2019年8月30日、F1のシーズン後半戦が第13戦ベルギーGPで幕を開ける。前半戦最後のレースとなった前戦ハンガリーGPでは、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンがポールポジションを獲得、決勝でも主導権を握る走りで終盤までレースをリードした。このところレッドブル・ホンダがメキメキと速さを見せ始めており、後半戦最初のレースとなるベルギーGPがどうなるのか非常に興味深い。(タイトル写真は2018年のベルギーGP、フェラーリのセバスチャン・ヴェッテルが予選2番手から優勝している)

タフな高速サーキットをいかに攻略するか

ベルギーGPが開催されるスパ・フランコルシャンサーキットは、ベルギーの首都ブリュッセルの東、ドイツとの国境に近いアルデンヌの森の中に位置する、アップダウンの激しいタフなコース。

1周の4分の3がフルスロットルとも言われ、7kmにおよぶロングコースの平均速度は240km/hを上回る。こうしたサーキットではエンジンパワーが重要なポイントとなるが、エンジン全開率が高いため燃費にも留意しなければならない。また、タイヤへの負担も大きく、タイヤのマネージメントやチョイスが勝敗を分けることが多い。1周の距離が長いため、タイヤ交換の判断の遅れが大きなタイムロスを招くこともある。

サーキットのロケーションに起因する特有の変わりやすい天候(スパウエザーと呼ばれる)もドライバーを悩ませる。突然の降雨によりコースの一部だけがウエットとなることも珍しくない。

ドライバーがいつも話題にする名物コーナーが、右にカーブしながら高低差80mを一気に駆け上がる「オールージュ」。横方向だけでなく縦方向にも大きなGがかかる。そして、オールージュとともに注目されるのが、10-11コーナーの「プーオン」。急激な下り坂の先にやってくる連続する左コーナーは、ドライバーの腕と度胸を試す。

果たして、ホンダ勢はこの難コースをいかに攻略するのか。昨年のベルギーGPでは。予選2番手のセバスチャン・ヴェッテル(フェラーリ)がオープニングラップでルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)をオーバーテイク、一騎討ちとなった戦いを制して優勝した。またトロロッソ・ホンダは不利なコースと言われながら、全開区間でライバルとバトルを展開、力強いパフォーマンスを発揮して2ポイントを獲得している。

画像: 第13戦ベルギーGPが開催されるスパ・フランコルシャンサーキット。全開区間が長く、一周を通してスピードが高い。

第13戦ベルギーGPが開催されるスパ・フランコルシャンサーキット。全開区間が長く、一周を通してスピードが高い。

タイヤを供給するピレリは、今回のベルギーGPについて「スパ・フランコルシャンのコースは7km以上もあり、そのため周回数は44ラップになっています。天候が変わりやすいことでも知られていて、雨が降るとしばらく路面に水が残るのも特徴です。横方向、縦方向、前後のすべての方向から強い力を受けるため、タイヤに厳しいコースでもあります。今年のハードとミディアムは昨年に比べてやや柔らかく、ソフトは昨年はほぼ同じです。つまり、その3つのタイヤの差は小さくなっています。昨年、ほとんどのドライバーがワンストップを選択しました。ただスパ・フランコルシャンは追い越しが可能なコースなので、積極的な戦略を展開するチームも出てくるでしょう」と分析している。

