伝統の直6を止め、新たにV6エンジンを搭載する新世代パッケージに移行したZ31。中でも上級グレードの300ZXには当時の国産最強である230ps(グロス)を発生する3ℓターボを搭載し、その圧倒的な動力性能は他の追従を許さなかった。(この記事は2017年5月10日発売の「ホリデーオート6月号」より一部抜粋して構成しています)

世界最量販スポーツが見せた渾身のFMC

3代目へのフルモデルチェンジ(FMC)は衝撃だった。ロングノーズの基本フォルムは初代~2代目を踏襲するものの、セミリトラクタブルヘッドランプの採用など、従来のZとは違う手法でデザインされたことがひと目でわかる。

画像: V6エンジンを搭載したことによりノーズは短縮され(それでも長いが…)、スタイリングも大きく変わった。

V6エンジンを搭載したことによりノーズは短縮され(それでも長いが…)、スタイリングも大きく変わった。

エンジンも直6から新開発の2ℓと3ℓのV6に換装された。どちらもシンプルなSOHCながらターボでパワーアップしており、Zが動力性能で国産トップを狙ったことを表していた。特に230ps/34.0kgmを発生する3ℓの300ZXは400mを14.4秒で走り切る暴力的ともいえる加速力を披露。最高速度も235km/hと、トップパフォーマーの名に恥じない実力を示した。

画像: 当時、オーバー200psを誇るエンジンはこのVG30ETしかなかった。その加速はまさに異次元だった。

当時、オーバー200psを誇るエンジンはこのVG30ETしかなかった。その加速はまさに異次元だった。

このパワーを受け止めるシャシは形式こそ2代目と同じだが大幅に強化されていて、直進安定性、旋回性能共に当時の国産トップレベルにあった。これにはエンジンをV6に換装したことで前後重量配分が改善されたことが効いていた。

一方、2ℓは3ℓに比べると非力感は否めなかった。そこで85年にV6専用シャシに直6を積む荒技を使って2ℓDOHCターボのRB20DET型エンジン搭載車を追加する。また86年のマイナーチェンジを機に、3ℓにNAのV6DOHCを積んだ「300ZR」が追加された。これはリニアなNAの出力特性と旋回性能に特化したサスペンションを組み合わせた純粋に走りを追求したモデルで、ハンドリング自体を堪能したいと思うドライバーから熱い視線が注がれている。

画像: 86年のマイナーチェンジで新たに加わったのが、3ℓV6DOHCを搭載した「300ZR」。自然吸気エンジンならではの爽快な走りが身上だった。

86年のマイナーチェンジで新たに加わったのが、3ℓV6DOHCを搭載した「300ZR」。自然吸気エンジンならではの爽快な走りが身上だった。

(以下、第四話に続く)

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