ランドクルーザーに骨太モデル「GXディーゼル」が追加された。クロカンマニア感激のリアルオフローダーを出したのは本当にエライ。その理由5つを解説しよう。

文: 小林 淳
▶▶▶写真はこちら|トヨタ「ランドクルーザー GX 3.3L ディーゼル 4WD」(画像7枚)

クロカンファン熱狂! ベースグレード「GX」に本命のディーゼルモデルが追加

新型ランドクルーザー300のデビュー時、進化した悪路走破性と洗練されたデザインが話題となったのは記憶に新しい。

しかしその一方で、「クルマは泥にまみれて使ってナンボ」と考えるクロカン好きの多くは、どこか寂しさが漂っていたのも事実だろう。

電子駆動制御の多用や豪華なインテリア&装備、大径ホイールの採用などでプレミアムキャラが強まる一方、「どこへでも行き、生きて帰って来られる」というランクル本来の武骨な原風景が薄れたと感じる声もあった。

そんなニーズに応えるカタチで、この9月に実施された改良でランクル300のラインアップに追加されたのが、ディーゼルターボと組み合わされた「GX」だ。

画像: ランドクルーザー GX 3.3L ディーゼル 4WD

ランドクルーザー GX 3.3L ディーゼル 4WD

装飾を極力削ぎ落とし、過酷な現場での実用性を重視して仕立てられたこのグレードの登場がなぜクロカンファンから評価され、歓迎されているのか。その理由を紐解いていきたい。

まず挙げられるのが、その心臓部に収められたパワートレーンだ。

そもそもランクル300のデビュー時(2021年)には、ベースグレードのGXにはガソリンターボ車しか設定がなかった。実用重視のGXでこそ、低回転から粘り強いディーゼルを使い倒したいと願っていたファンにとって初期のラインアップはやや歯がゆい状況だっただけに、今回の追加はまさに待ち望まれていた設定と言える。

画像: メッキ加飾を抑えたブラック基調のグリルや18インチタイヤが光るランドクルーザー 300「GX」。過度な装飾を排し、悪路走破性と実用性に特化した道具感あふれるストイックなスタイルが魅力だ。

メッキ加飾を抑えたブラック基調のグリルや18インチタイヤが光るランドクルーザー 300「GX」。過度な装飾を排し、悪路走破性と実用性に特化した道具感あふれるストイックなスタイルが魅力だ。

GXに搭載される3.3LのV6ツインターボディーゼルエンジンは、最高出力226kW(307PS)、最大トルクはわずか1600回転から700Nm(71.4kg-m)を発揮。可変ノズルを備えるターボディーゼルは、低速域でもトルクフルであり、岩場をゆっくり這い上がるような極低速域でのアクセル操作に対しても、優れたコントロール性と粘り強さを見せる。それでいてダイレクトシフト10速ATとの組み合わせにより、オンロードでのスムーズな加速も達成するなど、扱いやすい。この優れたディーゼルユニットをベーシックグレードのGXで選択できるようになったことは、熱狂的なファンにとっては大歓迎だろう。

画像: GXの内装は気兼ねなく使い倒せるファブリックシートを採用。シート機構もオートではなく、マニュアル式を採用するなど質実剛健の精神が宿る。

GXの内装は気兼ねなく使い倒せるファブリックシートを採用。シート機構もオートではなく、マニュアル式を採用するなど質実剛健の精神が宿る。

画像: GXはオプションで水や泥に強い樹脂製フロアカーペットも選択可能。ハードなオフロード走行やアウトドア現場で真価を発揮するタフな仕様にすることもできる。

GXはオプションで水や泥に強い樹脂製フロアカーペットも選択可能。ハードなオフロード走行やアウトドア現場で真価を発揮するタフな仕様にすることもできる。

泥臭いハードウェアこそがランクルの真骨頂

さらに見逃せないのが、電動デフロックが標準装備されていることだ。

通常、クルマが曲がる際には内外輪の回転差を吸収するためにデフ(差動装置)が働く。しかしデフには「片輪が宙に浮くなどして抵抗がなくなると、その空転したタイヤにばかりパワーが逃げ、接地している側のタイヤに駆動力が伝わらなくなる」という構造上の弱点がある。

現代のSUVでは空転したタイヤに自動でブレーキをかけて反対側へ駆動力を逃がす電子制御のブレーキLSDなどで対応するのが主流だが、タイヤが完全に浮いてしまうような激しいモーグル路などでは制御の限界が生じることもある。

そこで効果を発揮するのが、スイッチひとつで左右のドライブシャフトを物理的に直結する電動デフロックだ。片輪が宙に浮こうが関係なく、接地しているタイヤへエンジンパワーを確実に伝達し続けることができ、機械的に50:50で左右にパワーを分配するため、スタックに陥るリスクを大幅に軽減。極限状態において電子制御の判断だけでなく、物理的に繋がっているという構造上の確実性が得られる点こそ、リアルオフローダーから重宝される理由になる。

