今年も楽しみにしていたポルシェのイベントが開催された。舞台となったのは昨年同様、富士スピードウェイである。今年で3回目の開催となるこのイベントは昨年までは「PorscheExperienceDay」という名称で開催されていたが、2019年からは「PorscheSportscarTogetherDay」と名称変更され6月15日、16日の2日間にわたり開催された。
今年のメニューは、ポルシェカレラカップジャパン(PCCJ)、ポルシェカレラカップアジア(PCCA)、そしてGT3カップチャレンジに代わり今年初開催となったポルシェスプリントチャレンジジャパン(PSCJ)の他に、選手やマシンが間近で見られるグリッドウォークなどが行われた。
ちなみにPSCJでは、718ケイマンGT4クラブスポーツがレースデビューを飾っている。このイベントのいいところは、モータースポーツの聖地富士スピードウェイで開催されるが、スポーツカー一辺倒ではないということだ。ポルシェオーナーもその家族も、そしてポルシェオーナーでなくても楽しめるコンテンツが用意されていた。
ポルシェジャパンが開催する3つめのワンメイクレース
そのひとつは今年から始まった「PorsheEsportRacingJapanSeason1」である。簡単に言えば、バーチャルで一番早く走ることを競うイベントである。その参加資格は18才以上であれば、ポルシェオーナーでなくても、クルマを所有していなくてもOKだ。取材すると実に興味深い内容だった。
このスポーツイベントは今回が初めての試みだが、それに参加したのは全国から550名。その中からオンライン予選を勝ち上がった成績の上位10名が、この富士スピードウェイに招待され、2日間戦った。
ちなみに決勝の舞台は富士スピードウェイである。上位4名による戦いを制し、優勝したのはT.SUGAWARAさん。また表彰式にはサプライズもあり、プレゼンターとしてサッカー日本代表の南野拓実選手が登場した。そしてこの上位3名はリアルな表彰台に上がることができ、さらにポルシェジャパンモータースポーツの年間表彰式でも表彰される。
ポルシェジャパンのEsport担当者から話を訊くと、本国のポルシェAGでもEスポーツに注目していて、こうしたイベントを開催しているのだという。ただし使われているソフトが違う(日本はグランツーリスモSPORT)という。そのため世界戦の開催は現在のところ難しい状況だが、使うソフトが世界共通になれば、その開催も夢ではなく、そうした方向に動いているという。日本一の最速から世界一の最速への近道となりうる将来がとても楽しみなイベントだ。そしてポルシェジャパンとしては、これをPCCJ、PSCJに続く3つめのワンメイクレースとして位置づけている。
他にもピットビル3Fには、昨年11月にワールドプレミアされた新型911(タイプ992)を日本で初めて一般公開、さらにその近くの展示スペースでは新型マカンも注目を集めていた。そして子供がペダルカーなどで遊べるキッズゾーンや簡単なフィットネス体験ゾーンも用意されている。またAパドックに目を向けるとポルシェスペシャルブースとして最新のポルシェコネクトの説明やポルシェクラシックの車両展示、ポルシェドライバーズセレクションの販売などが行われていた。
ポルシェオーナーの楽しみは、自分のクルマで富士スピードウェイを走ることができるパレードランだろう。メインカットを見れば一目瞭然。これほどのポルシェがメインストレートに並んだ光景は圧巻のひと言である。多くの人が楽しみにしていただけあってハンドルを握るドライバーの顔には満面の笑みがこぼれていた。
さて、PCCJのことにも少し触れておく。15日には第7戦、翌日には第8戦が開催されたが、第7戦は悪天候によりセーフティカーが先導して決勝レースがスタート。そのまま雨脚が弱まることがなくグリッド順がそのまま決勝結果となった。優勝したのは、ポルシェカレラカップジャパンジュニアプログラムドライバーの笹原右京選手となった。
第8戦は、前日とは打って変わって見事な晴天。ポールポジションは、上村優太選手が獲得したが、5周目で小河諒選手がトップに立ちそのままフィニッシュ。小河選手のとっては5年振りのうれしい優勝となった。(文 千葉知充・Motor Magazine編集長/写真:永元秀和、ポルシェジャパン)