2021年11月6日(日本時間11月7日)、F1第18戦メキシコGP予選がアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス・サーキットで行われ、メルセデスのバルテリ・ボッタスがポールポジションを獲得した。ルイス・ハミルトン(メルセデス)は2番手、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は3番手からスタートする。

メルセデスが大きくタイムアップしてフロントロウを独占

予選開始時の気温は22度、路面温度は45度だったが、Q1でランス・ストロール(アストンマーティン)がクラッシュして赤旗中断となったことで予選セッションが長くなり、終盤に向かって徐々に気温が下がる状況となった。

予選のもうひとつのポイントはシーズンが終盤に向かう中でパワーユニット交換などでグリッド降格になるドライバーが現れたことで、ストロール、角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)、ランド・ノリス(マクラーレン)、エステバン・オコン(アルピーヌ)の最後尾グリッド降格ペナルティが決定。ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)もギアボックス交換で5グリッド降格ペナルティが決まった状態で予選が始まった。

メキシコGPが行われるアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス・サーキットはピットストップのロスタイムが大きくオーバーテイクが難しいため、上位を狙うドライバーはミディアム→ハードの1ストップ戦術を狙ってQ2でミディアムタイヤを選択することになった。

フリー走行ではレッドブル・ホンダが速さを見せていたが、予選になってやはりメルセデス勢が調子を上げてくる。

注目のQ3ではまずボッタスがトップタイムを記録し、ハミルトンが2番手につける。最後のアタックでは、ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)にトウを与えた角田裕毅が後続に配慮してターン10でランオフエリアに逃げるが、この影響でセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)がコースオフを喫し、その直後を走っていたフェルスタッペンもアクセルを緩めてタイム更新ができずに終わってしまった。逆転を狙っていたフェルスタッペンにとってはなんとも不運だった。

メルセデス勢も最終アタックでタイムを更新することできず、ボッタスがポール、2番手にハミルトン、フェルスタッペンは3番手、4番手ペレス、5番手ガスリーとなった。角田は9番手タイムをマークしたが、パワーユニット交換ペナルティを受けて17番手スタートとなる。

ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「予選では、ホンダ勢の4台がQ3に進出し、レッドブル・ホンダのフェルスタッペン選手が3番手、ペレス選手が4番手と揃ってセカンドロウを獲得しました。フリー走行までと比較して、メルセデスが予選で大きくタイムアップをしてきたことや、2台ともにQ3最後のアタックでクリーンなラップを走れなかったことにより、やや難しいセッションになりました。アルファタウリ・ホンダのガスリー選手は、昨日から調子のよさを見せており、予選でもトップの2チームに次ぐ5番手と、いいポジションを得ています。パワーユニット交換のペナルティによりグリッド降格が決まっている角田選手は、同様にペナルティを受ける他のマシンよりも前でスタートすべく攻めた走りを見せて、3戦連続でQ3に進出して9番手のポジションを確保、グリッド降格があるものの17番手スタートとなります。このコースは1ラップの距離が短く、レースは71ラップとタフな戦いになりますが、ホンダのパワーユニットを搭載した4台のマシンがレースを最後まで全力で走り抜けるよう、準備を進めます」とコメント。ホンダ勢の各ドライバーは次のように語っている。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

「今日はタイヤを機能させるのに苦戦して、あちこちでスライドしていたので、3番手という結果は悪くありません。Q3の最初のアタックは最高の形ではなかったので、メルセデスとの差を見て妥当なものだと思いました。マシンのバランスをさらに向上させる必要があったので、いくつか変更を試みましたし、Q3の2回目のアタックはまずまずでした。前方で何が起きたのはよく分かりませんが、ペレスとユウキがワイドに膨らんで埃が舞い上がるのが見えたので、クラッシュが起きたのだと思いました。このコースでは以前にイエローフラッグ違反を取られたこともあったので、スローダウンしましたが、それで勢いもタイムも失ってしまいました。今週末はずっと競争力があったので、フロントロー独占ができずに残念です。明日はまた違う日なので、エキサイティングなレースになればと思いますし、最初のコーナーまで距離があるので、そこで何が起きるか見ていきましょう」

