「感動を生む接客」を目指し、5分間に2組の来客に対応。
競技はステージ上に設けられたショッピングコーナーで、5分間に2組の来客に対応するというもの。「また、あの人に会いたい」と思っていただけるように、ホスピタリティあふれる「感動を生む接客」であったかどうかを重視します。チェック項目は、「好感度」「提案力」「コミュニケーション力」「レジ操作」「ホスピタリティマインド」の5つ。
審査員は5名で、2人が接遇・応対説話とチェッカー技術の専門家である特別審査員、残り3名が拙生を含めた一般審査員。もちろん、特別審査員の方が大きな配点を持っています。
しかし、16人もの同じ接客の様子を見ていると、拙生のような素人でも違いはわかるものです。
たとえば「お客さんの話をちゃんと聞いていて、言葉のキャッチボールができるのか」というコミュニケーション力は、誰の目にも一目瞭然。お菓子を包装するときに賞味期限をチェックするがどうかもチェックポイントです。
また、レジでのお金の受け渡しにも正しい方法があります。拙生も審査員になって初めて知りましたが、お金を受け渡すときは「小銭がいくらあるのか」を販売員とお客さんが一緒に確認しなくてはなりません。ジャラっと渡すのではなく、お札が何枚、百円玉が何枚、十円玉が何枚あるのかを互いに見えるように受け渡すのが正解なんです。
たった5分の接客の中に、そうした細かな技術が数多く詰め込まれています。
そのため参加者は、みな職場で同僚を相手に特訓を重ねてきました。しかし、コンテストは審査員だけでなく参加者全員にそれぞれの応援団までが見守る中で行われます。
「スポットライトを浴びると、それだけで頭が真っ白になる」という人も。審査員席からも、足が震えているのがわかる人もいます。強烈なプレッシャーの中で、日頃の練習通りに接客を行う精神力も問われます。
そんな厳しいコンテストの結果、五十嵐加代子さん(阿賀野川SA下り)、小西実佳さん(越後川口SA上り)、坂本丈佳さん(海ほたるPA)の3名が金賞を獲得しました。
五十嵐さんと小西さんは、どちらも経験が15年以上というベテラン。それに対して坂本さんは2年目という新人です。なかなかのがんばりだったと言えるでしょう。
また、小高信人さん(那須高原SA上り)と中山幸子さん(保土ヶ谷PA下り)の2名は、特別審査員賞。小川由起子さん(横川SA上り)と滝吉千寿子さん(東海PA上り)には、奨励賞が送られました。
ホリデーオートの取材などで、毎月、全国のSA取材を10年近く続けてきましたが、確かに、最近はSA/PAで買い物をすると、消費期限をチェックしているスタッフの姿を見ることも増えています。
それも、接客コンテスト開催の影響なのでしょうね。
(文:鈴木ケンイチ 写真:NEXCO東日本)