イモビライザーをはじめとする盗難防止装置は高級車だけの装備ではなく、いまやコンパクトカーや軽自動車に標準装備されていることも多い。また、その装置の中には作動すると警報音がけたたましく鳴り響く種類もあるのだが、どのようにして警報を停止させることができるのだろうか。

盗難の場面以外でも警報音が鳴り響くことも

警察庁によると自動車盗難認知件数は年々減少傾向にあり、2009年で約2万6000件だったのに対して、2018年に約8600件とおよそ3分の1にまで減少している。盗難に遭いやすいクルマは2018年のデータで1位がプリウス、2位がハイエース系、3位がランドクルーザーで、近年プリウスが上位にランクされることも多い。盗まれたクルマは捜査によってそのまま出てくることもあるが、ヤードといわれる解体場でパーツ単位に分解されて輸出されることもあるという。

こうした自動車盗難を抑制してくれるのが盗難防止装置だ。リモコンキーでドアロックしたあと、キーを使わずにドアを開けようとしたり、クルマに振動が与えられるとホーンやスピーカーから警報を鳴らすというシステムが多い。警報によって犯人を追い払うことができるわけだ。

近年はその機能も増え、アフターパーツの盗難防止装置や車載のコネクティドシステムによってはGPSで追跡できるものもある。このほかにも、車内のカメラシステムで運転している犯人を確認したり、システムのセンターから車内のマイク&スピーカーで犯人に声をかけることもできる。こうした高度な盗難防止システムは、世界各国で盗難のターゲットになりやすいプレミアムブランド車に標準装着されていることが多い。

警報が予期せず鳴り響くとオーナーはパニックになりがちだが、冷静に対処したい。盗難の犯人と鉢合わせたり、その相手が武器を持っていれば攻撃される可能性もあるため、すぐに近づくのはハイリスクだ。もし盗難の危険性を少しでも感じたなら、まずは警察に110番通報するのが良い。

ただ、盗難防止装置はときにして想定外の場面で鳴ることがある。ガラス部分に振動センサーが埋め込まれたモデルもあり、ボール遊びをしていた子どもが誤って当てただけで作動してしまうこともある。そのほかにもリモコンキーの電池切れしたとき、物理キー(メカニカルキー)でロックを解除・ドアを開けるときも同様だ。

そんなときに盗難防止装置の作動を止めるのは比較的容易。リモコンキーによりドアロックを開錠したり、エンジンを始動することでほとんどの場合で警報を止められる。後付けされた盗難防止装置でも、リモコンによって警報を止められることが多い。

警報音が大きいため近隣の迷惑にならないようにと慌てることが多いが、パニックになって怪我でもしたら大変。まずは冷静にクルマのキーを探し、ドアロックを開錠するなどの操作をすることが大切だ。

画像: クルマによって操作方法は異なるが、リモコンキーでのロック解除やエンジンスタートで警報音の解除できる。

クルマによって操作方法は異なるが、リモコンキーでのロック解除やエンジンスタートで警報音の解除できる。

また、予想しない場所で突然警報が鳴り響くこともある。厄介なのは、前述のように振動を与えられると警報を発するタイプのクルマを、機械式の立体駐車場に駐車したときだ。

機械式駐車場はパレットに載せてゴンドラ状に移動するタイプや、パレットごとスライドして昇降して駐車スペースに入るタイプなどがあるが、いずれもドアロック後にクルマが移動して振動が与えられるため、盗難防止装置が作動して警報が鳴る場合がある。自動車メーカーや後付けの盗難防止装置メーカーも、こうしたケースを想定して振動検知を無効にするモードを用意している。機械式駐車場に入れる場合は、適切なモードに設定してロックをすればクルマが移動しても警報が鳴ることがないはずだ。機械式駐車場の場合は忘れずにこれらの設定をしたい。

画像: 振動検知機能のある盗難防止装置を搭載しているクルマの場合、機械式駐車場への入庫は気をつけよう。

振動検知機能のある盗難防止装置を搭載しているクルマの場合、機械式駐車場への入庫は気をつけよう。

盗難防止装置が作動しても冷静さを心がけ、まず犯人がいないかどうかを確認して安全ならリモコンキーでドアロックを解除、それでも鳴り止まないならエンジン始動という手順が一般的だ。セキュリティーが高度なものほど、いろいろな設定ができるものがあるため使いこなすには取扱説明書を熟読することをオススメする。(文:丸山誠)

This article is a sponsored article by
''.