すべての自動車を運転するための免許取得を示す、フルビット免許とフル免許というふたつの言葉がある。なにが違うのか、まずはフルビット免許から紹介していこう。

15種類の運転免許すべてを取得する「フルビット免許」

これまであなたが取得した運転免許の種類は、免許証にある「種類」の表に記されている。最近取得・更新した人であれば14のマス目があり、取得していれば下記の略称、取得していなければ「−」が書かれている。

画像: 運転免許証の見本。「種類」がすべて埋まった、いわゆるフルビット免許である。出典:警察庁 www.npa.go.jp

運転免許証の見本。「種類」がすべて埋まった、いわゆるフルビット免許である。出典:警察庁

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略称:免許の種類

(上段)
大型:大型免許
中型:中型免許
準中型:準中型免許
普通:普通免許
大特:大型特殊免許
大自二:大型自動二輪免許
普自二:普通自動二輪免許

(下段)
小特:小型特殊免許
原付:原付免許
大二:大型第二種免許
中二:中型第二種免許
普二:普通第二種免許
大特二:大型特殊第二種免許
け引/引二(もしくは、引・引二):けん引免許/けん引第二種免許

この14マス(15種類)をすべて埋めた免許証のことを「フルビット免許」と言い、所有するひとをフルビッターと呼んで賞賛することもあるという。

現在の運転免許証と違い、過去は免許の有無を「0」と「1」の2進数(ビット)で示していた。そのため、すべてに1が記されたものを「フルビット」と呼ばれるようになった。

画像: フルビット免許のイメージ。

フルビット免許のイメージ。

しかし、苦労して完成させたフルビット免許も、道路交通法の改正により空き「−」が出てしまうことがある。2017年に追加された「準中型免許(準中型)」がそのひとつ。本来の意味とは異なるが、新規追加された免許が「-」であってもフルビット免許と呼ぶ傾向のようだ。

取得に際して注意すべき点は、上位の免許所有者は下位の免許を取得できないということ。例えば普通免許を持っている人は、そこに含まれる原付免許や小型特殊免許を改めて受験できないのだ。

もし普通免許所有者がはじめようとした場合、一度免許をすべて返納する必要がある。その上で、改めて原付・もしくは小型特殊免許から取得し、下位の免許を順繰りにクリアしていくことになる。完成させるためには200万円以上の費用と相当な時間、根気が必要となりそうだ。

画像: 略称:免許の種類

すべての自動車を運転できる「フル免許」にするためには?

フルビット免許を目指さなくても、原付自転車から大型のセミトレーラー、重機まで、すべての自動車に乗りたいという人もいるのではないだろうか。そのためには4つ、大型自動二輪/大型第二種/大型特殊第二種/けん引第二種の免許を持っていればいいことになる。こちらを「フル免許」と呼んで区別されている。

4つのうち大型自動二輪免許は、年齢条件(18歳以上)さえクリアすれば普通自動二輪を飛ばし、全国にある公安委員会指定教習所、もしくは運転免許試験場での一発試験を経て取得することもできる。しかし、残りの3つ「第二種」にはいくつかの取得条件がある。

■大型第二種と大型特殊第二種の取得条件

21歳以上/普通・準中型・中型・大型・大型特殊のいずれかを通算3年以上所有、もしくは他の第二種免許を所有

■けん引第二種の取得条件

21歳以上/普通・準中型・中型・大型・大型特殊のいずれかを通算3年以上所有、もしくはけん引免許か他の第二種免許を所有

上記の、特に難しくない条件をクリアした上で受験すればいいことになる。

そのうち「大型自動二輪」と「大型第二種」であれば指定教習所を経て取得することもできるので、費用と日数はかかるものの難易度はそれほど高くない。ところが「大型特殊第二種」と「けん引第二種」の話は別だ。

このふたつを扱う指定教習所は今のところ日本にないので、取得方法は一発試験だけ。そのため、フルビット・フル免許取得の難所ともいわれている。さらに言えば、免許こそ設定されているものの運転(第二種なので、運賃をもらって人を運ぶ)のできる自動車は日本でゼロに近い台数だという。そうした現状を考えると、このふたつを「第一種」に切り替えて指定教習所で取得することもアリかもしれない。

免許を取得したからといって必ず乗れるとも限らないが、持っていれば「とにかく大きい自動車を運転したい」という夢を叶えることができるかもしれない。

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