飲み物やタオルなどは十分に用意しておきたい
乳幼児を車内に置き去りにして死亡させてしまった事件は、今もなお後を絶ちません。春から秋にかけて日向にクルマを駐車していると、車内の温度は想像以上に高くなり大変危険です。
エアコンをかけたままだから大丈夫!と思うのは大間違い。エアコンが効いた車内でも、チャイルドシートに乗せられた乳幼児の身体に直射日光が当たっていると体感温度が上昇し、脱水症状を起こすリスクが高くなります。
お盆休みの帰省ドライブでも、高速道路の渋滞などで直射日光が後部座席のチャイルドシートに当たり続けていると、子どもが熱中症になる可能性が高いので、十分注意が必要です。できれば、クーラーボックスに保冷剤、凍らせたペットボトルの飲み物、水、おしぼりなどを入れて積んでおきましょう。いざというときに、バスタオルと水があれば、気化熱で体を冷やすのに役立ちます。
走行中は、子どもに直射日光が当たらないように、チャイルドシート用サンシェードを使うとか、チャイルドシート側の窓に日除けカーテンを取り付けるとか、UV・太陽熱カットフィルムを窓に貼って車内温度の上昇を防ぐなどの対策をしましょう。
熱中症対策には、走行中でも水分補給はマメにすること。大人は渋滞中のトイレのことを考え、つい水分補給を控えてしまいがちですが、一度に大量に飲まなくても、少量ずつマメにとることで効果があるそうです。
また、暑いからといって、エアコンの温度を下げすぎると、汗かきの小さい子どもの負担になるので、寝ているときは大判のタオルなどを使って身体を冷やしすぎないように気を付けてあげましょう。エアコンの風が直接当たらないように、ルーバーで風の向きを調整することも忘れずに。
パーキングエリアなどでの休憩中、クルマから離れていると車内温度が上昇しているので、乗り込むときに冷却スプレーを使って車内の温度を下げるのもいいでしょう。ただし、日の当たるところにスプレー缶を放置すると危険なので、車内に置きっぱなしにするのは避けること。
また、駐車中にチャイルドシートに直射日光が当たっていると、熱くなってバックルの金具などで火傷するリスクもあるので、バスタオルなどで日光を遮るようにカバーしておいたり、保冷剤を置いておくのもおすすめです。
パーキングエリアなどで、子どもを乗せたままキーの閉じ込みをしてしまったというトラブルが、2018年の夏の1か月間に250件もあったとJAFが発表していました。猛暑のキー閉じ込みは子どもの命にかかわるので、ついうっかりではすまされません。駐車したら、真っ先に子どもをチャイルドシートから降ろすことを習慣づけたいですね。
夏の季節は、チャイルドシートに乗せられている汗かきの子どもたちは背中がびしょびしょになります。できれば汗取りパッドを背中に入れてあげ、クルマから降りるときはこまめに子どもの背中の汗をチェックしてパッドを取り替え、エアコンの温度設定を下げるなど調整します。汗で背中が濡れたままにならないように気を付けましょう。
最近は、チャイルドシート用の保冷シートも市販されているので、チャイルドシートに敷くと良いでしょう。もしも子どもに、ぼんやりする、頭痛、吐き気、嘔吐などの症状が出たら、日陰に駐車して、チャイルドシートから降ろして、楽な姿勢をとります。吐き気がなければ、スポーツ飲料、麦茶などを飲ませて水分補給を。保冷剤や凍らせたペットボトルなどがあれば、首、わきの下、鼠径部を冷やして、血液を冷やして様子を見ます。
水分補給ができない、様子がおかしい、痙攣があるなどの場合は、救急車を呼び、意識がなく普段どおりの呼吸がなければ、救急車が到着するまで心肺蘇生などの一次救命処置を行う必要があります。
夏のドライブを楽しく過ごすには、安全運転と熱中症対策をお忘れなく!(文:緒方昌子)