伝統あるWRC第1戦「ラリー・モンテカルロ 2026」が開催されたのは2026年1月22日~25日のこと。その数日後、同じくフランスとモナコを舞台とするもうひとつのラリーイベントが幕を開けた。日本からは学校法人ホンダ学園が初代シビックRSで参戦。せっかくフランスにいるのだから・・・というワケで、パリから足を伸ばして観戦?観光??ツアーとしゃれこんでみた。定年記念ひとり旅の後半戦は、超絶な人込みに驚いた旧車イベントとはひと味違う、のどかな時間を美しい地方都市で過ごす。(文:神原 久(Webモーターマガジン編集部) 写真:Automobile Club de Monaco/神原 久)

「競う」面白さをグレードアップする新レギュレーション

一方で2026年のRMCHは「安全管理と競技形式の厳格化」において、大きな転換点を迎えていた。

画像: ヴァランスエリアでのSRは3日間で13のコースが設定されていた。山岳路ではドライと凍結路面が混在する、なかなか難しいコンディションだったようだ。ちなみに写真のBMW 323i(1981年型)は、総合優勝を果たしたマシンだ。©ACM/René Photos

ヴァランスエリアでのSRは3日間で13のコースが設定されていた。山岳路ではドライと凍結路面が混在する、なかなか難しいコンディションだったようだ。ちなみに写真のBMW 323i(1981年型)は、総合優勝を果たしたマシンだ。©ACM/René Photos

たとえば、クローズド・ロード(通行止め)の導入。従来のオープン・ロード式から今大会では、一部の重要なステージで道路を完全に封鎖して競技を行う方針が強化された。背景には、近年のヒストリックカーの性能向上と、観客の増加に伴う安全確保に対する要請があるという。

レギュラリティラリーの戦略的要とも言える「平均速度設定」については、車両の年代や排気量に応じたカテゴリー分けがより細分化されているようだ。路面コンディションに応じて主催者判断による設定を変更する権限が強化され、より戦略的な対応も求められる。

結果的に2026年のRMCHは従来以上に、「より本物のラリー(WRCに近い形)」としての競技性が高まった。

2026年の新規定によって、ラリーらしいよりシビアな戦いの要素も加わった2026年のラリー モンテカルロ ヒストリックだが、一般的なファンの楽しみ方は「いつもどおり」実にのどかなものだ。基本的には、市街中心にあるChamp de Mars公園に集められた参戦車両をのんびり眺めるか、リエゾンでラリーマシンたちが通り過ぎる様子を楽しむ姿が見受けられた。

画像: パルクフェルメはとくに規制があるわけでもなく、誰でも好きなように参加車両を眺めることができる。もちろん熱心なファンも多いが、散歩のついで、みたいな観客もけっこういる。

パルクフェルメはとくに規制があるわけでもなく、誰でも好きなように参加車両を眺めることができる。もちろん熱心なファンも多いが、散歩のついで、みたいな観客もけっこういる。

画像: 日が暮れ始めると観客が増えてくる。街のお祭り状態で、誰もがのんびりただただクルマを眺める。モータースポーツの原点は意外に、こんなのどかな風景の中にあるのかもしれない。

日が暮れ始めると観客が増えてくる。街のお祭り状態で、誰もがのんびりただただクルマを眺める。モータースポーツの原点は意外に、こんなのどかな風景の中にあるのかもしれない。

本格的な競技が展開される区間は今回からクローズドとなったエリアもあるため、一般の立ち入りはかなり制限されているという。もっとも、オフィシャルが提供しているコースでの画像を見ると、メディア関係者ではないと思しき人々の姿もあった。

そういえばかつて取材した90年代前半頃のラリー・モンテカルロでも、コースサイドに観客が集まっている風景がごくごく自然だった。同じように、RMCHでもところどころで一般観戦が許されていたのかもしれない。なにしろ案内がフランス語ということもあって、そのあたりの把握が甘かったのは反省すべきか

それはさておき毎朝、公園をスタートしたマシンたちは山岳路地帯を中心に数カ所のSpecialesde Regularite(SR/いわゆるSS)で競い、タイムコントロール(TC)ポイントで再集結した後でふたたびこの公園に戻ってきて、1日のスケジュールを終える。概ね「観客」は、この夕方から夜にかけてのパルクフェルメで、散歩がてら名車たちを愛でている、という印象だった。

プレスじゃなくてもここまで楽しい!のんびりラリー観戦日記

いちおう「取材」という体でプレスパスも取得していたが、SRにはクルマでしかアクセスできない。その上、フランスは日本以上に、車両の氷雪対策に関する規制がシビアだ。しかもスタッドレスを履いたレンタカーはけっこうなお値段になる。海外での運転にも自信がなかったから結局、アシは公共交通機関に絞ることにした。

画像: 1983年型アウディ 80クワトロと1974年型 オペル アスコナ1.9。10歳違いだけど、どことなく「オーラ」が似てる。ラリー車って、どことなく無骨というかあか抜けないところが好き。

1983年型アウディ 80クワトロと1974年型 オペル アスコナ1.9。10歳違いだけど、どことなく「オーラ」が似てる。ラリー車って、どことなく無骨というかあか抜けないところが好き。

