カスタマースポーツモデルとしてワークスチームは出場しない
AMGにとってモータースポーツはなくてはならない不可欠なもの。それをよく表しているのが、F1やDTMにワークスとして参戦しながら、2010年にAMGカスタマースポーツプログラムを掲げてSLS AMG GT3を開発したこと。カスタマースポーツモデルとしてワークスチームから出場させないという方針を堅持し、プライベートでモータースポーツ活動を行うカスタマーチームをサポートして、今日のGTカーレース、GT3レースの隆盛にも大きく貢献した。
そのAMGカスタマースポーツプログラムも9年目を迎え、現在は世界中のプライベートチームが「メルセデスAMG GT3」でレースに参戦、ニュルブルクリンク24時間やインターコンチネンタルGTチャレンジ、FIA-GTカップ、ブランパンGTシリーズなど、伝統のあるレースシリーズで数多くの勝利を重ねている。
「メルセデスAMG GT3」は、2014年にワールドプレミアしたメルセデスAMG GTをベースにGT3規定の下で開発されたレーシングカーで、メルセデスAMG独自開発の6.3L自然吸気V型8気筒エンジンを搭載。乗員保護性能を強化しているのも特徴だ。
また、高剛性アルミニウムスペースフレームにも手が加えられ、カーボンファイバーシートパンや高張力鋼板を用いたロールオーバーゲージを採用。さらに、エンジンカバー、ドア、フロントウイング、フロントスポイラーおよびリアエプロン、サイドスカート、ディフューザーなどもカーボンファイバー製となるなど、レーシングカーとして入念に仕上げられている。トランスミッションはトランスアクスルのシーケンシャル6速レーシングタイプだ。
この「メルセデスAMG GT3」は2016年よりレースに参戦、SLS AMG GT3をもしのぐ素晴らしい成績をあげている。日本でも2016年にスーパーGT GT300クラスでデビュー。2017年にメルセデスAMG GT3で参戦したGOODSMILE RACING & TeamUKYOがチャンピオンに輝くと、2018年もメルセデスAMG GT3のK2 R&D LEON RACINGがタイトルを獲得。2年連続チャンピオンマシンとなっている。
AMGカスタマースポーツプログラムでは、GT3よりもさらに身近なGT4カテゴリーの車両「メルセデスAMG GT4」マシンも開発。2018年は「メルセデスAMG GT3」と「メルセデスAMG GT4」で160のAMGカスタマースポーツチームが世界387のレースに参戦、実に138勝、40タイトルを獲得する大成功を収めた。
なお、ドイツ・アファルターバッハにあるAMG本社には、AMGカスタマーチームやドライバーの勝利を称える「Walk of Fame」が設けられている、ここにはタイトルを獲得したすべてのAMGチームとドライバーの名前や、世界の耐久レースでタイトルを獲得した関係者の名前が刻まれており。AMGとともにレース活動を行うプライベートチームの聖地となっている。
とかくF1での強さばかりに目が行きがちだが、以上のようにAMGは20年以上にわたり幅広くモータースポーツをリードする役割を担ってきたことも忘れることはできない。