さる3月16日、曙ブレーキ工業は2017年のモータースポーツ活動計画を発表した。FIA世界選手権、ニュルブルクリンク24時間レースに加え、今シーズンもマクラーレンチームのテクノロジーパートナーとしてF1GPに挑戦する。F1にブレーキ供給を始めてはや11年、日本を代表するサプライヤーとして、果敢なチャレンジを続けている。
究極のシステム開発を支えた究極の場
akebonoブランドを掲げる曙ブレーキ工業株式会社とマクラーレンチームのタッグは、2007年から始まった。ボーダフォン・マクラーレン・メルセデスのMP4-22に、ブレーキキャリパーとブレーキマスターシリンダーを供給、フェルナンド・アロンソとルイス・ハミルトンがシーズンを戦った。1929年創業と、当時ですでに80年近い歴史を誇っていた日本の老舗ブレーキメーカーが、文字どおり世界に挑んだ記念すべき年である。
信元久隆社長は当時、「究極のブレーキシステムを開発するには、究極のグランプリの場しかありえない」と、共同開発に乗り出す決意を語っていた。それから10年、2016年10月に日本で開催された「パートナーシップ締結 10周年記念イベント」では、技術力の向上、エンジニアの育成とともに、高性能ブレーキ事業にF1GPで培われた技術が活かされていることを、強くアピールしている。
34回の優勝に貢献。WECやニュル24時間にも継続参戦
この10年間で残した戦績は、実に輝かしい。チームの優勝は実に34回、表彰台は94回も獲得しているという。F1GPでの活躍は同時に、欧州市場での「akebonoブランド」の知名度を一気に引き上げた。2010年にはポルシェ パナメーラ用の純正ディスクブレーキパッドを納入するほど、高い信頼を獲得している。
国際格式のコンペティションとしては2017年も、Gazoo Racingとのコラボによるニュル24時間耐久レースやル マン24時間レースを含むFIA世界選手権(WEC)へのサポートを継続すると発表。2016年に公表された新中期経営計画 「akebono New Frontier 30 - 2016」で掲げている「ハイパフォーマンスブレーキ(高性能量販車用ブレーキ)ビジネスの拡大と欧州事業の新築 」という目標の達成に向けて、曙ブレーキ工業のチャレンジは続く。日本が誇る「モノづくり」の力を、これからも世界に見せつけて欲しいものだ。