完璧にマシンを仕上げないと好タイムが出ない難しいコース設定
モナコGPが行われるモンテカルロの市街地サーキットは、抜きどころが少なく、少しでもミスをすればコンクリートウォールの餌食になるシビアなコース。平均速度は時速130kmとF1カレンダーの中で最も遅いが、最も難しいコースとも言われている。精密なドライビングと高い集中力、メカニカルグリップとエアロダイナミクスなどすべてが揃わないと好タイムが出ないことでも知られる。
同じ市街地サーキットでもバクーと異なり長いストレートがないのでタイヤ温度は比較的コントロールしやすく、追い越しは難しいため決勝ではタイヤワンストップ戦略が一般的となる。ただし、セーフティカーが導入されることが多く、レース戦略とピット判断によって順位を大幅に入れ替わることもある。
コースは1950年のF1世界選手権発足当時とほぼ同じで、表彰台は存在せず、優勝ドライバーはコース近くに設けられた貴賓席でモナコ国王からトロフィーを受け取るのが決まりとなっている。
昨年はレッドブルのダニエル・リカルドがパワーユニットに問題を抱えながらポール・トゥ・ウインを飾り、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)も20番グリッドから9位に入賞した。またトロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーは7位でチェッカーを受けて、初のモナコでポイントを獲得した。
ホンダF1現場責任者の田辺豊治テクニカル・ディレクターはモナコGPに先立って「開幕から続いたフライアウェイレースからヨーロッパへと戻り、初戦のスペインGPでは表彰台を獲得しました。いよいよ伝統のモナコGPに挑みます。モンテカルロ・サーキットは公道のため路面は滑りやすく、狭いコースの両側にはバリアが迫ることもあり、ドライバーの腕が試されるグランプリと言えます。低速コーナーが多くシャシ性能が求められるコースではありますが、パワーユニットの性能がラップタイムに与える影響も見逃せません。コーナー進入時の減速や、低速コーナーからの立ち上がりなど、パワーユニットのドライバビリディが重要です。そのコース特性ゆえにオーバーテイクが非常に困難ですので、まずは良いスタートポジションを獲得することが目標です。スペインで得た勢いを維持しながら、今回もいい結果を得られればと思っています」と語っている。
このところ好調なレッドブル・ホンダでは、マックス・フェルスタッペンが「モナコはとても特別で多忙な週末ですが、とても楽しいです。長い歴史を持つ市街地コースですが、僕にとってはここ数年いいものではありませんでした。しかし今年はその流れを好転させられればと思います」という。
また、ピエール・ガスリーは「モナコの予選はシーズン中で最もエキサイティングです。コースを回る70秒の間、アドレナリンがあふれて壁に触れるギリギリのところで走っています。テクニカルなコースであることも好きな部分で、昨年の予選では素晴らしい気分になれました。昨年2番目にいい成績を残すことができたコースなので、またモナコで走るのが楽しみですし、勢いを維持していきたいです」と語っている。ちなみにフェルスタッペンはモナコGPの決勝ラップレコードを保持、ガスリーは昨年7位に入賞している。
一方、2台揃ってのトップ10入りを目指すトロロッソ・ホンダでは、ダニール・クビアトが「初めてコースに出るとき、慎重に進み徐々にスピードを上げなければなりません。そして、一周ごとにペースを上げ、自分の限界を見つけるまで走っていきます。モナコのレーススピードはほかのどのコースよりも低いですが、マシンの中からは非常に速く感じます。バリアが非常に近いため、コースが狭く感じられ、体感スピードがより速くなるからです。それが面白くもあるし、モナコ独特のものです」という。
アレクサンダー・アルボンは「初めてF2でレースをしたときは予選2番手、そして昨年のF2ではポールポジションを獲りましたから、僕にとっては相性のいいコースです。僕は市街地コースが好きですが、アゼルバイジャンGPではF1マシンで市街地コースを走るとすごいスピードになることを実感しました。チームメートのダニールは”カオスな週末になる”と言っていますが、その準備はできています」とインタビューに答えている。
F1第6戦モナコGPは、5月23日木曜日11時(日本時間18時)からのフリー走行1回目で幕を開ける。予選は5月25日15時(日本時間22時)、決勝は5月26日15時10分(日本時間22時10分)に開始される。