記録達成車と同様に空力性能を大幅アップ、軽量化も徹底
2019年9月2日に発表された、ブガッティ シロンによる300mph(約480km/h)突破は同社の創立110周年イベントの一環だったのだろう。
この記録達成車はシロンを高速走行用にチューンアップしたものだ。フロントマスクの形状はもちろんのこと、ボディ全長をおよそ100mm延長してロングテール化、リア中央に配置されたディフューザーなどによって空力特性を大幅改良。また、限界まで軽量化も施されるなどモンスターマシンに仕上げられた。
さらに専用タイヤを開発し、1500hp(約1521ps)を発生するシロンの8L W型16気筒クワッドターボエンジンは1600hp(約1622ps)までチューンアップした。
これで304.773mph(490.484km/h)を記録して、晴れて量産車最速の座に返り咲いたわけだ。
そして2019年9月9日、ブガッティはこの記録を記念したシロン スーパースポーツ300+(Chiron Super Sport 300+)を発表した。
1909年にフランス・モルスハイム(当時はドイツ領)に創設されたブガッティは、2019年で創立110周年を迎え、これを記念してブガッティユーザーを招待したグランドツアーが開催された。5日間をかけてイタリア・ミラノからモナコ、フランス・パリを通っていまも本社/工場のあるモルスハイムへ向かう豪華な旅だ。最新のシロンはもちろんのこと、タイプ57やヴェイロンなどの歴代モデルが初日だけで20台も参列したという。
この旅のグランドフィナーレとして用意されていたのが、シロンのスペシャルエディションの発表だ。
フロントマスクのエアインレットやフェンダー後部のエアアウトレットの形状、ロングテール化されたリア形状、トップスピードモードでリアウイングを引き込ませる設定などは、記録達成車からそのまま引き継がれている。
またカーボン繊維が見える黒いボディに、ジェットオレンジのレースストライプが2本、中央に配置される仕様もそのままだ。ほかにも、純銀とエナメルブラックを組み合わせたブガッティの「マカロン」エンブレムやマグネシウムホイールなどを装着し、インテリアはブラックカーボンと本革、アルカンターラによって黒とオレンジのカラーコントラストで構成される。
エンジンスペックこそベースモデルと同じ1500hpとなるようだが、圧倒的な空力性能と軽量化によって「スーパースポーツ300+」は世界最速のラグジュアリーハイパースポーツカーであることは間違いないようだ。
2021年中旬に生産がはじまり30台が顧客の元へと届けられるという。その車両価格は350万ユーロ。日本円にして約4億1500万円だ。