新型コロナの影響が気になるガソリン価格だが、今回は8月の定点観測をお届けしよう。7月まではコロナ禍はあったものの、その後の経済再開の期待からの需要増が見込まれ値上がりが続いた。さらに世界の産油国の協調減産などもあり明確な値上がり傾向となったのだ。5月11日の最安値以来ハイオク・ガソリン・軽油の各販売価格は13週連続で値上がりした。だが、8月11日にようやく頭打ちとなり、その後は横ばい傾向となっている。

乗用車用燃料価格上昇は13週でストップした理由は?

画像: 中東の原油に依存している日本。OPECプラスの協調減産でガソリンは値上がり傾向が続いた。

中東の原油に依存している日本。OPECプラスの協調減産でガソリンは値上がり傾向が続いた。

8月までの世界の原油産出は、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国を加えたOPECプラスの協調減産態勢に入っていた。それまでのシェア争いも絡んだ増産体制から協調減産量10%減を7月半ばに合意したのは既報のとおり。さらにOPECプラスは8月以降のコロナ禍の収束と石油製品の需要回復も予想していた。

8月の世界情勢はコロナ禍が収まる気配をみせなかった。そのため石油製品の需要はOPECとOPECプラスの目論み通りには回復せず、8月31日になっても原油産出量増加のニュースはない。むしろイランが追加減産を考慮しているとのニュースもあり、原油産出量は今なお抑えられている。そのため先物市場で原油価格は1バレルあたり42ドル前後で高止まりしている。すなわち原油の仕入れコストが高くなっており、8月11日まで日本のガソリンの平均価格を引き上げた要因の1つになった。

画像: 経済回復の期待とは裏腹に、新型コロナは再拡大の傾向を見せ全国的に自粛傾向となった。

経済回復の期待とは裏腹に、新型コロナは再拡大の傾向を見せ全国的に自粛傾向となった。

コロナ禍は8月のお盆の帰省にも大きく影響したのはいうまでもない。例年なら新幹線は乗車率200%を超え、首都圏から地方に向かう高速道路では20km以上にもおよぶ大渋滞が発生するのだが、今年はこれらの現象は全く見られなかった。コロナウイルス感染者が7月半ばから再び増えだし、誰が感染してもおかしくない状況になった。ビジネスや観光で東京に来た人が新型コロナウイルスに感染したまま帰郷し、地方で感染が報告されたりもした。

東京・地方間の移動は新型コロナウイルス拡散を招く危険行為とまで認識され、ステイホームやオンライン帰省が推奨されたため、お盆の帰省ラッシュも大規模にはならなかった。賛否両論を巻き起こしたGo Toトラベルキャンペーンも約420万人の利用にとどまっており、東京都民以外の日本国民約1憶人のうち、25人に1人の利用と低調だ。

画像: お盆の帰省もままならず、オンライン帰省など「新しい生活様式」も広がりを見せた。

お盆の帰省もままならず、オンライン帰省など「新しい生活様式」も広がりを見せた。

これでは乗用車用燃料の需要が増えるはずもなく、石油会社の乗用車用燃料製造も1週間程度ストップし、在庫調整を行った。このような事情により、乗用車用燃料の平均販売価格は8月11日を頂点として2週間はほぼ横ばいになっている。

ここ1か月の各乗用車燃料の全国の平均販売価格は、以下の通りだ。レギュラーガソリン平均販売価格の推移は、7月27日132.3円、8月3日134.5円、8月11日135.6円、8月17日135.5円、8月24日135.3円。11日調査価格をピークとし、その後値下がり傾向にあるが、0.1円単位と微小だ。

画像: 三密を避けるためにマイカー移動が見直されているという傾向もあるが、ガソリン価格先行きは不透明な状態だ。

三密を避けるためにマイカー移動が見直されているという傾向もあるが、ガソリン価格先行きは不透明な状態だ。

ハイオク平均販売価格の推移は、7月27日143.2円、8月3日145.4円、8月11日146.4円、8月17日146.4円、8月24日146.2円。8月11日と17日の調査が当面の価格のピークとなり24日には0.2円下落したが、値下がり傾向と言えるかはまだ判別しづらい。

軽油平均販売価格の推移は、7月27日112.9円、8月3日115円、8月11日116円、8月17日115.9円、8月24日115.8円。軽油もガソリンと同じく11日をピークとし、その後平均販売価格は下がったが0.1円であるため、値下げ傾向と判断するのは時期尚早だ。(猪俣義久)

全国各都道府県のデータ(8月24日平均)は、以下のとおり。

北海道 132.0 143.1 115.2

東北地区 133.5 144.5 114.9
青森県 130.5 141.4 111.7
岩手県 130.5 141.6 111.1
宮城県 129.4 140.2 109.9
秋田県 132.1 143.1 115.0
山形県 142.5 153.7 125.4
福島県 138.7 150.0 118.8

関東地区平均 133.6 144.6 113.4
茨城県 133.1 144.2 112.7
栃木県 134.5 145.6 114.0
群馬県 138.1 149.3 116.0
埼玉県 129.8 140.7 109.7
千葉県 133.1 144.0 114.1
東京都 135.5 146.3 115.8
神奈川県 131.4 142.4 111.3

甲信越地区平均 138.0 149.2 119.0
新潟県 134.4 145.5 119.3
長野県 143.7 154.9 123.0
山梨県 136.0 147.3 114.6

東海地区平均 134.9 146.2 115.5
静岡県 135.4 146.7 115.5
愛知県 132.9 144.0 113.8
岐阜県 138.0 149.3 117.2
三重県 133.4 144.8 115.6

北陸地区平均 137.6 148.7 118.0
富山県 137.6 148.8 119.9
石川県 135.6 146.2 115.2
福井県 139.7 151.2 119.0

近畿地区平均 134.0 114.9 113.5
滋賀県 131.4 142.4 111.4
京都府 139.1 150.4 118.3
奈良県 133.2  144.2 112.9
大阪府 136.7 147.6 114.8
兵庫県 131.9 142.9 112.7
和歌山県 131.9 142.0 111.1

中国地区平均 134.0 144.8 115.9
鳥取県 133.2 144.3 118.2
島根県 138.0 149.2 119.4
岡山県 130.1 140.9 110.7
広島県 134.9 145.6 117.2
山口県 133.0 143.5 114.4

四国地区平均 135.1 145.9 113.9
徳島県 128.4 139.1 107.2
香川県 131.8 142.6 111.9
愛媛県 137.4 148.4 116.1
高知県 143.1 153.2 121.1

九州地区平均 139.4 150.1 119.2
福岡県 135.3 146.9 114.3
佐賀県 137.8 148.8 118.4
長崎県 145.1 155.2 126.0
熊本県 132.0 142.4 109.9
大分県 143.0 153.9 120.9
宮崎県 139.3 150.1 120.0
鹿児島県 143.2 153.1 124.5
沖縄県 141.2 149.5 124.8

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