圧倒的優位のARTA NSX GT3
720号車McLaren 720Sが参戦初年度で初ポールポジションを獲得。シーズン当初のパフォーマンス不足から大きく改善し、アレックス・パロウの手によりコースレコードを叩き出した。ポールポジションの1ptを720号車が獲得したことにより、タイトル争いは55号車NSXと96号車RC Fの一騎打ちとなる。
14.5ptもの大量リードを持つ55号車ARTA NSX GT3は予選5番手とまずまずのポジション。一方、タイトル獲得の可能性として優勝か2位が絶対条件の96号車K-tunes RC F GT3は、予選でQ2に進めず17番手と大きく出遅れてしまう。
720号車マクラーレンを先頭に決勝レースがスタート。予選4番手の11号車GAINER TANAX GT-Rが65号車LEON PYRAMID ANGを交わし3位にポジションアップ。
7周目、ペースの落ちた720号車マクラーレンを56号車リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rがパス。続く11号車GT-Rもこれを抜き、レース序盤にGT-Rの1-2となる。
ピット作業後、ドライバーが交替しても2台のGT-Rは接近戦を繰り広げるが、33周目に56号車GT-Rが突如スローダウン。再度レースペースに戻るが5番手まで順位を落としてしまう。労せずして56号車を抜いた11号車GT-Rだが、実はこれでトップに立ったわけではなかった。
レース序盤に4番手を走行していた65号車AMGは、ピットイン時にタイヤ無交換作戦をとり2台のGT-Rの前に立つことに成功していた。これでトップに立ち、後はペースコントロールをしながらゴールを目指すのみとなる。
僅かなタイトルの可能性に賭ける96号車RC Fは、予選17番手から猛烈な追い上げを見せる。やがて直接のライバル55号車NSXに追いつくと、勢いそのままに抜き去りトップ2台を追いかける。
65号車AMGが先頭のまま迎えたファイナルラップ、チェッカーを先に受けたのは11号車GT-Rだった。直前までトップを走行していた65号車は、ガス欠によりストレートでまさかの失速。11号車は横目でこれを確認しながらの大逆転トップチェッカーとなった。
55号車ARTA NSX GT3は無理にトップ争いに絡むことはせず、安定したハイペースで4位でゴール。この瞬間2019年のドライバー、チームのWタイトルが確定した。昨年は大量リードを生かせず逆転タイトルを決められてしまった。今年こそ、の思いが高木真一の涙を誘った。
ガス欠ながらも惰性でチェッカーを受けた65号車AMGが2位、そして3位には怒濤の追い上げで96号車RC Fが表彰台を獲得。11号車と96号車は共に今季2勝を挙げながらも、タイトルは安定してポイントを獲得した55号車のものとなった。
(PHOTO:井上雅行)
スーパーGT選手権 GT300クラス 第8戦決勝結果(ポイント獲得者)
1位 11号車 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信)
2位 65号車 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)
3位 96号車 K-tunes RC F GT3(新田守男/阪口晴南)
4位 55号車 ARTA NSX GT3(高木真一/福住仁嶺)
5位 4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)
6位 56号車 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(平峰一貴/サッシャ・フェネストラズ)
7位 720号車 McLaren 720S(荒聖治/アレックス・パロウ)
8位 33号車 エヴァRT初号機 X Works GT-R(ショウン・トン/道見真也)
9位 60号車 SYNTIUM LMcorsa RC F GT3(吉本大樹/宮田莉朋)
10位 360号車 RUNUP RIVAUX GT-R(青木孝行/柴田優作)
2019スーパーGT GT300クラス ドライバーランキング(上位10組)
1位 69.5pt 高木真一/福住仁嶺(55号車)
2位 58pt 新田守男/阪口晴南(96号車)
3位 48pt 平中克幸/安田裕信(11号車)
4位 47.5pt 谷口信輝/片岡龍也(4号車)
5位 46.5pt 蒲生 尚弥(65号車)
6位 46pt 平峰一貴/サッシャ・フェネストラズ(56号車)
7位 36.5pt 小暮卓史/元嶋佑弥(88号車)
8位 29pt 高橋翼/アンドレ・クート(87号車)
9位 27.5pt 脇阪薫一/吉田広樹(52号車)
10位 27pt 吉本大樹(60号車)