画像: アプローチアングル32°、デパーチャーアングル26°、ランプブレークオーバーアングル25°を確保。厳しい地形でも車体底部を擦りにくくリアルオフローダーらしい設計も魅力。

アプローチアングル32°、デパーチャーアングル26°、ランプブレークオーバーアングル25°を確保。厳しい地形でも車体底部を擦りにくくリアルオフローダーらしい設計も魅力。

傷や汚れを恐れず使い倒せる、実用性に徹したストイックな仕立てが頼もしい

また、このクルマが持つ「道具」としての割り切りもコアなユーザーほど所有欲を刺激するはずだ。GXはメッキ飾りのないシンプルなブラック基調のラジエーターグリルや控えめなバンパーデザイン、ファブリックシートの採用など、実用性に特化した素朴な仕立てだ。豪華なレザーシートを備えた上級グレードでは傷や汚れを躊躇しがちだが、GXならそうした気遣いを気にせずフィールドで使い倒すことができる。

画像: 悪路や過酷な環境下でも失速することなく前に進める、圧倒的な走破性と信頼性を備えることも唯一無二の強み。「生きて帰って来られる」世界的にも稀有なオフローダーだ。

悪路や過酷な環境下でも失速することなく前に進める、圧倒的な走破性と信頼性を備えることも唯一無二の強み。「生きて帰って来られる」世界的にも稀有なオフローダーだ。

足元のタイヤサイズにも実用的なこだわりが見られる。トレンドの大径ホイールではなく、あえて高扁平な265/65R18タイヤを標準装着。エアボリュームが確保されているため岩場でのリム打ちリスクを軽減できるほか、エア圧を落として接地面積を稼ぐ走行にも対応しやすい。アフターパーツのオフロードタイヤへの履き替えや整備もしやすく、ベース車としても扱いやすい仕様だ。

世界最高峰のクロカン4WDを、手に届く価格で狙える

まさに質実剛健といったGXを630万800円で手に入れられることも魅力を感じるところ。

今回の改良では、国内初となる3.5Lガソリンターボハイブリッド搭載モデルも新設定されたが、ターボハイブリッドの価格はZXで980万1000円、GRスポーツでは1020万300円と高価格帯になっている。また上位グレードのディーゼルモデルを見ても、ZXが875万500円、GRスポーツが915万900円とかなりの価格だ。

そうした中、同じランクル300の骨格を持ちながらディーゼルのGXは630万800円から購入可能。上位グレードと同等の「GA-Fプラットフォーム」や高剛性ボディ、ツインターボディーゼルという基本性能を備えつつ、過剰な快適装備を削ぎ落とすことで抑えられた価格を実現している。上位との差額分の予算を本格オフロードタイヤの装着やカスタムパーツの購入に回せる点でも、非常に合理的な選択肢と言える。

そんな嬉しい進化を果たしたランクル300だが、購入状況はまだまだ厳しい。デビュー直後の爆発的な受注の多くは順次消化されてきた模様だが、販売店には依然として問い合わせが殺到している。現状では「注文再開時に優先的に連絡してほしい」と事前に順番待ちをしていたユーザーから順に対応されているようだ。

画像: ラダーフレーム「GA-Fプラットフォーム」は、伝統の堅牢性と剛性を高次元で維持しながら軽量化を達成できたマストメカニズムのひとつ。

ラダーフレーム「GA-Fプラットフォーム」は、伝統の堅牢性と剛性を高次元で維持しながら軽量化を達成できたマストメカニズムのひとつ。

販売店への割り当て枠の兼ね合いで「注文できても納期は分からない」「受注はストップしている」と言われるケースもあるだろうが、そこで諦めず、連絡待ちのリストに並んでおくのが、ランクル300を確実に手に入れるための近道になる。

都市部に馴染む洗練されたランクルも魅力的だが、過酷な環境に対応する「シンプルな道具」を求めていたコアなユーザーにとって、ディーゼルのGXはまさに求めていた存在と言える。過度な装飾に頼らずランクルの原点に回帰したこのモデルの追加は、オフロードファンにとって大いに歓迎すべきニュースだ。

画像: わずか1600回転から700Nmの強大なトルクを発生する3.3LのV6ツインターボディーゼルエンジン。今回の改良でGXに投入されたことで、これまで以上にランクル300がクロカンマニアから注目を集めることに。

わずか1600回転から700Nmの強大なトルクを発生する3.3LのV6ツインターボディーゼルエンジン。今回の改良でGXに投入されたことで、これまで以上にランクル300がクロカンマニアから注目を集めることに。

トヨタ GX 3.3L ディーゼル 4WD 主要諸元

●全長×全幅×全高:4950×1980×1925mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:2460kg
●エンジン:V型6気筒インタークーラー付ツインターボ
●総排気量:3345cc
●最高出力:226kW(307ps)/4000rpm
●最大トルク:700Nm(71.4kgm)/1600~2600rpm
●トランスミッション:電子制御10速オートマチック
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:軽油・80L
●WLTCモード燃費:9.8km/L
●タイヤサイズ:265/65R18
●車両価格(税込):630万800円

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