画像: 最後のアタックでは、ターン10まで最速ラップで走っていたフェルスタッペン。減速しなければポールもあった。

最後のアタックでは、ターン10まで最速ラップで走っていたフェルスタッペン。減速しなければポールもあった。

セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)

「予選直前にリアウイングに変更を施しましたが、セッション中に調整して最適な状態になっていました。ターン11で、前を走っていたユウキが突然コースオフして、最後のアタックが阻まれてしまいました。僕が近づきすぎていたので、ブレーキをかけざるを得ませんでした。そこでダウンフォースを失いましたが、不運にも多くのダーティーエア(乱気流)を浴びてコントロールを失って最後のアタックもできなくなってしまったのだと思います。予選を通してペースはあまりよくありませんでしたが、最後のアタックに向かうまでに改善できており、その前のアタックでもタイムは上がっていましたし、最後はコンマ数秒向上できたと思います。明日のレースに向けていいマシンに仕上げ、前を行くメルセデス勢にプレッシャーをかけるためにも、チーム全体で分析しなければなりません。明日はグリッドの位置よりもスタートのほうが重要だと思いますし、長いレースになるので上位を目指していきます」

画像: 角田がランオフエリアに逃た影響でコースオフを喫したペレス。すぐ後ろを走っていたフェルスタッペンにも影響を与えてしまった。

角田がランオフエリアに逃た影響でコースオフを喫したペレス。すぐ後ろを走っていたフェルスタッペンにも影響を与えてしまった。

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)

「今日もいい結果が出せて5番手というのはとてもうれしいです。チームは素晴らしい仕事でマシンを向上させ、それが上手く機能していました。このレースウイークではとても力強さを感じています。予選では全力を尽くし、6番手に0.3秒差で終えることができました。ユウキもとてもいい結果でしたし、Q3では僕にトウを与えて助けてくれました。明日もいい位置でフィニッシュできればと思います。自分たちのことに集中して、ここメキシコでできるだけ多くのポイントを獲得すべくトライしていきます」

画像: 角田のアシストも受けて予選5番手につけたガスリー。

角田のアシストも受けて予選5番手につけたガスリー。

角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

「今日の全体的なパフォーマンスに満足しています。明日のレースではペナルティーが決まっているので、予選での目標はチームメートを手助けすることでした。チャンピオンシップでの5位争いが続いている中、チームとして本当にいい仕事ができたと思います。今週末はいいペースを見せられているので、明日はポイント獲得に向けて追い上げを目指していきます」

画像: グリッド降格を承知の上で、あえてソフトタイヤを装着してQ3に進出した角田裕毅。チームメイトをアシストする役割を演じた。

グリッド降格を承知の上で、あえてソフトタイヤを装着してQ3に進出した角田裕毅。チームメイトをアシストする役割を演じた。

タイヤを供給するピレリは「このサーキットはピットストップのロスタイムが大きく、オーバーテイクが難しいため、最速の戦略は間違いなくワンストッパーでしょう。ソフト→ハードでも可能ですが、暖かいコンディションが予想されること、戦術に柔軟性が生まれることからも、ミディアム→ハードがベストな戦術です。そのため、上位を狙う多くのドライバーがQ2でミディアムタイヤを選択しています。その一方で、ソフトタイヤは予選で高いパフォーマンスを見せたので、決勝レースの最終スティントでオプションとして機能するでしょう」と分析している。

F1第18戦メキシコGPの決勝は日本時間11月8日4時(現地時間11月7日13時)に開始される。

2021年F1第18戦メキシコGP予選 結果

1位 77 V.ボッタス(メルセデス)1:15.875
2位 44 L.ハミルトン(メルセデス)1:16.020
3位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)1:16.225
4位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)1:16.342
5位 10 P.ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)1:16.456
6位 55 C.サインツ(フェラーリ)1:16.761
7位 3 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)1:16.763
8位 16 C.ルクレール(フェラーリ)1:16.837
9位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)1:17.158
10位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)1:36.830

※ラッセルはギアボックス交換のため5グリッド降格。角田裕毅、ノリス、オコン、ストロールはパワーユニット交換ペナルティのため最後尾スタートとなる。

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