2020年9月11日金曜日日本時間18時(現地11時)、フリー走行1回目でF1第9戦トスカーナGPが幕を開ける。初めてのムジェロでの開催にドライバーからは走行を楽しみにする声が多く聞かれるが、フリー走行開始を前に各チームはこのグランプリをどう見ているのか、はたしてホンダ勢の2連勝はあるのか。開幕間近に迫った最新情報をお届けしよう。

好調ガスリーも「エキサイティングなコース」でイタリアでの連勝を狙う

全17戦となった2020年F1シーズンもちょうど折り返しとなる第9戦。今シーズンも早くもここから後半戦に向かうことなる。

トスカーナGPが開催されるイタリアのムジェロ・サーキットは、1km以上に及ぶメインストレートに加え、切り返しが連続するテクニカルな中高速コーナーが並ぶ高速コース。なかでもターン8から9の「アラビアータ」は現代のF1マシンでは全開でのコーナリングが予想される。2012年に行われたF1合同テストでの最速1周平均速度は244km/hと、先日ハミルトンがモンツァで記録した平均速度は264km/hには及ばないが、最近のF1マシンの凄まじい進化を考えると、今回は250km/hを超えてくることだろう。

そんなことから、ムジェロは、スパ、モンツァから続く「高速3連戦」のラストを飾るグランプリと言われているが、その一方で、「パワーユニットの果たす役割が大きい」、「ダウンフォースとメカニカルグリップのバランスが重要」、「タイヤへの負担が大きい」、「オーバーテイクが意外と難しいので予選が重要」など、さまざまな要素も指摘されている。

画像: ムジェロサーキットのコース図。F1では2コーナーから9コーナーまでほぼ全開となる。モンツァとはまだ異なる高速コース。

ムジェロサーキットのコース図。F1では2コーナーから9コーナーまでほぼ全開となる。モンツァとはまだ異なる高速コース。

メルセデスAMGはムジェロサーキットについて「2012年5月にムジェロサーキットでF1合同テストが行われていますが、それ以来、マシンやタイヤは進化し、トラックに小さな変更が加えられていますので、チームにとってはまったく新しいサーキットといっていいでしょう。ムジェロは非常に速いコーナーが多く、遅いコーナーがひとつもない珍しいコースレイアウトです。最も遅いコーナー(ターン1)でも140km/hに達すると予想しています。また高速で曲がりくねったキャラクターと狭い幅が追い越しを難しくするため予選を重要視しています。 追い越しに最適なポイントは長いストレートの終わりにあるターン1になるでしょう。コースとしては鈴鹿に似た部分があるかもしれません」と分析、トスカーナGPについては「フェラーリにとって1000回目のF1レースでもあり、フェラーリレッドのメルセデスAM GTRのFIA公式セーフティカーを用意します。偉大なイタリアのブランドの長い伝統に敬意を表します」と語っている。

そのフェラーリは「ほんの数か月前には、私たちの1000回目のレースが私たちのムジェロサーキットで行われるとは誰も想像できませんでした。71年の歴史の中で常に存在してきた唯一のチームであるフェラーリに敬意を表してここを選んだことを嬉しく思います」とコメント。ドライバーのセバスチャン・ヴェッテルは「勾配の変化と高速コーナーを備えた、とても素晴らしくて超テクニカルなトラックです。 このトラックはフェラーリによりよく合うはずなので、ティフォシを満足させる何かを届けられることを願っています」、シャルル・ルクレールは「ムジェロには非常に長いストレートがありますが、スパやモンツァほどは高速ではないので、フェラーリに適しているはずです。 データがあまりないないため、フリー走行の時間が重要になります」とインタビューに応えている。

前戦で勝利し迎え撃つ立場となったホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、トスカーナGP開幕に向けて「先日はモンツァでアルファタウリのガスリー選手とともに、色々な意味で記憶に残るすばらしい勝利を挙げることができました。今週末に同じくイタリアのムジェロ・サーキットで行われるレースに向けて、チームはモンツァから車で移動してレース準備に入っています。ムジェロサーキットは長い歴史を持ち、ホンダにとってもMotoGPが毎年開催される地として馴染みのある名前です。緑豊かな丘陵地帯に広がるサーキットで、高速サーキットであるとともに高低差が大きいことが特徴です。F1のレースが開催されるのは今回が初めてとなるので、その点ではすべてのチームにとってチャレンジになると考えています。モンツァでは勝利の一方でフェルスタッペン選手のパワーユニットにトラブルが発生するという難しい週末になりました。レース後に問題の解析を行い、再発の防止策とともに今回のレースに向かいます。また、新たに導入されたパワーユニットモードの使用制限についても学んだことが多かったため、この点についても今週末のレースに反映していきます」と語っている。

画像: ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)。イタリアGPで予選10位から優勝を飾った。ムジェロでも注目が集まる。

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)。イタリアGPで予選10位から優勝を飾った。ムジェロでも注目が集まる。

最後に、イタリアGPを制したアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーはムジェロサーキットについて「ムジェロのような初めてのサーキットでF1マシンを駆るのは常にエキサイティングな体験です。チームはこのコースのデータを持っていないので、ドライバーもチームもまずはどんなコースなのかを見極めることになるでしょう。スリリングなレイアウトですし、F1マシンで走ればなおさらでしょう。僕は2013年にここでレースをしましたが、F1マシンだとまったく違う、印象的なコースになるでしょう。特に2つの右カーブが超高速になるはずです。F1マシンに何ができるかを実感できるコースですし、ドライビングの観点からもすばらしいコースです」とコメントしている。

画像: ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)。イタリアGPでは予選11位、ガスリーとほぼ同じ位置からスタートして決勝9位。

ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)。イタリアGPでは予選11位、ガスリーとほぼ同じ位置からスタートして決勝9位。

画像: マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。イタリアGPでは予選5位、決勝リタイアに終わった。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。イタリアGPでは予選5位、決勝リタイアに終わった。

画像: アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)。イタリアGPでは予選9位、決勝ではマシンにダメージを受けた状態で走行して15位。

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)。イタリアGPでは予選9位、決勝ではマシンにダメージを受けた状態で走行して15位。

F1初開催のムジェロとはいえ、テストコースとして使っているフェラーリだけでなく、メルセデスAMGにとってはDTMやGT選手権で毎年走っているコースであり、ホンダはMoToGPでなじみのある場所で、そのデータをどう使うかが課題となってきそうだ。さあ、楽しみなグランプリが始まる。

第9戦トスカーナGPは9月11日11時(日本時間18時)から始まるフリー走行で開幕、予選は9月12日15時(日本時間22時)、決勝は9月13日15時10分(日本時間22時10分)に開始される。

【参考】2020年第8戦イタリアGP 決勝 結果

優勝 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ) 53周
2位 55 C.サインツ (マクラーレン・ルノー)+0.415s
3位 18 L.ストロール (レーシングポイント・メルセデス)+3.358s
4位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)+6.000s
5位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)+7.108s
6位 3 D.リカルド(ルノー)+8.391s
7位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)+17.245s
8位 31 E.オコン(ルノー)+18.691s
9位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ)+22.208s
10位 11 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)+23.224s
15位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)+37.533s
リタイア 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

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