2019年7月22日、TOYOTA GAZOO RacingはWEC世界耐久選手権2019/2020年シーズンに投入する新型トヨタTS050ハイブリッドを初公開した。7月23日からスペインのカタロニアサーキットで始まる公式テスト「プロローグテスト」に参加、WEC連覇、ル・マン3連覇に挑む。(タイトル写真はプロローグテストに姿を現した新型トヨタTS050ハイブリッド)

性能調整はさらに拡大、それでも負ける訳にはいかない戦いが始まる

トヨタTS050ハイブリッドは先代TS040ハイブリッドに替わるトヨタのハイブリッドレーシングマシンとして2016年にデビュー、2.4L V6直噴ターボエンジンとハイブリッドシステムの組み合わせによって1000psを発生するパワートレーンを搭載し、WEC世界耐久選手権2019/2020年シーズンを制覇するとともに、ル・マン24時間レースを連覇した。

今回発表された新型トヨタTS050ハイブリッドはその2019/2020年仕様と言えるもので、「昨シーズンのTS050 HYBRIDは最速でしたが、ライバルも開発を続けており、ライバルの卓越した開発能力を考えると、我々も開発を止めるわけにはいきません。空力パッケージ、信頼性向上のため、細かい変更を加えました」(パスカル・バセロン テクニカルディレクター)とのこと。実際に公開された画像を見ると、フロントノーズ、フロントカウル、サイド開口部の形状などが変更されているようだ。

WECには2020/2021年シーズンから新しいハイパーカー規定が導入されることがすでに決定しており、この2019/2020年がトヨタTS050ハイブリッドで戦う最後のシーズンとなるが、それでもマシンの進化が止まることはない。今シーズンはさらなる性能調整が加わることになっていて、楽勝は許されない状況となりそうなのだ。

村田久武 TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表

画像: 村田久武 TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表

「ワールドチャンピオンとして迎えるWEC新シーズンが待ち遠しいです。今シーズンはLMP1ハイブリッド規定の最後となります。それは同時にTS050 HYBRIDにとっても最後であることを意味します。TS050 HYBRIDは多くの勝利を収めましたが、博物館に行く前に、それをさらに積み重ねることができればと願っています。チームの最大の目標はル・マンの3連覇を果たすことです。それがチーム全員への贈り物になると思っています。次世代ハイパーカーの準備も並行して進めていますが、前年の覇者として臨む今シーズンも挑戦を続け、皆様に良いレースをお見せしたいと思っています」

アロンソの後任としてブレンドン・ハートレーが加入

また同時に、ドライバーラインアップも正式発表されている。今シーズンも2台体制で、7号車は昨年と変わらず、マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスの3名。8号車はセバスチャン・ブエミと中嶋一貴の2人に、2017年のル・マン勝者で、かつWECチャンピオンであるブレンドン・ハートレーが加わる。

小林可夢偉(7号車)

画像: 小林可夢偉(7号車)

「つい先日ル・マンを終えたばかりのような感覚なのにもう新たなシーズンが始まってしまうのかという思いです。昨シーズンはル・マン勝利まであと一歩でした。すべてが順調に見えても、厳しいレースではドラマが起こります。7号車は全員でル・マンでの勝利を目指し攻め続けます。7号車、8号車ともに経験豊富なドライバーが揃っているので、今シーズンもエキサイティングなレースになるでしょう」

マイク・コンウェイ(7号車)

画像: マイク・コンウェイ(7号車)

「新しいシーズン開幕を楽しみにしてきました。レースの現場に戻り、また新たなチャレンジに臨めるのは素晴らしいことです。今季はTS050 HYBRIDにとって最後となる特別なシーズンです。幸運にも私はデビュー当時からTS050 HYBRIDでレースし、とてもよい経験をしてきました。とくにル・マンをこの車で走るのは本当に最高です。TS050 HYBRIDで最後のシーズンを戦うために私たちは努力を続け、全員でル・マン勝利を目指します」

ホセ・マリア・ロペス(7号車)

画像: ホセ・マリア・ロペス(7号車)

「私の目標は、マイク、可夢偉とともに多くのレースで勝利しシリーズチャンピオンになること、そしてル・マンでの勝利です。今シーズンはTS050 HYBRIDにとって最後のシーズンということで複雑な気分です。TS050 HYBRIDのダウンフォースやスピード、パワーは最高ですし、このような素晴らしい車でレースができたのは幸運だったといつか言う日が必ず来るでしょう。レース中は毎周回、そして全ての瞬間を楽しみ、TS050 HYBRID最後のシーズンを楽しみたいと思います」

中嶋一貴(8号車)

画像: 中嶋一貴(8号車)

「世界チャンピオンとしてシーズンを迎えるのは素敵な気分です。目標はTS050 HYBRIDの最後のシーズンにタイトルを防衛することです。TS050 HYBRIDで長きにわたってレースを戦ってきて、多くの特別な瞬間を味わってきただけに別れは残念です。しかし同時に、新しいレースカーでの挑戦はとてもエキサイティングなものになるでしょう。WECを新しいハイパーカーで戦うのが今から楽しみです。また今年も簡単なシーズンではないでしょう。エキサイティングなシーズンになるのは間違いありません」

セバスチャン・ブエミ(8号車)

画像: セバスチャン・ブエミ(8号車)

「ブレンドンが加わる今シーズンは新たなチャレンジになります。彼とはずっと友人で、一貴と私のチームに彼が加わることをうれしく思います。彼がチームを家族のように感じられるようにしたいですし、ともに勝利を重ねて行ければ、と思っています。私たちはTS050 HYBRIDでずっとレースを戦ってきました。そんな時間も来年6月のル・マンでエンジンを止めた瞬間に終わると思うと、その時はすごく感慨深いものになると思います」

ブレンドン・ハートレー(8号車)

画像: ブレンドン・ハートレー(8号車)

「ル・マンを出場せずにただ見ているのは少し辛い時間でしたが、新しいチームに溶け込むための良い機会でもありました。私は初めて出場した2012年からル・マンが大好きでしたが、2年間出場できなかったので、戻れるのを心待ちにしていました。ル・マンのテスト以来、TS050 HYBRIDでの初めての本格的な実走行テストを行いましたが、既にTS050 HYBRIDに慣れ、更なるスピードアップに挑んでいます。私は常に、得られた結果よりも、自分がどれだけベストを尽くしたか、を重視します。もちろんシリーズチャンピオンやル・マンで勝利できたら最高です」

TS050 HYBRIDにとって最後のシーズンは、開幕戦となる9月1日のシルバーストーン4時間レースを皮切りに4大陸を巡る、全8戦、計66時間の戦いとなります。シリーズは、富士スピードウェイ、アメリカのセブリング、ベルギーのスパ・フランコルシャンを経て、来年の6月13日~14日のル・マン24時間レースで最終戦を迎えることとなる。

2019-2020 FIA世界耐久選手権(WEC)カレンダー

第1戦 2019年9月1日 シルバーストーン4時間
第2戦 2019年10月6日 富士6時間
第3戦 2019年11月10日 上海4時間
第4戦 2019年12月14日 バーレーン8時間
第5戦 2020年2月1日 サンパウロ6時間
第6戦 2020年3月20日 セブリング1000マイル
第7戦 2020年5月2日 スパ6時間
第8戦 2020年6月13-14日 ル・マン24時間

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