圏でも“わ”ナンバーが急増中だ。もし今後、品川や練馬、横浜地区などで “わ”が枯渇したとなれば、“れ”を付けたレンタカー・シェアリングカーが登場することだろう。

画像: 沖縄や北海道で増殖中の“れ”ナンバー車両。この写真は画像加工で制作した架空のナンバーです。

沖縄や北海道で増殖中の“れ”ナンバー車両。この写真は画像加工で制作した架空のナンバーです。

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