高級ブランドらしく着実な成長を見せるベントレー。2016年はSUVのベンテイガが発売開始されることもあり、販売台数は一気に伸びることが期待されている。ここでは2016年モデル新春試乗会の模様をお伝えする。
画像1: 【試乗】ベントレー コンチネンタル GT V8 Sが、繊細な変更を受けてグレードアップ

高級車らしい着実な進化を続ける

高級車の販売はその時々の経済状況に大きな影響を受ける。逆の言い方をすれば、販売台数の推移を見ることで、その国、地域の景気の動向がつかめるということになる。

まず、ベントレーのグローバルな販売状況はどうだろうか。2015年は前年比8.4%減の1万100台だが、3年連続の大台は確保した。そして、エリアで見ていくと北米が2864台で全販売台数の28%を占めた。ただし、これは14年の3186台からは減少している。そして、ベントレーにとって北米と並ぶ大事なマーケットである中国は1615台だったが、これは前年の2560台から大きく落ち込んだ数字だ。中国の景気が減速しているのが、これでよくわかるというものだ。

そして好調なのはヨーロッパだ。一時期の低迷期から脱して、イギリスを除くヨーロッパで15年は10%増の1695台が販売された。さらに母国であるイギリスは5%増の1457台を記録している。ところで日本はと言うと15%伸びて353台だった。年明けこそ株価が下落するなど経済の不透明感が出てきたが、15年に関しては日本経済は順調だった証と言っていいだろう。

画像: インパネは実にゴージャスだが、このV8 Sは色使いがブラック基調でスポーツムードもプラスされている。

インパネは実にゴージャスだが、このV8 Sは色使いがブラック基調でスポーツムードもプラスされている。

さて今回、行われた新春試乗会は都内のホテルをベースにしたものだったこともあり、走りに関しては残念ながらベントレーの魅力を十分に堪能できるステージではなかった。

そこで、取材車には16年モデルでデザインの変更を受けたコンチネンタルGT、その中でもV8 Sをチョイスした。このモデルの変更点を順次、説明していきたいと思う。

ホテルのエントランスにつけられたコンチネンタルGTは、やはり文句なしに優雅である。久しぶりにじっくりとそのスタイリングを眺めたが、これまで以上に気品が漂っているように感じられた。

なぜだろうか。実はエクステリアのディテールに手が加えられていたのだ。“高級車は安易に姿を変えるものではない”とはよく言うが、その定石どおりで、ちょっとした造形の変化がラグジュアリー性を高めたようだ。

具体的にはまずフロントグリルからバンパーにかけてのデザインが変更されている。これまでより造形の切り味が増した印象を受ける。さらにヘッドライト部分からドアミラー方向へ流れるフロントフェンダーも曲面が微妙に変更された。

また、リアではリップスタイルのスポイラーが付くなどトランクリッドのデザインが変わっている。他にもエクステリアでは新しいタイプの電動格納式ドアミラーが採用され、また新デザインのアルミホイールもオプション設定された。

インテリアではスポーツタイプステアリングホイール、ドアハンドル、コラムマウント式シフトパドル、各ダイヤル類、時計のグラフィックなどがデザイン変更されている。

多くはオーナーであればこそ初めてわかるような変更だが、これが高級車というものなのだろう。殊更にリファインしたことをアピールせず、わかる人にだけわかってもらえばいいということだ。

画像: 4LV8DOHCツインターボを搭載。2380kgという重量級ボディをスポーティに走らせるのに十分なパワー。

4LV8DOHCツインターボを搭載。2380kgという重量級ボディをスポーティに走らせるのに十分なパワー。

じっくりと内外装を確認した後、ドライバーズシートに座ってポジションを合わせると、身体がしっかりと包まれる感じがする。コクピット感覚も十分でスポーツムードが高まる。そして、見ても触っても高品質を感じさせるハンドルやスイッチ類は、スポーティなだけではなくラグジュアリーな印象をドライバーに強く与える。

 
そして、少々混雑気味の都内を30分あまり走ってみたが、ボディサイズを感じさせない運転のしやすさは相変わらずだと感心させられた。最高出力528ps、最大トルク680Nmというハイパワーマシンだが、微低速域では非常に滑らかでアクセルペダルの踏み込みに対して、実に繊細な反応を見せてくれる。4WDのメリットはスタート時のタイヤのひと転がりのスムーズさにも現れているのかも知れない。

さらに都内のストップアンドゴーでも、リニアリティの高さが十分に感じられた。高級車としての“走り味”の部分も、コンチネタルGTはどんどん進化していることがよくわかった。今回は短い時間の試乗だったが、次はぜひロングドライブをしてみたいと思う。そうすればこのクルマの良さがもっと見えてくることは間違いない。(文:荒川雅之/写真:永元秀和)

画像: リアコンビランプまわりのふくよかな曲面が美しい。リアバンパーとディフューザーも新デザインとなった。

リアコンビランプまわりのふくよかな曲面が美しい。リアバンパーとディフューザーも新デザインとなった。

●主要諸元〈コンチネンタル GT V8 S〉
全長×全幅×全高=4820×1945×1400mm 
ホイールベース=2745mm 
車両重量=2380kg 
エンジン=V8DOHCツインターボ 3992cc 
最高出力=389kW(528ps)/6000rpm 
最大トルク=680Nm(69.3)/1700rpm 
トランスミッション=8速AT 
駆動方式=4WD 
燃費(NEDC準拠の参考値)=9.5km/L 
タイヤサイズ=275/40ZR20 
車両価格=23,100,000円

This article is a sponsored article by
''.