2022年1月14日の「東京オートサロン2022」で日産が発表した新型フェアレディZ。2021年の8月にニューヨークで発表された北米仕様に続いて、待望の日本仕様がお披露目された。速報の第1弾に続いては、その発表会イベントの模様について紹介しよう。

豊田章夫社長の宣戦布告に日産・内田社長も「受けて立つ!」

幕張メッセの西ホール2&3に設けられた日産ブース。9時過ぎからメディアや関係者が続々と詰めかける。折からのコロナの影響で開催も危ぶまれたが、事前登録や厳重な管理の下、制限された中で第1部の「アンベールイベント」が10時から約30分にわたって行われた。

冒頭登壇したのは、当日のMCを務めたモータージャーナリストの河口まなぶ氏。続いてゲストとして、タレントでKONDO RACING チームを率いる近藤真彦氏が登場。近藤氏は2022年シーズンのスーパーGT GT500クラスにこの新型Zでチームとして参戦する。小学生時代からのZファンだったという近藤氏は、新型Zの魅力をこう語る。
「新型Zはドレッシーでエレガントなデザイン。先代のZ34が男性的な力強さをアピールしていたのに対して、新型は女性が乗っても似合うようなエレガントさがある。ボディデザインで気に入っているのはリアからの眺めで、公道で見かけたきに思わず見入ってしまうようなカッコよさがある。インテリアでもZ伝統の三連メーターなど、視認性に優れるところも良いですね」と大絶賛した。

画像: 朝10時から行われたアンベールイベントのトークショー。イエローのプロトスペックとブルーのスタンダードを脇に、日産自動車・内田社長兼CEOとKONDO RACING チーム代表の近藤真彦氏(右)、MCのモータージャーナリスト・河口まなぶ氏(左)がZの魅力について熱く語った。

朝10時から行われたアンベールイベントのトークショー。イエローのプロトスペックとブルーのスタンダードを脇に、日産自動車・内田社長兼CEOとKONDO RACING チーム代表の近藤真彦氏(右)、MCのモータージャーナリスト・河口まなぶ氏(左)がZの魅力について熱く語った。

熱いトークに続いて登場したのは、日産自動車の社長兼CEOの内田 誠氏。すでに本サイトの独占インタビューでもお届けしたが、内田氏も幼少期から初代フェアレディZにはまり、社会人2・3年目の頃に自らZ32のツインターボ Tバールーフを手に入れて乗っていたという熱烈なZカーファンだ。

スピーチの冒頭に、日産より先に行われたカンファレンスで、豊田章夫社長から放たれた「Zには負けないよ!」という宣戦布告(?)に対して「絶対に負けません! 我々もがんばります!」と宣言。「ついにZをお披露目できるということで、プロトタイプの公開からだいぶ時間が経ってしまいましたが、こうしてお届けできることを非常に嬉しく思っています」と語った。

画像: 幼少期を海外で過ごし、情報がない中で、漫画「サーキットの狼」に出てくるフェアレディZ432Rに思いを馳せたという内田社長(55歳)。自身もかつて若かりし時にZ32を所有していたというZカーファンだ。

幼少期を海外で過ごし、情報がない中で、漫画「サーキットの狼」に出てくるフェアレディZ432Rに思いを馳せたという内田社長(55歳)。自身もかつて若かりし時にZ32を所有していたというZカーファンだ。

さらに、実際にテストコースで近藤氏とともに試乗した時の印象を「操縦安定性が高く、コーナーでも安心して操縦できる。加速性も含めて、私なんかが乗っても『あれ? 運転が上手くなったかな?』と思えるような仕上がりになっています」と語った。デザインについても「過去のZの良いところを集めたクルマにまとまっていますね」と述べた。

そして2021年12月にお披露目され、舞台脇に置かれた今季のスーパーGT GT500クラスマシンについて、近藤氏は「すでにシェイクダウンも終わっていますが、とにかく空力性能が素晴らしい。ストレートのスピードも伸びてきているし、それによってコーナーでのダウンフォースも利いてきています。このZにはGT-Rにない、また違った意味での強さがあります。日産&NISMO勢で4台、GT500に参戦しますが、どうぞご期待ください」と自信をのぞかせた。

画像: フェアレディZとGT-Rを統括する商品企画の長・CPSの田村宏志氏。第2部のトークショーのあとは、午後に会場の特設コースで自らデモランでドリフト走行をお披露目した。

フェアレディZとGT-Rを統括する商品企画の長・CPSの田村宏志氏。第2部のトークショーのあとは、午後に会場の特設コースで自らデモランでドリフト走行をお披露目した。

CPSの田村氏と開発に関与した松田選手が明かす新型Zの魅力

続いて11時から約30分、第2部のトークイベントを開催。登壇したのは商品企画のリーダー・CPSの田村宏志氏と今季ワークスドライバーとしてGT500をドライブする松田次男選手。田村氏はかつて若かりし頃の240Z-Gの思い出や、L型エンジンのメカチューンを自ら行って楽しんだ思い出を、また旧車マニアとしても知られる松田選手も自身が近年手に入れたS31ベースのチューンドZについてZ愛を語った。この旧車トークに続いて、田村氏から新型Zについても突っ込んだトークが展開。

2021年9月16日にグローバルでお披露目されたZプロト時に、話題(不評?)を集めた四角いフロントグリルについて、あえてまっ先に言及。405psを発生する3L V6ツインターボのための放熱性能を確保するために、その形状や大きさに理由があると説明した。

具体的にはフロントグリル内のフィンもティアドロップという形状にすることで、フロントからの冷却エアの流速や効率を高め、冷却性能の向上に充てている点など、細部へのコダワリを紹介した。ちなみに、田村氏曰く、「グリルを取っ払ったり、装飾を装着するなど形状を変更すると、冷却性能が損なわれてしまう」とか。

スカイライン400R譲りのVR30DDTTについても、単にポン付けで流用するのではなく、6速MTを採用するためのレイアウトの変更に加えて、ターボのレスポンスを損なわないようにするために新たにリサーキュレーションバルブを採用。アクセルオフした時にタービンの回転数が落ち込むのを回避するためのデバイスも投入したという。そこには、数値的なものだけではなく、実際に乗ったときのレスポンスの良さを目指したという開発陣のコダワリが窺える。

画像: ステージ脇に置かれた今季スーパーGT GT500クラスのレーシングZ。すでにシェイクダウンは完了。松田選手もワークスドライバーとして参戦する予定だ。なお、GT300は今後発売が予想されるGT3の登場を待って投入されると思われる。

ステージ脇に置かれた今季スーパーGT GT500クラスのレーシングZ。すでにシェイクダウンは完了。松田選手もワークスドライバーとして参戦する予定だ。なお、GT300は今後発売が予想されるGT3の登場を待って投入されると思われる。

こうした解説に対して、実際にインパネのメーターのデザインレイアウトに大きく関与し、開発に携わった松田選手は試乗した印象をこう語る。

「ターボエンジンになったことでより走りが洗練されたというのもあるし、6速MTが最高に良いですね。405psくらいでマニュアルトランスミッションというクルマも他にはないので、ものすごく楽しい。サーキットで走ってみたいという気持ちがありますね」

さらに、AT仕様についても、「たしかにアクセル踏んだときのレスポンスはもの凄くよくなった。6速MTが良い!と言ったんだけど、新開発の9速ATはさらにレスポンスが良い。しかもブリッピング制御で上手く合わせてくれるから、サーキット以外でも箱根のワインディングなどでも気持ちよく流せると思いますよ」と語る。

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