2025年10月の大幅改良から、クロスビーの人気が止まらない。国産コンパクトSUVの覇者であるヤリスクロスと直接競合する機会が減り、さらに高まった商品力でライズ/ロッキーと存分に戦える立ち位置にシフトした。おすすめグレードとその理由についても解説したい。

文: 小林 淳
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全方位のアップデートで劇的に高まった商品力

国産コンパクトSUVクラスといえば、今や誰もが認める激戦区。そんな中で、どこか知る人ぞ知る「玄人好み」のポジションを保ち続けてきたのがスズキ・クロスビーだ。このクルマ、2017年にデビューして以来、独自のポジションを築いてきた隠れた実力車だが、2025年10月の大幅改良時に商品力を大きく高めている。新モデルの特需がおさまってきた今でも、先代の2倍以上を売り上げる月もあるというから驚きだ。

画像: 愛らしいフォルムは踏襲しつつも、角張ったモチーフを効果的にプラスすることでタフなイメージも強調。精悍さと親しみやすさを感じさせる外観も人気を集める理由になっている。

愛らしいフォルムは踏襲しつつも、角張ったモチーフを効果的にプラスすることでタフなイメージも強調。精悍さと親しみやすさを感じさせる外観も人気を集める理由になっている。

そんな現行クロスビーで最も注目したいのは、パワートレーンが刷新されたことだ。先代も現行もマイルドハイブリッド車だが、ベースエンジンを先代の1リッター直3ターボから、現行ソリオやスイフトで定評のある最新の1.2リッター直3自然吸気(NA)に変更されたことで、スペック上の最高出力は先代に譲るものの従来よりも扱いやすくなっている。さらにWLTCモード燃費はFF車で22.8km/Lを達成するなど燃費も向上。このクラスは経済性の良し悪しも重視されるだけに大きな強みになっている。

インパネやドアトリムのデザインも変更され、ステアリング奥にはスズキの国内モデルで初採用となる7インチメーターディスプレイ、中央部には9インチタッチディスプレイ(ナビ)が配置。先代のかわいいキャラは幾分薄らいでいるが、ガジェット好きにも刺さりそうなキャビンの魅力も健在だ。そして安全&運転支援も、デュアルセンサーブレーキサポートⅡや停車保持機能付きのACC、レーンキープアシスト(LKA)まで備わるなど、先代と比べると大きな進化を実感できる。

画像: 先進感を格段にアップさせたコックピット。運転支援機能も大幅に強化され、コンパクトクラスを超えた上質な操作感と安心感を提供してくれる。

先進感を格段にアップさせたコックピット。運転支援機能も大幅に強化され、コンパクトクラスを超えた上質な操作感と安心感を提供してくれる。

ライバル不在の市場構造が追い風に

こうした全方位にわたる進化が人気を牽引していることは確かだが、これまでしのぎを削っていたライバルたちの立ち位置が変化したことも、クロスビーの堅調な売れ行きを後押しする大きな理由になっている。

このクラスをリードしているトヨタ・ヤリスクロスは、ガソリン車もハイブリッド車もこなれた価格設定で人気が高いモデルだが、特にガソリン車は攻めた設定であり、クロスビーとは200万円台前後から250万円手前までの価格帯で激しい争いを展開していた。最終的には販売力の違いもあって登録台数はヤリスクロスが圧倒し続けたものの、新車販売の最前線ではまさにガチンコの競合関係にあった1台だ。

ところが最近のヤリスクロスは、慢性的な品薄やトヨタのモデル全体がハイブリッド車にシフトしつつあることもあって、直接競合することが減ってきている。トヨタ・ライズ(ダイハツ・ロッキー)との関係はあまり変化していないが、ライズが相手なら商品力が大きく高まったクロスビーならば、これまで以上に戦える。厄介な強敵が実質的に一歩退いてくれた形になっているのだ。

ソリオ譲りの実用性と抜群のコスパが光る! おすすめグレードはハイブリッドMZ

クロスビーは、ルックスから「ハスラー」の拡大版と思われがちだが、実は骨格ベースで言えばハイトワゴンの「ソリオ」に近い。これが大きなポイントで、軽量かつ高剛性なプラットフォームのおかげで、フットワークが実に軽快。しかもソリオ譲りだから、室内がめちゃくちゃ広いのだ。1.3m近い室内高に加え、左右独立してスライド&リクライニングする後席を備えるなど、3.8mに満たない全長からは想像できないほど実用的で、乗るたびにそのパッケージングの良さに感心させられる。

