リアエンジン/リア駆動(RR)のスポーツモデル
新型トゥインゴは、2016年9月に日本上陸したルノーのAセグメントモデル。ご存じのとおり、あの「スマート フォーフォー」と兄弟車という関係になる、リアエンジン/リア駆動(RR)のクルマになる。最小回転半径は4.3mと、パリの狭い路地でも運転しやすい。ボディカラーも豊富に用意されているし、インテリアカラーもポップ。言ってみれば、フランスのお菓子「マカロン」みたいな存在。小さいボディだが室内は広い、スモールシティカーだ。
そんなトゥインゴにこの10月、設定されたのが「トゥインゴGT」。その名のとおり、強化されたエンジン/シャシを持つスポーツモデル。トランスミッションは5速MTのみ。他のルノー「GT」モデルと同様、あのルノー・スポール(R.S.)が開発を手がけている。
エクステリアで特徴的なのは、左リアフェンダーに取り付けられたサイドエアインテーク。ノーマルのトゥインゴはホイールアーチ上部にあるエアインテークの位置を変更したことで、ターボチャージャーに入る空気の温度が12%低下、エンジンの吸気流量が23%も向上しているのだという。
それに加え、エキゾーストシステムも排気圧改善のために新たにクロームのデュアルエキゾーストパイプを装着。またエンジンのマッピングを変更したことで、排気量は897ccの直3ターボエンジンで出力/トルクは109ps/170Nmを発生する。ノーマルの0.9Lターボモデルが90ps/135Nmなので、これは大幅な出力アップだ。
室内は、ボディカラーのオランジュ ブレイズメタリック(オレンジ)に合わせた配色。エアコン吹き出し口やシフトレバーのブーツリングなどに、オレンジの差し色が配されて、小粋でポップな仕上がりとなっている。ここらへんは、ノーマルのトゥインゴと共通しているところだろう。
FFモデルでは味わえない「ムズムズッ」とした挙動が味わえる
キーをコラムに挿し、回してエンジンを始動する。
リアに搭載するエンジンは、大幅の性能向上にもかかわらず、街乗りレベルでは存在感を示さない。室内は非常に静か。もしかしたら、エンジンが前にある「ふつうの」コンパクトカーよりも日常走行しているときの静粛性は高いかもしれない。
シフトストロークは長めだが、スッと入る感覚が気持ち良い。エンジン回転を耳で確かめながら2速/3速。このリズム感がたまらない。日常使いではちょっと硬めに感じる足だけど、荷重をかけるときちんとストロークし、きちんと動くするので、いつでもタイヤが路面に接地する安心感がある。どんなに速度を上げていっても、接地の「ヌケ感」がないから、ワインディングではとても楽しい。クルマとシンクロして、まるで「クルマを着ているような」感覚になってくる。
ESC(横滑り防止装置)の介入も、ノーマルのトゥインゴに対して遅めで、ある程度許容してくれる。だからコーナーリング時には、あの、お尻が“ムズムズッ”とする、FFモデルでは感じることのできない典型的な「RR」の挙動まで味わわせてくれるのだ。
一眼タイプのメーターの中に、じつは回転計は見当たらない。でもここで「スポーツモデルなのにタコメーターがないなんて…」とガッカリするのは早合点だ。ルノー車専用アプリ「R&Go」で設定すれば、自分のスマホにエンジン回転を表示できる。
今回は「オランジュ ブレイズメタリック」のボディカラーに5速MTのみの組み合わせで200台限定だが、このトゥインゴGT、来年2018年の年明けにはカタログモデルとなり、5速MTのほかに6速EDC(DCT)モデルもラインアップされる。こちらも待ち遠しい。
■文:ネギシマコト/■写真:玉井 充
ルノー・トゥインゴGT 主要諸元
●サイズ=3630×1660×1545mm ●ホイールベース=2490mm ●車両重量=1010kg ●エンジン=直3DOHCターボ 897cc ●エンジン最高出力=109ps/5750rpm ●エンジン最大トルク=170Nm/2000rpm ●駆動方式=RR ●224万円