1965年ホンダF1初優勝の地、メキシコに挑む
日本GPも終了し、南北アメリカ大陸での3連戦、まずはメキシコGPが始まる。グランプリが開催されるメキシコシティのエルマノス・ロドリゲス・サーキットは海抜約2300mに位置し、今年F1が開催されるサーキットの中で最も標高が高いことが特徴となる。
ホンダの田辺豊治 F1テクニカルディレクターはこのメキシコGPに関して「ここは気圧が低く空気密度が低いため、パワーユニットや車体に多くの影響を及ぼします。パワーユニットとしては、ターボの仕事量が平地と比較して多くなりますので高地専用のエンジンキャリブレーションが必要となります。また、空気が薄いことはエアロ効率や冷却効率の低下にもつながります。平地とは異なるエアロセッティング、クーリング性能が要求され、その最適化が課題となりますが、車体、パワーユニットともに過去の走行データをもとに準備を行い、週末を通して最適化を進めていきます」と語る。
ここ数戦のグランプリを振り返ると、ホンダのパフォーマンスが上がってきているが、ライバルも調子を上げてきており、今回もメルセデスAMG、フェラーリとの僅差の戦いになることが予想される。それだけにメキシコGP特有のコンディションにどれだけ合わせることができるかが大きなポイントになる。
タイトル争いを見ると、レッドブル・ホンダがコンストラクターズタイトル2位を奪取するためには正念場ともいえる状況、トロロッソ・ホンダにとっては混戦の中団グループから抜け出せるか重要なグランプリとなる。
一方、ドライバーズ部門ではマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がフェラーリ勢と熾烈な3位争いを繰り広げている。さらに、2位ボッタスとの差はまだ逆転可能な範囲であり、南北アメリカ大陸3連戦でどこまで詰められるかがポイントとなる。
ホンダ勢4人のドライバーはメキシコGPに向けて次のように語っている。
マックス・フェルスタッペン
「過去2年間優勝している特別な場所なので(2017年、2018年メキシコGP優勝)、グランプリを楽しみにしています。メキシコGPは素晴らしい大会で、情熱的なF1ファンがたくさん集まってくれます。(メキシコ音楽を奏でる)マリアッチ楽団や、ポディウムに現れるDJなど、主催者が作り出す雰囲気はとてもいいものです。コースは高地ならではの低グリップですが、そこをドライブするのは本当に楽しいです。コーナーはすごくテクニカルなので、全力で攻めるために懸命に取り組まなければなりませんが、例年僕らにとっては相性のいいサーキットです。いいレースはできるはずです」
アレクサンダー・アルボン
「日本GPで自己ベストとなるリザルトを記録して、自信を持っていい形でのぞむことができています。ここは昨年はポールポジション獲得に優勝と、レッドブルにとって相性がいいこともプラス材料です。鈴鹿同様、僕にとっては初めて走るサーキットですが、鈴鹿ほどに難しいサーキットではないように思います。また、インフィールドセクションのファンの雰囲気は特別だとも聞いているので、そこを走るのが楽しみです。メキシコとアメリカは、今シーズン最後の連戦になるので、気合いが入ります」
ピエール・ガスリー
「メキシコでは最大のリアウイングで走るのに普段の想定と全く異なる感覚になるので、奇妙な感じになります。ただ、ストレートでは、ものすごく速度が上がってエキサイティングな気分になります。こうした技術的な要素がある一方で、レースウイーク中の雰囲気は最高です。スタジアムエリアもすごく印象的で、詰めかけた観衆が声援を送る姿は、鳥肌ものです。とにかくサーキットへ多くのファンが集まってくれて、その光景は素晴らしいんです。コースについては、低速コーナーが多くありますが、中盤のS字セクションは他よりも高速区間となるので好きな部分です。レース中はかなり慌ただしい展開となり、特に他のマシンとのバトルが起きる1コーナーはたいへんですが、チャンスはあります。昨年は後方から追い上げて10位入賞を果たすことができました」
ダニール・クビアト
「コースは低速コーナー中心なので、ステアリングを左右いっぱいに切ることが多くなります。かなりテクニカルなレイアウトで、中速シケインもあり、最終セクターはロングストレートでかなりの最高速に達します。ただ、重要なのはここではエキサイティングなレースができるということです。結局はそれが最も大事で、そういったレースを展開できればいいコースだということですし、僕らドライバーはすべてのコーナーを限界まで攻めて抜けていくだけです。高地で空気が薄いので、パワーユニットや空力には影響があります。ただ、とても楽しいレースウイークになりますし、ここでは過去にいい思い出があり、4位でフィニッシュしたこともあります」
F1第18戦メキシコGPは、10月25日<金>10時(日本時間26日<土>0時)からのフリー走行1回目で開幕、予選は10月26日15時(日本時間27日<日>3時)、決勝は10月27日13時10分(日本時間28日<月>4時10分)に開始される。
2019 F1ドライバーズスタンディング
1位 L.ハミルトン(メルセデスAMG)338
2位 V.ボッタス(メルセデスAMG)274
3位 C.ルクレール(フェラーリ)221
4位 S.ヴェッテル(フェラーリ)212
5位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)212
6位 C.サインツ(マクラーレン・ルノー)76
※第17戦日本GP終了時
2019 F1コンストラクターズスタンディング
1位 メルセデスAMG 612
2位 フェラーリ 433
3位 レッドブル・ホンダ 323
4位 マクラーレン・ルノー 111
5位 ルノー 68
6位 トロロッソ・ホンダ 59
※第17戦日本GP終了時、メルセデスAMGのチャンピオン確