アウディが欧州でg-tronを購入した顧客に、アウディe-gasを3年間利用できる特別パッケージを標準設定したと発表。結果としてCO2削減に大きな貢献をするというが、いったいどういうことなのだろうか。
画像: 2017年の初夏に投入されるアウディA4アバント g-tron。

2017年の初夏に投入されるアウディA4アバント g-tron。

A4アバント、A5スポーツバックのg-tronがデビュー

「技術による先進」を謳うアウディは、とかくその高度な運転支援システムやS/RSモデルの卓越した走りなどで注目を集める。しかし実は環境問題についても独自の取り組みを行っており、その技術と思想の先進性には眼を見張るものがあるのだ。

それが3月8日に発表された「欧州でg-tron購入の顧客にアウディe-gasを3年間提供」というニュースに見ることができる。これだけ聞いても何のことやら、よくわからないと思うので順を追って説明することにしよう。

まず“g-tron”だが、これはCNG(天然ガス)を燃料として走るアウディ車のこと。他に“e-tron”というモデルもあるが、これはEVかプラグインハイブリッド車だ。そして“アウディe-gas”は人工メタンガスで欧州のいくつかの施設において再生可能エネルギーによる電力を使用して水とCO2から作られるか、藁や刈った草など有機残留材から生成される。生産過程でエンジンで燃焼する時に発生するのと同じCO2を取り込んでいるので、CO2フリーのクリーンエネルギーということになる。

そうしたわけで、アウディg-tron(現在はA3のみ、初夏にA4アバントとA5スポーツバックが追加になる)を買ったユーザーはどこでも好きなCNGステーションで給油をすると、アウディがそれと同じ量のアウディe-gasを天然ガス網に供給するので、環境に負荷を与えないということになる。ユーザーはCNGステーションで通常どおり支払いをするだけで、それ以外に費用は必要としない。また、給油量を確認するためのカードなどは存在せず、アウディはクルマから得られる車両データやサービスデータに基づいてCNGの消費量を算出する。

画像: アウディg-tronユーザーがSSでCNGを入れたぶん、風力発電による電力と水とCO2でCNGを作ったCNG供給網に戻す。

アウディg-tronユーザーがSSでCNGを入れたぶん、風力発電による電力と水とCO2でCNGを作ったCNG供給網に戻す。

クルマのCO2排出量について考えるとき、その使用燃料が何によってどのように作られたのかを考慮に入れるか入れないかで話の方向は変わってくる。アウディはここまで踏み込んで環境問題を考えていることは確かだが、たとえばアウディe-gasの生産施設を作るために生じたCO2はどうカウントするのか、というところまで議論を深めていくと結論はそう簡単には出ない。

たとえばマツダは現時点でトータルに考えた場合、自らのディーゼルエンジンの優位性に自信を持っている。また、これらの事情は時間の流れと共に、さらに技術の進歩とともに変わっていったりもする。するとユーザーとして現時点では世界のメーカーが様々なアプローチでこの課題に取り組むのを関心をもってしっかりと見ていくしかない、ということになりそうだ。

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