時空を超えて復活したビーチャム・ジャガーMK II
ジャガーのコンパクトサルーンとして1959年に発表され、一世を風靡したのが「MK II(マークツー)」だった。MK IIが登場してからMK Iと呼ばれるようになった前型の発展モデルだが、比べてみるとプレスドアからクロームサッシのウインドーモールになったり、各ピラーも細くされるなど変更点は多い。
さて、そんなジャガー MK IIをこよなく愛する人は、生産中止になってからも数多く存在した。中でもニュージーランド在住の医師、グレゴリー.M.ビーチャムはマニア中のマニアといえた。彼は好きが高じてMK II 専門のレストアとその販売業まで始めるに至る。
湿気の少ないオーストラリアとニュージーランドに輸出された車体のみをベースに、エンジン、ミッション、デフはもちろん、ボディ、サスペンションまで一旦オーバーホールされ、主要パーツ、ビス、ボルト類は新品に交換して組み上げる。その過程で防錆対策とペイントもなされた。
当然ながら、当時のものよりも耐久性と信頼性は向上していた。インテリアも、フェシアやドアトリムに多用されているウオールナットは新品のような輝きに。シートやコンソールに貼られた上質の革も新品のものに替えられていた。
スターターボタンを押すとエンジンは一発で目覚め、かつてヨーロッパのツーリングレースで活躍した風景を想像させるようなエキゾーストノートは力強く、それでも品の良さは失ってはいなかった。
ビーチャム・ジャガーの生産台数は年に24台に限られたが、日本にもかなりの台数が輸入された。現在も現役のジャガー MK IIは、このビーチャム・ジャガーが多いようだ。
ビーチャム・ジャガー MK II(1992年) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4590×1690×1460mm
●ホイールベース:2730mm
●重量:1640kg
●エンジン種類:直6 DOHC
●排気量:3422cc
●最高出力:210ps/5500rpm
●最大トルク:29.7kgm/3000rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:145SR15