クルマが一挙に大衆化した1970年代〜80年代。高性能車が続々と誕生し、クーペが若者の憧れだった時代を振り返る期間限定の連載の始まり。今回は時代を遡って、1965年(昭和40年)に発売された美しい2シータークーペ=初代シルビアをご紹介しよう。
シルビアと言えば、5代目のS13型がとくに有名だが、その歴史は意外に古く、初代は1965年(昭和40年)3月に発売されている。当時まだ珍しかった2シーター・スペシャリティカーの草分けであり、その流麗かつシャープなラインは機械によるプレス加工が不可能なほどで、職人による手叩きの加工が必要だったという逸話がある。
ベースになっていたのはSP310型フェアレディで、ラダー・フレームのシャシにボディを被せて生産された。ハンドメイドのボディということもあり、販売価格は120万円と非常に高価だった。ベースになったフェアレディが88.6万円、セドリック(ベースモデル)が115万円だったことを考えると、いかに高価なモデルだったかがわかる。総生産台数もわずか554台と非常に少ない。
CSP311型シルビア主要諸元
全長3985×全幅1510×全高1275㎜
ホイールベース:2280㎜
車両重量:980kg
トランスミッション:4速MT
サスペンション形式:(前)ダブルウイッシュボーン・コイル (後)リーフリジッド
エンジン:R型直4OHV 1595㏄