2023年5月26日、 F1第7戦モナコGPがモンテカルロの市街地サーキットで開幕する。豪雨による洪水危機から開催中止となったエミリア ロマーニャGPから1週間、伝統のある「特別なグランプリ」とされるモナコGPが欧州ラウンドの緒戦ということになる。ホンダがF1復帰を表明して初めてのグランプリはどんな戦いとなるのだろうか。

オーバーテイクが難しいが、波乱も多いコース設定

ヨーロッパに夏の訪れを告げるモナコGPは、ほかのグランプリとは違う特別な雰囲気を持ったレースだ。

画像: モンテカルロ市街地サーキット。普段は一般道として使われているのはもちろん、毎晩コースは通常の交通に解放されるため、滑りやすい。

モンテカルロ市街地サーキット。普段は一般道として使われているのはもちろん、毎晩コースは通常の交通に解放されるため、滑りやすい。

舞台となるのは高級リゾート地として名高いモンテカルロの市街地コース。1950年代のF1世界選手権発足当時とほぼ変わらないコースは、通常のサーキットよりもはるかにグリップが小さく、しかも道幅が狭く、少しでもミスをすればコンクリートウォールの餌食になる難しい設定となっている。

マシンが多少パフォーマンスで劣っていてもドライバーの腕でカバーすることができる数少ないコースで、それゆえにドライバーズサーキットとも言われる。

オーバーテイクがきわめて難しいためレースが単調になることもあるが、その一方で、セーフティカー導入の確率が高く、また雨が降ることも多いため、レース戦略と素早いピット判断で順位が大幅に入れ替わるなどドラマチックな展開となることも珍しくない。またオーバーテイクが難しいがゆえにスターティンググリッドが重要となり、予選がきわめてエキサイティングなものになるのも特徴だ。

画像: モンテカルロ市街地サーキットのコース図。全長3357mのコースは50年来ほとんど変わっていない。各コーナーは愛称で呼ばれることが多い。

モンテカルロ市街地サーキットのコース図。全長3357mのコースは50年来ほとんど変わっていない。各コーナーは愛称で呼ばれることが多い。

今シーズンはここまでマックス・フェルスタッペンが3勝、チームメイトのセルジオ・ペレスが2勝と、レッドブルRB19が圧倒的な速さを見せているが、モナコという特殊なコース設定もあり、また欧州ラウンド緒戦とあって各チームの大幅なアップデートも予想されるだけに、波乱があっても驚けない。

モナコはチームにとってもドライバーにとっても伝統のある重要なグランプリだが、そのモナコの特殊なコース設定に合わせてクルマを開発するわけにはいかないのが難しいところ。もちろんチームは可能な限り、このコースに合わせてセッティング変更を行うが、最後はドライバー頼みということになる。

画像: モンテカルロ市街地サーキットのコース図。参考として通過速度とギアポジションが示されている。

モンテカルロ市街地サーキットのコース図。参考として通過速度とギアポジションが示されている。

2022年は雨上がりの難しい状況の中、ペレスが会心のタイヤ戦略で優勝

昨年2022年は決勝レース直前の大雨でスタートが1時間以上も遅延、雨は上がったものの、そのまま路面はウエットでスタートとなり、乾き始めるコースコンディションが大きなポイントとなった。

画像: 昨2022年は、路面が乾き始める難しいコースコンディションの中、セルジオ・ペレス(レッドブル)が優勝を飾った。

昨2022年は、路面が乾き始める難しいコースコンディションの中、セルジオ・ペレス(レッドブル)が優勝を飾った。

そんな中、上位陣(レッドブルとフェラーリの4台)の中で真っ先にインターミディエイトタイヤへの交換を行なったセルジオ・ペレス(レッドブル)がアンダーカットに成功。ハードタイヤへの交換のタイミングもよく首位に立つと、クラッシュによる赤旗中断にも動じることなく、再開後のレースを危なげなく逃げ切った。

最終スティントではフェラーリよりもソフトなタイヤを選択したため終盤厳しくなったが、78周の予定のレースは時間制限規定により64周で終了。抜けないモナコはやはり先行が有利だった。

なお、フェラーリのカルロス・サインツが2位、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが3位に入っている。

画像: 昨2022年のタイヤ戦略。ドライであれば、1ストップとなるはずだ。

昨2022年のタイヤ戦略。ドライであれば、1ストップとなるはずだ。

【参考】2022年F1第7戦モナコGP決勝 結果

1位 11 S.ペレス(レッドブル)64周
2位 55 C.サインツ(フェラーリ)+1.154s
3位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル)+1.491s
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+2.922s
5位 63 G.ラッセル(メルセデス)+11.968s
6位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+12.231s
7位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー)+46.358s
8位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+50.388s
9位 77 V.ボッタス(アルファロメオ・フェラーリ)+52.525s
10位 5 S.ヴェッテル(アストンマーティン・メルセデス)+53.536s
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11位 10 P.ガスリー(アルファタウリ・レッドブル)+54.289s
17位 22 角田裕毅(アルファタウリ・レッドブル)+1周

タイヤを供給するピレリは「欧州3連戦の緒戦となるはずだったエミリア ロマーニャGPは中止となりましたが、イモラの惨状はまだ記憶に新しく、私たちは犠牲者の家族、そしてこのような大きな損失を被ったすべての人々との連帯をもう一度表明したいと思います。そして今週は欧州3連戦の2戦目となるはずだったモナコGPです。ピレリはラインナップの中で最も柔らかいタイヤを供給します。ハードがC3、ミディアムがC4、ソフトがC5です。モナコの特徴は、毎晩コースが通常の交通に解放されることです。これはレーシングラインにゴムが残りにくく、路面が滑りやすくなることを意味します。また平均ラップ速度が低く、摩耗も限定的です。そのためドライ路面であれば誰もがワンストップで終えることになりますが、問題は路面がウエットとなったり、セーフティカーや赤旗が出た時です。今回のグランプリがタイヤウオーマーを必要としない新しいフルウェットタイヤのデビュー戦となりますが、これがどう機能するかも楽しみです」と分析している。

画像: 今年のモナコGPを前にピレリが公表した分析データ。

今年のモナコGPを前にピレリが公表した分析データ。

さて2023年のモナコGPはどんなレースとなるのか。第7戦モナコGPは5月26日13時30分(日本時間20時30分)から始まるフリー走行で開幕、決勝は5月28日15時(日本時間22時)にスタートする。

2023年F1第7戦モナコGP タイムスケジュール

フリー走行1回目:5月26日13時30分〜14時30分(日本時間20時30分〜21時30分)
フリー走行2回目:5月26日17時〜18時(日本時間24時〜25時)
フリー走行3回目:5月27日12時30分〜13時30分(日本時間19時30分〜20時30分)
予選:5月27日16時〜17時(日本時間23時〜24時)
決勝(78周):5月28日15時〜(日本時間22時〜)

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