画像: 見た目からは想像できないほどの広大な室内空間を持つ。このあたりは関係が深いソリオ譲りの美点のひとつ。

見た目からは想像できないほどの広大な室内空間を持つ。このあたりは関係が深いソリオ譲りの美点のひとつ。

画像: 左右独立スライド機構を備えた後席や防汚タイプのラゲッジなど、実用的なパッケージングは街乗りからアウトドアレジャーまで活躍してくれるだろう。

左右独立スライド機構を備えた後席や防汚タイプのラゲッジなど、実用的なパッケージングは街乗りからアウトドアレジャーまで活躍してくれるだろう。

価格も215万7000円から250万300円と、この物価高が続くご時世にスズキらしい抜群のコスパをキープしている点も見逃せない。

オススメしたいグレードは、上級の「HYBRID MZ(239万300円〜)」、できれば「アップグレードパッケージ(6万9300円高)」装着車を選びたい。 クロスビーは単なる「実用的なコンパクトカー」だけではなく、オシャレさやタフさといった独自のキャラも楽しめる、遊び心のあるスペシャリティカーだけに、レザー調&撥水シートやカラーヘッドアップディスプレイが付くパッケージ仕様を選んで、その世界観にどっぷり浸かった方が所有満足度は絶対に高い。

画像: スズキ XBEE(クロスビー) HYBRID MZ

スズキ XBEE(クロスビー) HYBRID MZ

さらに、路面状況に合わせて駆動力を最適化するグリップコントロールやスノーモードを備えた4WD(おおよそ16万円高)も完成度が高い。休日のレジャーまで視野に入れるなら、4WD車を選んでこそクロスビーの本質をとことん味わえる。

画像: 4WDは軽量なビスカス式ながら、スノーモードやグリップコントロールなどの走破支援機能が組み合わされるコスパと性能を意識したタイプ。下り坂を制御するヒルディセントも備わるなど、幅広い道路環境においてタフで頼もしい走りを披露してくれる。

4WDは軽量なビスカス式ながら、スノーモードやグリップコントロールなどの走破支援機能が組み合わされるコスパと性能を意識したタイプ。下り坂を制御するヒルディセントも備わるなど、幅広い道路環境においてタフで頼もしい走りを披露してくれる。

最近はクロスビーの魅力に気づいたユーザーが増えたことで納期が若干遅れ気味だが、これだけ機能性と個性のバランスが絶妙なクルマは見かけられない。アクティブなカーライフを楽しみたいユーザーにとって、間違いなく頼もしい相棒になってくれるだろう。

画像: アップグレードパッケージ(6万9300円高)は、レザー調&撥水ファブリックシートやカーキ色の専用カラーパネル、レザー調アームレストを採用することでインテリアの質感が大幅に向上。さらにカラーヘッドアップディスプレイやLED照明も追加されるお得な内容になる。

アップグレードパッケージ(6万9300円高)は、レザー調&撥水ファブリックシートやカーキ色の専用カラーパネル、レザー調アームレストを採用することでインテリアの質感が大幅に向上。さらにカラーヘッドアップディスプレイやLED照明も追加されるお得な内容になる。

画像: 全方位モニター付メモリーナビゲーション(20万1300円高)は、9インチHDナビに全方位カメラやスズキコネクト対応通信機を備える最新の車載IT。スマホ連携やSOSボタン、HDMIソケットなども備わり、ドライブの安全性と快適性を一気に高めてくれる。装着はマストと考えたい装備だ。

全方位モニター付メモリーナビゲーション(20万1300円高)は、9インチHDナビに全方位カメラやスズキコネクト対応通信機を備える最新の車載IT。スマホ連携やSOSボタン、HDMIソケットなども備わり、ドライブの安全性と快適性を一気に高めてくれる。装着はマストと考えたい装備だ。

スズキ クロスビー HYBRID MZ(フルタイム4WD) 主要諸元

●全長×全幅×全高:3760×1670×1705mm
●ホイールベース:2435mm
●車両重量:1030kg
●エンジン:直3 DOHC+モーター
●総排気量:1197cc
●最高出力:59kW(80ps)/5700rpm
●最大トルク:108Nm(11kgm)/4500rpm
●モーター最高出力:2.3kW(3.1ps)/1100rpm
●モーター最大トルク:60Nm(6.1kgm)/100rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・30L
●WLTCモード燃費:21.0km/L
●タイヤサイズ:175/60R16
●車両価格(税込):255万5300円

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