加速する電動化
ドイツのインゴルシュタットで行われたアウディAGの株主総会で、まずルパート・シュタートラーCEOは「私たちの視線は常にアウディのスローガンである“技術による先進”の実現と継続に向いている。そして目標はモビリティに革命を起こすことで、eモビリティの分野でプレミアムメーカーのリーディングカンパニーになりたい」と語った。
数字で示すと2025年までに20以上の電動化モデルを発売して、同年には80万台の販売を目指すということになる。その内訳は大部分がピュアEVで一部はPHVになると想定しているそうだ。
2020年代半ばには「3人にひとりの顧客にアウディの電動化モデルを選択していただく」とも発表しているので、この時期に世界販売は240万台くらいを想定しているということになる。2017年は188万台だったので、今後は年間6〜7万台規模で世界販売を伸ばして行く計画であることも読み取れる。
さて、今後の具体的な計画ではまず2018年にピュアEV第一弾となるeートロン(SUVタイプ)を発売し、2019年にeートロンスポーツバック、2020年にはAudi SportからeートロンGTが登場する。さらに同年にはコンパクトセグメントにもeートロンを投入する予定だ。
これらeートロンの開発はフォルクスワーゲングループの総力を投入する。コンパクトセグメント用にはフォルクスワーゲンが開発したモジュラーエレトリックツールキットを使い、ミッドサイズ/フルサイズのラグジュアリークラスにはポルシェと共同開発するプレミアムアーキテクチャーが採用される。
また、アウディはこうしたeモビリティの推進と同時に生産拠点のCO2ニュートラルを進める。ブリュッセルで生産されるe-トロンを皮切りに、2030年までに世界中すべての生産拠点をCO2ニュートラルにするそうだ。
さらにアウディは2021年の“技術による先進”50周年に合わせて、コンセプトカーの“Audi Aicon”をベースにした自動運転のEVも発表する。これは「当初は都市間を結ぶシャトルとして公道での試験走行を行い、2020年代半ばには自動運転車として生産を開始する予定」とのことだ。
以上のような戦略に基づいて、アウディAGは2025年までに約400億ユーロの投資を行う計画だ。フォルクスワーゲングループの総合力がいかんなく発揮されるということになるのだろう。