高地メキシコでホンダ優勝のチャンス到来
予選でホンダのパワーユニットを使うドライバーが躍動した。
決勝スタートのタイヤ選択に関係のないQ1では、ほぼ全車がソフトタイヤを装着。そんな中、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンがただひとり15秒台をマークしてトップに立つと、チームメイトのアレクサンダー・アルボンも16秒175をマークして1-2体制を築いた。また、トロロッソ・ホンダのふたりも問題なくQ1を突破している。
Q2では決勝スタートのタイヤ装着義務を考慮してトップチームはミディアムタイヤを選択。トロロッソ・ホンダのふたりもミディアムタイヤでスタートしたが、そのままではQ2敗退の危険性があると判断、ソフトタイヤを装着してQ3に進出した。
自由にタイヤを選択できるQ3では10台全車がソフトタイヤを装着。まず1回目のアタックでフェルスタッペンが1分14秒910を記録してトップに立ち、アルボンもバルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)を上回り5番手、クビアト8番手、ガスリー9番手につける。そして迎えたポールポジションを賭けた最後のアタックで、上位進出を狙ったボッタスが痛恨のクラッシュ。これでイエローフラッグが振られ、上位陣は誰もタイムアップできないまま、フェルスタッペンがトップのまま予選が終了した。
ところが、予選終了後、フェルスタッペンが最後のアタックラップでイエローフラッグを無視して十分な減速を行わなかったと判断され、3グリッド降格のペナルティを科されてポールポジションを失うことになってしまった。
それでも、その速さはフェラーリ、メルセデスAMG勢を上回る素晴らしいもので、アルボン5番手、クビアト9番手、ガスリー10番手とホンダ勢全車トップ10入り。決勝レースが楽しみとなってきた。
ホンダの田辺豊治 F1テクニカルディレクターは「今日の予選ではレッドブル・ホンダのフェルスタッペン選手がトップタイムを記録し、モナコGP以来の4台全車がトップ10入りを果たすことができました。アルボン選手が自己最高となる5番グリッドを獲得、トロロッソ・ホンダのガスリー選手は体調が優れず非常に厳しいコンディションの中でしたが、チームメートのクビアト選手とともに素晴らしいパフォーマンスをみせてくれました。高地という特殊な環境下で、マシンそしてパワーユニットをポテンシャルの高いパッケージとして仕上げることができたと思います。ただ、言うまでもなく大切なのは明日の決勝です。このサーキットは特にタイヤマネジメントが難しいため、簡単なレースにならないと思っています。フェルスタッペン選手のイエローフラッグ無視によるグリッド降格については残念に思っています。明日はポールポジションではなく4番手からのスタートになりますが、それによって我々のアプローチが大きく変わることはありません」とコメント。ホンダ勢のドライバー4人は次のように語っている。
マックス・フェルスタッペン
「非常にいいレースウイークを過ごせていると思いますし、すべてのセッションでパフォーマンスを改善できています。ここでのドライビングを楽しんでいるところですが、今日のようないいパフォーマンスを発揮するには、マシンのすべてがうまく機能する必要があります。予選でトップタイムを記録できたことは非常にうれしく、最近のフェラーリの勢いを考えると、正直このような結果になるとは思っていませんでした。マシンは本当に意のままという状態でした。終盤の3戦は僕たちにとって難しい展開になると考えていましたが、多くの努力により非常に速いマシンを準備してくれたチームに感謝したいと思います。グリッド降格のペナルティは非常に残念ですし、フェラーリは非常に速いと思います。明日はタイヤマネジメントが重要になってきますが、僕たちにも非常にいいマシンがあるので、レースは接戦になると考えています」
アレクサンダー・アルボン
「初めてのサーキットですが、楽しんでします。いいサーキットですし、スタジアムセクションはクールです。金曜日のフリー走行でカーブで膨らんでしまいリアのグリップを失いました。一度スピンしてしまうとそれまでという形で、小さなミスで代償を払うことになりました。それでも予選ではすべてがしっかりと機能して5番手に入ることができました。マシンには速さがあるので、今日の夜に自分なりにデータを分析して明日に備えます」
ピエール・ガスリー
「鈴鹿に続いて2戦連続でQ3に進出できたことに満足しています。マシンはレースウイークを通してうまく機能していて、とてもいい一日になりました。体調がよくなかったので簡単にはいきませんでしたが、今夜休んで明日元気になれたらと思います。明日はソフトタイヤでスタートするので、硬めのタイヤで走ることになるセルジオ(ペレス)などを後ろに従えるのは難しいレース展開になると考えています」
ダニール・クビアト
「今日のパフォーマンスには満足しています。どのラップでも競争力を感じられました。ここ数戦、いくつか問題を抱えていたので予選に自信がない状況でしたが、調子を取り戻すことができました。(トップ3チームを除くと)前にいる相手がマクラーレンだけという状況は、終わってみればいい結果だと思います。明日は全員にとって展開の読めないレースになると思うので、どうなるか楽しみにしています。予選で得たポジションを最大限に利用して、トップ10以内でフィニッシュできればと思います」
なお、タイヤを供給するピレリはメキシコGP決勝について「タイヤ戦略が非常に難しいグランプリです。理論上は2ストッパーが最適なアプローチと考えられますが、なかでも最良の方法はミディアムタイヤでスタートし、20から23周で新品のミディアムに履き替え、さらに20から23周回したのち、最後のスティントをハードで走り切ることでしょう。ほかには、最後のハードでのスティントまでを、ソフトとミディアムで繋ぐという戦略も考えられます。ただし、ワンストップ、 3ストッパーが2ストッパーよりも速くなる可能性もあります。すべては、レース当日のトラックの状態がどうなるかということになります」と分析している。
F1第18戦メキシコGP決勝は10月27日13時10分(日本時間28日<月>4時10分)にスタートする。
F1第18戦メキシコGP 予選結果
1位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 1:14.758
2位 16 C.ルクレール(フェラーリ)1:15.024
3位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ) 1:15.170
4位44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) 1:15.262
5位 23 A.アルボン(レッドブル・ホンダ) 1:15.336
6位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG) 1:15.338
7位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー) 1:16.014
8位4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー) 1:16.322
9位26 D.クビアト(トロロッソ・ホンダ) 1:16.469
10位 10 P.ガスリー(トロロッソ・ホンダ) 1:16.586
※フェルスタッペンは予選Q3終盤に発生したイエローフラッグを無視したことによりセッション後の裁定で3グリッド降格が決定。決勝は4番グリッドからスタートする。