ホンダ勢はロングランでのタイヤのパフォーマンスを入念にチェック
イタリアGP初日の天候は快晴。フリー走行1回目の開始時のコンデョンは気温28度、路面温度35度。2回目も気温28度、路面温度44度と、前戦ベルギーGPと比べて、気温はかなり高めだった。この週末はドライコンデョンの暖かい日が続くと見られており、各チームとも予選と決勝を見据えてロングランでの各タイヤコンパウンドの摩耗をチェックするとともに、入念なセッティングを進めた。
そんな中で、メルセデスAMG勢が両方のセッションでトップタイムをマーク、順調な調整をうかがわせた。なお、フリー走行2回目にルイス・ハミルトンがマークした1分20秒192は、昨年のフリー走行2回目のトップタイムよりも1秒近くも速いものだった。
ホンダ勢は、フリー走行1回目で全4台がトップ6入りという上々のスタート。マックス・フェルスタッペンはアスカリでスピンしてフロントウイングにダメージを負ったが、セッション終盤には無事に修復して5番手。アレクサンダー・アルボンが3番手、ダニール・クビアトが4番手、ピエール・ガスリーが6番手につけた。
午後に行われたフリー走行2回目でもホンダ勢は好調で、ガスリーはセッション終盤にダンパーの小さな問題が見つかったがそれでも4番手、フェルスタッペンが続いて5番手、クビアトが7番手のタイムをマークした。アルボンはパラボリカでのオーバーランでタイムを抹消されたこともあって14番手だった。
このグランプリでのポイントはやはりタイヤ戦略とそれに合わせたセッティングということになりそう。最高速を伸ばすためにダウンフォースを削るとコーナーでブレーキとタイヤに負担をかけるので、ある程度のダウンフォースをつけてトラクションをかけることによってタイヤをケアする必要がでてくる。そのバランスが難しいポイントだ。
初日の走行を終えて、ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「イタリアGP初日は、フリー走行1回目でフェルスタッペン選手のコースアウトはあったのものの、パワーユニットとしては問題なく順調にプログラムを消化することができました。まだ初日とはいえ、特にホームレースとなるアルファタウリは地元で2台がよいポジションにつけており、いい形でスタートが切れたと思います。今週末から、予選と決勝で同一のパワーユニットモードを使用する規制が適用となるため、パワーユニットとしてその設定確認のため若干通常と異なるプログラムで走行しました。フリー走行で集めたデータをもとに、ここから予選と決勝で使用するモードの詳細を煮詰め最適化を進めます。予選以降は、我々にとってこれまで経験したことのない形での運用となります。パフォーマンスと信頼性のベストバランスを取りながら、週末を戦っていければと考えています」とコメント。ドライバーは土曜日の予選に向けて次のように語っている。
マックス・フェルスタッペン
「マシンのバランスとグリップに関して、いくつかの作業を行う必要があり、ベストなスタートとはいえませんでした。ここではどのマシンもトラック上での限界を探っています。特に最終コーナーはコースアウトしやすいのですが、プラクティスの際にはどのマシンもその点をあまり気にしていなかったので、タイムを抹消されるケースが多かったのだと思います。フリー走行1回目のクラッシュの際にはチームが非常にスピーディーにマシンを修復してくれたため、フリー走行2回目に向けて特に影響はありませんでした。このサーキットでどの程度タイヤが劣化するかはまだ分からないのですが、きちんとマシンのバランスを取れればその部分は問題ないはずです。予選の前までにはきちんとマシンのバランスを最適化したいと思います」
アレクサンダー・アルボン
「午前のセッションでの感触はよく、午後も悪くはありませんでしたので、高速コーナーと低速コーナーでの挙動を改善するためにいくつかの小さな変更を行うのみだと思っています。事前の想定通り非常に僅差ですし、0.1秒の差により、ここではグリッドポジションが3つか4つ変わることになります。自分たちが目標としているポジションに届くにはマシンのバランスを改善する必要がありますが、このサーキットではパッケージを改善する余地があると考えています。僕のフリー走行2回目でのベストラップタイムはトラックリミットを超えたことにより抹消されてしまいましたが、そうしたことが最終コーナーで多く起こりました。ここではどのマシンも列をなして走りますが、ラップタイム計測を始める前に最終コーナーで減速して前のマシンとの間隔を空けようとするため、その後ろを走っていると前のマシンからの乱流を受けやすい状態となり、走行ラインから外れてしまいます。ただ、予選ではどのマシンも同じタイミングでタイム計測を開始するので、それほど難しい状態にはならないと考えています」
ピエール・ガスリー
「今シーズンで最高の金曜になりました。午前が6位、午後が4位という結果で、マシンの感触も非常によかったです。プッシュできましたし、いくつかのいいラップを走ることもできました。残念ながらロングランを行っていたフリー走行2回目の終盤にダンパーに小さな問題が発生し、若干早くセッションを切り上げることになりましたが、全体としてはいい一日になりました。モンツァ用の低ダウンフォース仕様のマシンはうまく機能していますが、さらなる改善の余地も感じています。エンジンモードの規制によりいくつかのサプライズがあるかもしれませんが、どうなるか見てみたいと思います。タイムは非常に接戦で、予選もスリップストリームに入るために、各車が列をなす形になると思うので、ミスのない形でのセッションを進める必要があります」
ダニール・クビアト
「まずまずの金曜日だったと思います。ショートランとロングランに取り組み、特に問題なく多くのラップを周回することができました。ショートランのすべてに満足できているわけではありませんが、それでもいい仕事ができたと感じています。本当に重要になってくる土曜日以降のセッションに向けて、改善のための作業を続けていきます」
一方、タイヤを供給するピレリは「ハードタイヤとソフトタイヤのラップタイム差は約1秒ありました。ソフトとミディアムの間で約0.6秒、ミディアムとハードの間で約0.4秒です。 初日から3つすべてのコンパウンドでロングランが行われました。これは、ワンストップ戦略の上で、ハードコンパウンドが重要な役割を果たすことを示唆しています。また、チームは予選のためにいくつかの異なる戦術を試しています。 暖かいコンディションはこの週末続きそうで、フリー走行で収集された情報は、予選とレースで重要なものとなるでしょう」と分析している。
予選は9月5日の日本時間22時(現地15時)、決勝は9月6日の日本時間22時10分(現地15時10分)に開始される。
2020年 F1第8戦イタリアGP フリー走行1回目結果
1位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG) 1:20.703
2位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) 1:20.948
3位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ) 1:21.500
4位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ) 1:21.555
5位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)1:21.641
6位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ) 1:21.667
7位 11 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)1:21.747
8位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー) 1:21.747
9位 3 D.リカルド(ルノー) 1:21.789
10位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー) 1:21.821
2020年 F1第8戦イタリアGP フリー走行2回目結果
1位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)1:20.192
2位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG) 1:20.454
3位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー) 1:21.089
4位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)1:21.121
5位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)1:21.228
6位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー) 1:21.313
7位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ)1:21.376
8位 18 L.ストロール(レーシングポイント・メルセデス) 1:21.389
9位 16 C.ルクレール (フェラーリ)1:21.505
10位 11 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)1:21.594
14位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)1:21.883