画像: 各ドライバーのタイヤ選択。天候や状況にあわせて、どのタイヤをいつ選択するのかが重要になってくる。

各ドライバーのタイヤ選択。天候や状況にあわせて、どのタイヤをいつ選択するのかが重要になってくる。

ホンダは早くもスペック4のパワーユニットを投入

一方、ホンダの田辺豊治 F1テクニカルディレクターは「スパ・フランコルシャンは一瞬たりとも気の抜けないコースです。パワーが求められる上に全長の長いサーキットだけに、エネルギーマネジメントも重要で、シーズンの中でも調整の難しい戦いになります。シーズン前半戦、我々のパフォーマンスが向上し、コンペティティブなレースを展開することができました。ここからさらにパフォーマンスを向上させ、いい流れを維持して後半戦も戦っていきたいと思います。そこでベルギーGPでは、パフォーマンスと信頼性両面で向上を図った新仕様のパワーユニット、スペック4をレッドブルのアルボン選手と、トロロッソのクビアト選手に投入します。グリッド降格ペナルティの対象となりますが、パフォーマンスの向上によりいいレースができればと思っています」と語る。また、ホンダ勢、ドライバー4人のコメントは以下のとおりだ。

マックス・フェルスタッペン

画像: マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。ドライバーズランキング3位。後半戦初戦、重要なレースとなる。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。ドライバーズランキング3位。後半戦初戦、重要なレースとなる。

「前半戦はいい結果を残せていたので、リフレッシュして後半戦もいい走りができるように備えてきました。スパはお気に入りのサーキットですが、ストレートとコーナーの両方をどうまとめるかがカギになります。とくにダウンフォースを多めで走るわけではありませんが、とても楽しく高速コーナーを駆け抜けることができます。昨年はプーオンをほぼ全開で抜けられたので、今年も楽しみです。低速コーナーが多すぎず、一周を通して勢いをキープできるのもポイントです」

アレクサンダー・アルボン

画像: アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)。ドライバーズランキング15位。トロロッソからレッドブルへ電撃移籍。注目が集まる。

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)。ドライバーズランキング15位。トロロッソからレッドブルへ電撃移籍。注目が集まる。

「F1デビュー後ほどなくして優勝を狙えるマシンに乗れる選手はそんなにいません。今回の移籍が注目を集めているのはわかっていますが、今はスパでやるべきことに集中して、どんどん向上していきたいと思っています。天気次第でレースの展開がどうなるかはわかりませんが、できる限りの準備はしてきました。また、そういった準備を通して、チームメンバーとのコミュニケーションも深めようと努めています。レースに集中し、後半戦でできる限りいい結果を残せるようにがんばります」

ピエール・ガスリー

画像: ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)。ドライバーズランキング6位。古巣トロロッソでどんな走りを見せるか。

ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)。ドライバーズランキング6位。古巣トロロッソでどんな走りを見せるか。

「この数週間、休息を取りながらも残り9戦に向けてトレーニングも積んできたので、チームのためにベストなパフォーマンスを発揮できると思います。今は後半戦に向けて100%集中していますし、戦う準備もできています。今週はファクトリーへ行ってエンジニアと話し合い、シート合わせもするなど、今週末に向けて準備できることはすべてこなしました。今は、トロロッソとともに、マシンの力を最大限に引き出すことにフォーカスしています」

ダニール・クビアト

画像: ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)。ドライバーズランキング9位。

ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)。ドライバーズランキング9位。

「スパは最高のサーキットです。高速コーナーが多く、ロングコーナーをF1マシンで走るのは本当に楽しいです。一周は長いのですが、僕のレースに対するアプローチは変わらず、可能な限り速く走るだけです。僕らにとって楽しめるレースウイークになってくれればと思っています。この数週間はいい時間でしたが、再びレースができるのを楽しみにしています」

F1第13戦ベルギーGPは、8月30日金曜日11時(日本時間18時)からのフリー走行1回目で開幕、予選は8月31日15時(日本時間22時)、決勝は9月1日15時10分(日本時間22時10分)に開始される。

2018年 ベルギーGP 予選結果(参考)

1位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) 1:58.179
2位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)1:58.905
3位 31 E.オコン(フォースインディア)2:01.851
4位 11 S.ペレス(フォースインディア)2:01.894
5位 8 R.グロージャン(ハース)2:02.122

2018年 ベルギーGP 決勝結果(参考)

優勝 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)
2位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)
3位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル)
4位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)
5位 11 S.ペレス(フォースインディア) 

This article is a sponsored article by
''.