画像: 1981年型アウディ クワトロ。伝説的なラリーの申し子が目の前を通り過ぎても、興味のない人はしっかりスルー。

1981年型アウディ クワトロ。伝説的なラリーの申し子が目の前を通り過ぎても、興味のない人はしっかりスルー。

ここからは、日々の活動を日記風にまとめてみたいと思う。プレスパスなし公共機関のみの移動で、どこまでヒストリックカーラリーの醍醐味を満喫できるか、というテーマで振り返ってみよう。

歓戦日記①2月2日(月曜日) コンセントラシオン ゴール

午前中はホテルで記事書きのお仕事、昼前に出て昼食を採ってから、集結場所となるChampde Mars公園に向かうことにした。久々の外食ということでランチはインドネシア料理店を選んだが、想像してたものとは、見た目も味もまったく違う料理が出てきたのはお約束。半分くらい食べたら、お腹いっぱいになった。

画像: インドネシア料理店で「ラクサ」を頼んでみた。会社の近くに美味しい「チキンラクサ」を食べさせてくれるお店があるので、そうとう期待して注文したのだが、やっぱり別モノだった。馬鹿げたボリュームも含めて「フランスあるある」。

インドネシア料理店で「ラクサ」を頼んでみた。会社の近くに美味しい「チキンラクサ」を食べさせてくれるお店があるので、そうとう期待して注文したのだが、やっぱり別モノだった。馬鹿げたボリュームも含めて「フランスあるある」。

画像: ラリー車が集まってきても、Champ de Marsののんびりとした雰囲気はまったく変わらない。

ラリー車が集まってきても、Champ de Marsののんびりとした雰囲気はまったく変わらない。

画像: 概ね近い番号順にまとめて並べているようだったけれど、それもあくまで「概ね」。ここもまた、のどか。

概ね近い番号順にまとめて並べているようだったけれど、それもあくまで「概ね」。ここもまた、のどか。

重い胃を抱えながら徒歩で10分ちょっとの公園に向かう。そこでは手作り感たっぷりのお祭り会場が設営されていた。公園自体は広々していて、見通しも良い。思っていたほど人は集まっていないのは、まだ平日の昼間だからだろうか。TCポイントにはすでに何台かの参加車両たちが並んでいた。

参戦車両は、欧州各地から三々五々集まってくるので、何時にどのマシンがやってくるのかはまったくわからない。とりあえずアクセスするルートは決められているらしかったから、交差点の分離帯っぽいところの地面に座り込んで、参戦車たちを撮影することにした。

提供されたプログラムに掲載されている車両のゼッケンは、260号車まである。本当は、お目当ての1号車「ホンダ シビック RS 1975年式/佐藤琢磨・川島颯太組」を撮ったらすぐにでもホテルに戻るつもりだったのだけど、それなりの頻度で次々に現れるマシンたちを撮り続けていると、2時間やそこらはあっという間に経っていった。

画像: 1980年型のルノー 5 ターボ Ⅱ。フランスでの開催だが、フランス車の割合は意外に低め。ポルシェをはじめ、ドイツ勢が多い印象だった。

1980年型のルノー 5 ターボ Ⅱ。フランスでの開催だが、フランス車の割合は意外に低め。ポルシェをはじめ、ドイツ勢が多い印象だった。

画像: 1964年型オースチン・ヒーレー 3000 マークⅢ。リアフェンダー上には出発地の「MONTE-CARLO」ステッカーが貼られている。

1964年型オースチン・ヒーレー 3000 マークⅢ。リアフェンダー上には出発地の「MONTE-CARLO」ステッカーが貼られている。

画像: シャッターチャンスを逃した直後の1号車 佐藤/川島組シビック RS。信号待ちで並ぶの図。こうしてみると、やっぱりちっちゃい。

シャッターチャンスを逃した直後の1号車 佐藤/川島組シビック RS。信号待ちで並ぶの図。こうしてみると、やっぱりちっちゃい。

「なかなか来ないなー」と少しボーっとしていたら、ふいに1号車が現れてシャッターチャンスを見事に逃してしまった。「ラリーあるある」にがっかりしながら、パルクフェルメへ。佐藤選手と写メを撮ってもらった。厳密に言えば仕事ではないし(趣味で観に行ったものを記事化しているだけ)、そのくらいの役得は許されるだろう。

帰りにカルフール シティ(スーパーマーケットのチェーン店)でブーダン・ノワール(豚の血を混ぜた黒いソーセージ)を購入、ホテルで焼いて食べた。なぜかキッチンに換気扇が備わっていないので、部屋が肉臭くなるのには参った。(後編に続く)

画像: ヴァランス初日の晩餐。トッピングは違うけれど毎晩、ホテルの部屋でクスクスを食べていた。ちなみにヴァランスはボルドーに次ぐぶどうの生産量を誇るRHONE VALLEY地方にあることから、スーパーマーケットでも「COTES DU RHONE」というAOC(原産地統制呼称)を冠したワインが格安で並んでいる。これがめっぽう美味で…すっかりファンになってしまった。

ヴァランス初日の晩餐。トッピングは違うけれど毎晩、ホテルの部屋でクスクスを食べていた。ちなみにヴァランスはボルドーに次ぐぶどうの生産量を誇るRHONE VALLEY地方にあることから、スーパーマーケットでも「COTES DU RHONE」というAOC(原産地統制呼称)を冠したワインが格安で並んでいる。これがめっぽう美味で…すっかりファンになってしまった。

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