2023年4月8日、富士スピードウェイ でスーパーフォーミュラ開幕戦が行われ、ルーキーのリアム・ローソンが見事なデビューウィンを成し遂げた。鮮烈なデビューを果たしたローソンだったが、果たしてそれは「驚き」だったのであろうか?F1を目指す才能ある若手がみせたヨーロッパ勢のレベルの高さに迫る。

ぶっつけ本番で優勝したローソン

画像: いきなりデビューウィンを達成したL.ローソン。

いきなりデビューウィンを達成したL.ローソン。

今シーズンのスーパーフォーミュラは車両やタイヤが変更されるなど変革の年を迎えた。国内トップフォーミュラ50周年を迎える2023年、車両やタイヤの変更は業界にとって大きな課題であるカーボンニュートラル化、サステナブルな社会実現に向けての取り組みである。

車体が変わったことにより、これまで同カテゴリーに参戦してきたドライバーに対する、今季から参戦のルーキードライバーのハンディキャップは少なくなり、例年以上にルーキーにとってチャンスがあると言えなくもない。しかし、ローソンをはじめとするルーキー達にとって開幕戦はとても難しいチャレンジとなったはずだ。

まず、開幕前テストは鈴鹿サーキットで行われた合同テスト1回のみであること。本来であれば富士スピードウェイでも公式テストが行われてきたが、過密スケジュールが問題となり富士スピードウェイでは行われなかった。

さらに開幕戦では、悪天候により金曜日に行われる予定だったフリー走行もキャンセルになり、新しい車体「SF23」を富士スピードウェイで走らせられるのは土曜日の朝に行われる予選からということに。

確かに「SF23」を走らせることに関しては、ほぼ全ドライバーにとって条件的にイコールだ。しかし、ローソンにとって富士スピードウェイは走ったことがないサーキットであり、しかも初走行はいきなり予選という厳しいものである。

ディフェンディングチャンピオンである野尻智紀がポールポジションを獲得、第2戦では優勝し「意地」をみせたと表現されるが、トップフォーミュラ10年目で国内のサーキットを数えきれないほど周回している野尻と、まさにぶっつけ本番で予選を行わなければいけなかったローソンとを安易に比較するのは少し違うのではないだろうか。

しかしローソンはポールポジションの野尻に対し0.204差の3位を獲得してみせた。直近で参戦していたFIA F2やDTMの活躍を見てみると、予選で速さを見せつけるタイプではなく決勝で強さを発揮するドライバーであるローソン。にもかかわらず、いきなり走っての予選3位獲得は、ヨーロッパ勢の実力の高さを物語る成績と言えるだろう。

そして決勝ではチャンピオンである野尻を従えてデビューウィンを達成した。予選順位からの見事な逆転劇を演じたローソンだが、勝敗を分けたのは野尻に対して仕掛けたアンダーカットだった。

勝負どころはアウトラップ

画像: 連続チャンピオンの野尻(左)に対し完璧な走りで優勝したL.ローソン(右)。

連続チャンピオンの野尻(左)に対し完璧な走りで優勝したL.ローソン(右)。

土曜日に行われた第1戦となる決勝レース、3位から順位を落とすことなくスタートを決めたローソンは、SC導入を挟んだリスタート後の8周目には2位に浮上し、トップの野尻を追う展開となった。

周回ごとにトップとの差を詰めたローソンは、野尻より先にピットストップを敢行。そしてローソンの動きを見た野尻が次の周でピットに入りポジションを守ったままピットアウトするが、それをタイヤの温まったローソンが軽々とオーバーテイクしてみせた。

このようにピットストップが勝負を分けたわけだが、実はローソンがトップに浮上できたのはアウトラップの速さにあった。元々、ローソン陣営は野尻より先に動く予定ではなかったが、野尻が動かないため、先にピットインすることを決断した。

21周目にピットインを行ったローソンは、野尻の前に出るためアウトラップながら好タイムで周回。野尻とのタイム差を最小限にし、タイヤが温まったローソンは、ピットアウト直後でタイヤが冷えている野尻をオーバーテイクしたのだ。

このアウトラップの速さが逆転に繋がったわけだが、発熱していないタイヤで見せた速さから海外勢の強さを知ることができる。

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