予選14番手ながら、レース終盤までハイペース
前夜からの雨に続き、午後になって強い雨が降ったため、決勝スタート直前のコース路面は完全ウエット。セーフティカー先導で全車エクストリームウエットタイヤを履いてのレーススタートとなったが、クビアトは冷静だった。
セーフティカー先導で3周を周回した後、14番グリッドからスタートしたクビアトは、セーフティカー導入のタイミングで、3周目に思いきってインターミディエイトに交換。さらに25周目のセーフティカーのタイミングで今度はユーズドのソフトタイヤに交換。その後再び雨が降り始めると、早めにインターミディエイトタイヤに交換と、効率よく、状況に応じたタイヤを撰択していく。
そして残り20周となった時、3度目のセーフティカーが導入、ここでトロロッソ・ホンダが思いきった作戦に出る。クビアトは他チームに先駆けてスリックタイヤ(ここで新品のソフトタイヤ)に変更。他チームよりも1周早いタイミングで判断をし、アウトラップをプッシュしたことで、その後各車がピットに入ると3番手に浮上。レースペースもよく、その後ストロールをオーバーテイクして2番手にまでポジションアップを果たし、トップを走るフェルスタッペンに続いて、ホンダエンジン搭載車の1-2フィニッシュが現実味を帯びてきた。
セーフティカーにより各マシンの差が縮まり接近戦となったこともあり、クビアトはその後セバスチャン・ヴェッテル(フェラーリ)にオーバーテイクされるが、なんなく3位表彰台を獲得。トロロッソとしては2008年以来の表彰台、ホンダとしては1992年以来のダブル表彰台となった。
ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)
「F1での2度目のチャンスとなる今シーズン、こうして表彰台にまた戻って来ることができて最高の気分です。今はいろいろな感情が高ぶって、少し落ち着く時間が必要かもしれないですね。トロロッソにとっては、ヴェッテル選手がイタリアGP(2008年)で優勝して以来の表彰台という、すばらしい結果になりました。そんな記念すべき日に貢献することができ、とても幸せです。チームのみんな、一人一人のおかげです、本当にありがとう。ここのところ、自分のキャリアの中でもっとも良い状態だと感じていました。この結果を一度とは言わず、また何度も繰り返せるようにしていきたいです」
これに対し、ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「クビアト選手が3位表彰台獲得とすばらしい結果になりました。レースはウエットとドライが入り混じる難しいコンディションになりましたが、そんな中、クビアト選手はすばらしいドライビングを見せ、チームは的確なストラテジーとピット作業を成し遂げ表彰台を獲得することができました。トロロッソと昨年ゼロから一緒にプロジェクトをスタートしてきた歴史を思うと、ホンダにとっても本当にうれしい表彰台になりました。トロロッソのメンバー全員に心からおめでとうの言葉を送ります」とコメントしている。
レースはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が優勝、ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)が3位入賞、レース終盤にはホンダエンジン搭載車が4台ともポイント獲得圏内を走行するなど、ドイツGPはホンダにとって歴史的な一戦となった。