東京モーターショー2019もあと4日(11月4日)で閉幕。今回は市販前提の次世代車が多数展示されて来場者を愉しませているが、市販車同然のエクステリアでひときわ注目を浴びているのが「レヴォーグ プロトタイプ」。来年後半の市販を謳う、期待の新型車の実像に迫る。

前中期経営計画の総仕上げであり、新中期経営計画の第1弾

「新型レヴォーグ プロトタイプ」について明らかにされたのは、以下の新技術が採用されるということのみ。

「新世代アイサイト」「新開発の高精度マップ&ロケーター」「スバル国内初のコネクティッドサービス」「新開発1.8L水平対向直噴ターボエンジン」「新ボディ構造」の5つを採用することだ。

いずれもその詳細について関係者の口は固く、具体的な説明はなかった。とは言え、そのヒントは言葉の端々に散りばめられていた。そして、その意図するところは、すでに過去の中期経営計画からも伺われる。

まずは2016年に発表された中期経営計画「際立とう2020」で明かされた商品戦略(下図参照)からチェックしていこう。

画像: 2016年度から実施されたスバルの前中期経営計画「際立とう2020」より(2016年当時の資料より引用)。具体的な車名はないが、その後発表された車種はピタリと当てはまり、計画が順調に推移していることがわかる。

2016年度から実施されたスバルの前中期経営計画「際立とう2020」より(2016年当時の資料より引用)。具体的な車名はないが、その後発表された車種はピタリと当てはまり、計画が順調に推移していることがわかる。

この計画の骨格となるのは新開発プラットフォーム「スバルグローバルプラットフォーム」の導入だ。モデル計画の欄を見れば、第1弾がインプレッサ(2016年度)、第2弾がXV(2017年度)、第3弾がフォレスター(2018年度)とアセント(北米専売/2018年度)、そして現状で最新のモデルとなるのが北米で先行発表されたレガシィ/アウトバック(2019年度)である。そして、2020年度の欄に暗示されているのが新型レヴォーグであることが一目瞭然だ。前中期経営計画の集大成である。

一方、環境対応の欄で注目すべきは、2019年度の投入とされている「新設計ダウンサイジングターボ」。これこそ、新型レヴォーグから搭載が始まる「新開発1.8L水平対向直噴ターボエンジン」だ。レヴォーグの国内発売は2020年後半とアナウンスされているので、新型エンジンの投入は半年ほど遅れていることになる。もっともこの新設計ダウンサイジングターボは、新中期経営計画の根幹を成すパワートレーンだけに、その開発・発表に関しては万全を持って望むための遅れであると予想される。

続いて、新中期経営計画である「STEP」を見てみよう(下図参照)。

画像: 2018年に発表された新中期経営計画「STEP」より。商品計画は前中経を継承〜発展させているが、その方向性がより具体的に明示されている。

2018年に発表された新中期経営計画「STEP」より。商品計画は前中経を継承〜発展させているが、その方向性がより具体的に明示されている。

SUVラインアップの強化とバリエーションの充実、スポーツモデルの充実とSTIモデルの進化、そしてSGPの進化が明確化されている。特筆すべきはデザイン・コンセプトの進化。従来の「ダイナミック&ソリッド」をより大胆に進化させた「BOLDER(ボールダー)」の採用が謳われている。そして、その新デザインコンセプトを採用した最初のクルマこそ新型レヴォーグだという。

新型レヴォーグのデザインについて、ある関係者がこっそりと耳打ちしてくれた。
「2018年のジュネーブショーで公開したヴィジヴ ツアラー コンセプトを市販車で再現することを目標にデザインしました。(過去のスバル車は)コンセプトカーと市販車が全然違う! とお叱りを受けることもありましたが、今回はほぼイメージを再現できたと思います。新デザインコンセプト(BOLDER)もちゃんとも盛り込まれています。たとえば、ボディのキャラクターラインはすべてヘキサゴングリルから伸びていますよね? これからのスバル車のデザインの特徴となります」
ただし、まだBOLDERとは謳っていなかったが2017年の東京モーターショーに出品されたコンセプトカー「VIZIV PERFORMANCE CONCEPT」にも新型レヴォーグと同じく新デザインコンセプトは盛り込まれていた。つまり、新型レヴォーグと次世代のWRX系セダンは現行型と同じく並行して開発されていることは間違いないだろう。

画像: 2018年のジュネーブショーで公開されたコンセプトカー「VIZIV TOURER CONCEPT」。新型レヴォーグでは、その大胆なデザインを再現することが目標だったという。

2018年のジュネーブショーで公開されたコンセプトカー「VIZIV TOURER CONCEPT」。新型レヴォーグでは、その大胆なデザインを再現することが目標だったという。

画像: 2017年の東京モーターショーで公開され次期WRXのコンセプトカーとウワサされる「VISIV PERFORMANCE CONCEPT」。新型レヴォーグや「VIZIV TOURER CONCEPT」との共通点が随所に見られる。現行モデル同様、次期型もレヴォーグとWRXは並行して開発されていることが伺われる。

2017年の東京モーターショーで公開され次期WRXのコンセプトカーとウワサされる「VISIV PERFORMANCE CONCEPT」。新型レヴォーグや「VIZIV TOURER CONCEPT」との共通点が随所に見られる。現行モデル同様、次期型もレヴォーグとWRXは並行して開発されていることが伺われる。

新型レヴォーグはスバルファンが期待する走りを実現

さて、再び新型レヴォーグにフォーカスしよう。

まずは新世代のアイサイトについて。従来のシステムとの最大の違いは、広角化された新開発のステレオカメラに加えてレーダーセンサーが前後合わせて4つ組み合わされたところにある。これにより、従来のアイサイトでは検知できなかった見通しの悪い交差点や右左折時でも衝突被害軽減ブレーキの作動範囲が広がり、安全性能は大幅に高まることが期待される。

新アイサイトの搭載とともに注目されるのが、新開発のロケーター(自車位置情報検知デバイス)と高精度マップの採用だ。GPSと準天頂衛星「みちびき」を介してロケーターが自車位置を正確に測定するとともに、高速道路の形状を判断。コーナーでの加減速や渋滞でのハンズオフ走行支援も含むレベル2相当の運転支援が可能になるのだ。

さらに万が一の時に役立つコネクティッドサービスもスバル車として国内で初めて採用するなど、あらゆるシーンで「誰もが安心して運転を楽しめる」ことを標榜するスバルらしい次世代安全技術が盛り込まれてくる。

メカニズム面の充実も著しく、ボディ骨格を組み立ててからパネルを貼り付ける「フルインナーフレーム構造」の採用、前述の新開発1.8L直噴水平対向エンジン(ブロックからヘッドまで新開発なので新しいエンジン型式が採用される予定)の採用、さらにSGPの採用によりスポーティでありながら大幅に改善された乗り心地など「スバルが考えるグランドツーリングの最新版であり、ファンが期待する走りに仕上がっている。とにかく、いま出来ることをすべてやった」というスバルの自信作が新型レヴォーグだ。

発売は前日のとおり2020年後半とアナウンスされているが、2020年3月のジュネーブショーで詳細を発表後、国内では6月後半からティーザー活動を開始。同時に事前受注を開始するという情報もある。まずは、来年3月に予定されている市販モデルの公開を楽しみに待ちたい。

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