不得意なコースやペナルティ、不運な接触
レッドブル・ホンダとトロロッソ・ホンダは、イタリアGPが厳しいレースになることはわかっていたようだ。
予選の結果、アレクサンダー・アルボンは8番グリッド、そしてダニール・クビアトは12番グリッドから決勝レースをスタート。パワーユニット交換により、グリッド降格ペナルティを受けたマックス・フェルスタッペンとピエール・ガスリーは、17番グリッド、19番グリッドからのスタートすることになった。
フェルスタッペンはオープニングラップの1コーナーでフロントウイングにダメージを負い、パーツ交換のために緊急ピットイン。2ストッパーとなってしまったが、8位まで追い上げて4ポイントを獲得した。
アルボンはカルロス・サインツと6番手をかけた接近戦を繰り広げる中で、押し出されるようにコースを外れ、復帰した際のショートカットが原因で5秒加算ペナルティを受ける不運があったが、その後、追い上げをみせ6位でフィニッシュ。
ガスリーはポイント獲得を賭けた争いを繰り広げていたが、コース上に戻ってきたランス・ストロールを避けるためグラベルに追いやられてポジションを大きく落とすアクシデントに巻き込まれ、結局10番手のランド・ノリス選手をとらえることができなかった。
一方、クビアトはバーチャルセーフティカーのタイミングでピットインすることに成功したものの、その直後マシン後方からスモークが発生してリタイアを余儀なくされた。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、難しいレースとなったイタリアGPを振り返って「不運な接触やペナルティなどの影響もあり、ホンダにとって簡単なレースではありませんでしたが、アルボン選手は6位まで順位を回復する粘り強いレースをみせてくれましたし、フェルスタッペン選手はスタート直後の接触によりフロントウイング交換のためのピットインを余儀なくされましたが、そこから力強い走りでポイント圏内まで順位を上げました。ガスリー選手も序盤にオーバーテイクをみせてポジションアップを続けました。クビアト選手については、オイル漏れが起因となるトラブルにより、残念ながらリタイアとなりました。オイル漏れについては、これからチームと一緒に発生箇所の特定を急ぎます。4台のスペック4のパワーユニットを使用した今週末は、多くのデータを得ることができました」とコメント。イタリアGPはもともと得意ではないコースと言われていただけに、次戦シンガポールGPへの期待の方が大きいようだ。各ドライバーは次にように語っている。
マックス・フェルスタッペン
「オープニングラップの1コーナーでのブレーキングでセルジオ(・ペレス)選手のリアタイヤと接触し、フロントウイングにダメージを負ってしまいました。すぐにピットインして新しいウイングに付け替え、前にマシンがいない状態で、いいペースで走ることができました。そのあと何台かオーバーテイクをしたのですが、不運なことにピットインした直後にバーチャルセーフティカーが導入されてしまいました。そのため、オーバーテイクしたマシンの背後につくことになりました。再びオーバーテイクすることはできましたが、タイヤに厳しい状況となり、ペレス選手の後ろで再び詰まってしまう状況になってしまいました。彼はストレートでとても速かったため、なかなか追い抜くことができませんでした。1周目の1コーナーで起きたことを考えると、8位でレースを終えることができたのは悪い結果ではないですし、後方からスタートするとこういったことが起きてしまいがちではあると思います」
アレクサンダー・アルボン
「レースは予定していた通りとはなりませんでしたが、いくつかポジティブな部分もありました。チームにとって簡単なサーキットではなかったうえに、予選では不運に見舞われた週末でした。レースではスタートがうまくいかず、後方から追い上げなければいけない序盤になりました。残念ながらストレートでオーバーテイクできるほどのスピードはなかったので、コーナーでバトルを仕掛けなければなりませんでした。なので、サイドバイサイドの接近戦が多く、グリップを失うことにつながってしまったようでした。そのあと、コースオフをしたことにより、5秒ペナルティーを受けることとなりました。しかし、レースペースが改善され、(前戦の)スパから大きく前進できたように感じているので満足しています。次戦のシンガポールは、さらに多くのダウンフォースが必要で、多くのコーナーがあるサーキットなので、よりよいレースができることを期待しています」
ピエール・ガスリー
「17番手からのスタートでしたので、今日は難しいレースになると予想していましたが、いろいろなことがあった一日でした。スタートはうまくいき、最初の1周で13番手まで上がることができました。展開はうまい具合に進んでいたのですが、ストロール選手がコースオフしてから戻ってきたタイミングが悪く、彼との接触を避けるためグラベルまで逃げなくてはならなくなりポジションを下げてしまいました。それが原因で、(ポイント獲得となる)9位からはわずか3秒の差で届かずレースを終えることとなりました。理想的な結果とはなりませんでしたが、このレースウイークではいいパフォーマンスをみせることができましたし、グリッド後方からのスタートでもポイント獲得も可能なペースで走行することもできました。次戦のシンガポールでは、ペナルティーのないクリーンなレースをして、最大のポテンシャルを発揮して戦える一戦となることを期待しています」
ダニール・クビアト
「今日は僕たちにとってすばらしい一戦となるはずでした。レッドブルと互角に戦えていたので、僕たちのチームもポイント獲得の可能性が見えていました。しかし、いいパフォーマンスができているときでも、マシンにトラブルが発生してしまえば、あきらめなければならないのがモータースポーツというものです。周りのマシンと同じようなラップタイムで走行できていたうえに、新しいタイヤを装着していたので、トップ10に入れる自信が十分にありました。ポイント獲得に至らなかったのはとても残念ですが、このところ力強さをみせることができていると思いますので、いい結果を目指し、次戦のシンガポールに向けて、気持ちを切り替え挑みたいと思います」
次戦第15戦シンガポールGPは、9月22日、マリーナベイ・ストリート・サーキットで開催される。
2019 F1第14戦イタリアGP決勝 結果
優勝 16 C.ルクレール(フェラーリ)53周
2位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)+0.835s
3位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)+35.199s
4位 3 D.リカルド(ルノー)+45.515s
5位 27 N.ヒュルケンベルグ(ルノー)+58.165s
6位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)+59.315s
7位 11 S.ペレス(レーシングポイント)+73.802s
8位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)+74.492s
9位 99 A.ジョビナッチ (アルファロメオ・フェラーリ)+1周
10位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)+1周
11位 10 P.ガスリー (トロロッソ・ホンダ)+1周
リタイア 26 D.クビアト(トロロッソ・ホンダ)