■文:瀬在仁志 写真:井上雅行
市場だけでなく、レースの分野でも活躍するオープンカントリーブランド
東洋ゴム工業は2019年1月1日に社名を「TOYO TIRE株式会社」に変更すると、2018年2月15日に発表した。グローバル企業として新たな歴史を切り開いていく、強い意志の表れだという。その発表の前に行われた新製品の試走会も、次世代に向けた新たなチャレンジと言える内容だった。
日本ではあまり馴染みのないピックアップトラック向けのタイヤ市場。東洋ゴムは2003年に、アメリカでの需要拡大をいち早くキャッチして本格的オフロードタイヤを投入。アグレッシブなデザインがアメリカのユーザーから支持を得て、現在では20インチ以上のピックアップトラックとSUV用モデルにおいてトーヨータイヤの市場シェアは約40%に達しているという。
これまで高い人気を支えてきたのは、「オープンカントリーA/T 2」と「オープンカントリーM/T」。A/Tとはオールテレインタイヤを意味し、ウエットやドライ性能の両立、静粛性にこだわって幅広いニーズに対応するオールラウンダーモデルだ。
一方、M/Tはブロックパターンを基調とした力強い外観とタフなオフロード性能が持ち味で、同ブランドの象徴的存在だ。ダカールラリーやバハ1000などに代表される世界のオフロードレースで実績を残し、ユーザーからも高い支持を得ているという。実際、今回の試走会場には数々のオフロードレースで優勝を飾ったBJ バルドウィン選手が登場。一緒にトヨタのピックアップオフロードモデルも展示され、その足元にもしっかりと採用されていた。
今回新たに投入されたオープンカントリーR/Tは、その2モデルの特徴的なトレッドパターンを組み合わせたハイブリッドデザインとなっている。センター部分にはA/T譲りのL型連結ブロックを配置して、ドライ路面での操縦安定性と高い接地性を持つ。また両サイドにはM/T譲りのアグレッシブなデザインのワイドショルダースリットを配して、泥の排出性能をキープしている。
オンとオフの性能を両立させることで、ピックアップトラックユーザーのさらなる開拓を目指しているという。
実際にオフロードで試乗してみると、深い泥濘地からドライ路面まで幅広い走破力を見せて、四駆モデルの走りをしっかりとサポートしてくれる。路面を選ばない走りは力強く頼もしいものだった。
価格や販売サイズなどの細かな内容については明らかにされなかったが、少なくとも世界のTOYO TIREブランドとして、また一歩大きく踏み込んだことだけは確か。日本でのブランド再構築の第一歩となることを期待したい。